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アクリル樹脂塗料なら屋内に、ピュアアクリル樹脂塗料は屋外に。

アクリル樹脂塗料なら屋内に、ピュアアクリル樹脂塗料は屋外に。

アクリル樹脂は数あるプラスチックの中でも、高い透明性と耐久性で知られています。身の回りで広く使われているのですが、リフォーム・リノベーションの世界ではとりわけ塗料の主成分として知られています。

ここでは「アクリル樹脂塗料」の特徴と、よく比較される「ウレタン樹脂塗料」「アクリルシリコン樹脂塗料」の違いについてお話します。また最新のアクリル樹脂塗料である「ピュアアクリル」についてもお話しましょう。
 

アクリル樹脂とは何か?

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アクリル樹脂は頑丈さと高い透明性という特徴を持っています。様々な場所で使われているのですが、面白いところなら沖縄「美ら海水族館」の大型水槽でしょう。柱がない構造なのに7,500トンもの水圧に耐えることができますし、60cmもの厚さがあるのに高い透明性を保っているのは、アクリル樹脂の特徴を十二分に活かしているからといえるでしょう。

住宅でアクリル樹脂が使われている箇所といえば、バスルームのドアでしょうか。すりガラス状になったアクリル樹脂がよく使われており、薄さにも関わらず物がぶつかっても割れないタフなところを見せてくれています。
 

塗料に使われるアクリル樹脂

塗料は色の付いた顔料とそれを固める主成分、そして添加剤からできているのですが、アクリル樹脂塗料(アクリル塗料)は主成分にアクリル樹脂を用いたもので、長い歴史を持っています。


アクリル樹脂塗料のメリット

・ツヤがあり発色が良い
・使いやすい
・価格が安い

アクリル樹脂塗料のメリットは以上の3つです。

透明性が高いというアクリル樹脂の特性がよく出ているのが「美しいツヤと発色」。他の塗料よりも秀でている点です。また液を混合させる必要がないので「使いやすく」、歴史が長いだけにコストダウンが進み「価格が安い」というのもアクリル樹脂塗料の良いところでしょう。



アクリル樹脂塗料のデメリット

・紫外線に弱い

アクリル樹脂塗料のデメリットは以上の1点に尽きます。添加剤を加えたアクリル樹脂は紫外線に弱いので、屋外の塗装に用いると5~8年で表面に顔料が露出する「チョーキング」が起こってしまうのです。

チョーキング等の劣化が出ると塗り直しのサイン。せっかく足場まで掛けて塗り直したのに5~8年しかもたないのではちょっと短すぎるのです。


アクリル樹脂塗料は屋内でのDIYに

住宅の外壁塗装の役割は家を美しく見せるためだけではありません。同様に大切なのは外壁材を雨風から守ること。塗料が持つ撥水性が役割を担っているのです。つまりアクリル樹脂塗料の紫外線に対する弱さは外壁塗装には向いていないと言えるでしょう。

以前は価格の安さから、アクリル樹脂塗料は屋外での塗装によく用いられていました。しかし、近年では紫外線に強い「アクリルシリコン樹脂塗料(シリコン塗料)」の価格が安くなってきたこともあり、外壁塗装にアクリル樹脂塗料はほとんど用いられることはありません。

一方でアクリル樹脂塗料が向いているのは、紫外線の影響を受けにくい屋内での塗装です。特に扱いやすいことから、DIY用途にもってこいということができるでしょう。
 

アクリルシリコン樹脂塗料

アクリル樹脂塗料なら屋内に、ピュアアクリル樹脂塗料は屋外に。

アクリル樹脂塗料にかわって外壁塗装に用いられるアクリルシリコン樹脂塗料は耐久性の高さで知られています。耐用年数は10〜15年、アクリル樹脂塗料と比較すると価格は高いものの、外壁のリフォームで広く使われるようになりました。
 

ピュアアクリル塗料

アクリルシリコン塗料が登場して以降、「フッ素」や「光触媒」など新しい塗料が登場していますが、中でも注目を集めているのが「ピュアアクリル」塗料。アクリル樹脂塗料に加えられていた添加剤を取り除くことで、アクリル樹脂本来の耐久性を引き出すことに成功しました。

この塗料を開発・販売しているのがオーストラリア「アステック」社。メーカーのHPによると耐候性は15年以上だとか。紫外線がことさらに強いことで知られている国で作られているだけにかなりの説得力がありますね。

加えてメーカーがピュアアクリル塗料の特徴としてあげているのは高い伸縮性。外壁にひび割れが入るような力が加わっても、塗料が伸びることで下地にまで水が侵入することを防ぐといいます。

ここまで聞くとピュアアクリルは夢の塗料のように聞こえますが、やはり価格が少々高いという問題点があります。またピュアアクリルを手がけているアステック社が日本の大手の塗料メーカーと比べて販売力が弱いことが残念な点。お陰で取り扱っている業者が多くはないのもネックといえるでしょう。
 

まとめ

高い耐久性と透明性を持つアクリル樹脂は非常に優れた素材で、アクリル樹脂塗料としても広く使われていました。ただ問題点は耐候性の弱さ、屋外の使用では5~8年程度で劣化してしまい、塗り直しが必要になってしまうのです。アクリル樹脂塗料は屋内でのDIY用途に向いている塗料といえます。

一方で近年注目を集めていのが「ピュアアクリル」樹脂塗料。高い屋外での耐久性と伸縮性を実現しているのですが、取り扱っている業者がまだ少ないという弱点もあります。

アクリル樹脂の特性や最新情報を理解して、塗装リフォームの参考になさってください。