椅子は身近にあって、とてもなじみの深い家具です。
その中でも、肘掛けのある椅子のことをアームチェア、もしくはアームレストチェアと呼びます。肘掛けがあり、リラックスした状態で座ることのできる椅子は、食卓やリビング、書斎などリラックスした空間を作るときに選ばれます。
今回は、身近でなじみの深い椅子の中から、アームチェア、アームレストチェアについてお伝えします。
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アームチェア、アームレストチェアとは?
アームチェアとは椅子の一種で、着座したときに左右両側に肘掛け(アームレスト)の付いたものを指します。アームチェアの歴史は古く、古代エジプトの遺跡からも発掘されています。古くから使われ、私たちにとてもなじみの深い椅子です。
代表的なアームチェア、アームレストチェアをしろう
- ザ・チェア
1949年に発売された椅子です。明式椅子、チャイニーズチェアの流れをくんでいるこの椅子の名前は「ザ・チェア」。ウェグナーの数ある椅子作品の中でも、最も完成度が高いと評価されている椅子です。ザ・チェアはリラックスした空間にぴったりの製品です。背もたれは、背骨があたる場所が滑らかにカーブしているので、リラックスしたときに痛くありません。背もたれから伸びる肘掛けは、座ったときにピタリと腕を支えてくれます。今から半世紀以上前に販売された椅子ですが、この椅子に座ったとき、なぜこんなにも長く愛されているのかを実感できます。リラックスできる形が、この椅子が長く愛されている理由でしょう。
- Yチェア
1950年発売された椅子です。同じくウェグナーの作品で、おそらく日本の輸入家具の中で、最も売れた椅子と考えられています。座はペーパーコード編み、材にはオーク、ビーチ、アッシュ、チークなどが使われています。Yチェアは、ザ・チェアと同じくリラックスした空間にぴったりの製品です。背もたれは細く削り出された木材を使っていますが、特徴的なY字の背板が背中を支えてくれるため痛くありません。ザ・チェアと違うのは肘掛けの部分です。先端を支える木材がありません。このためアームチェアに難しい「座りながら横を向く」という行為ができます。普通のアームチェアより、ずっと自由な椅子がYチェアです。
アームチェア、アームレストチェアの歴史
ほぼ完璧な形で現存する世界最古の椅子は、「ヘテプレヘレスの椅子」と呼ばれています。
「ヘテプレヘレスの椅子」は、今のアームレストチェアとほとんど形を変えず、現代に持ってきても遜色のない形をしています。この椅子はエジプトの第4王朝、ヘテプレヘレス1世の墓で発見された黄金の椅子です。ヘテプレヘレス1世は、今から約4,600年前のエジプト王朝の人物、かの大ピラミッドを建設したクフ王の母です。
4,600年前から現代に至るまで、世界各地で様々な椅子が作られ人気を博しています。地元で採れる木材を使った椅子から、最新の材料を使った近未来的な椅子まで、様々な椅子が登場しています。
アームチェアの役割、使い方
アームチェア、アームレストチェアは、いずれもリラックスした状態で使えるような形で作られています。読書や映画鑑賞、団らんや食事など、背もたれに体を預け、肘掛けに手を置いてリラックスした姿勢をとりやすいのが特徴です。
実は、人間の体重のうち、腕が占める割合は10%と言われています。体の両側の重さを、肘掛けに預け、肩にかかる負担を減らすのが肘掛けの目的です。肩への負担が減れば「肩こり」が軽減され、よりリラックスした姿勢をとることができます。
アームチェアを採用するポイント
アームチェア、アームレストチェアで大切なのは、使うシーンを考えることです。
食卓や書斎などで使う場合、テーブルと組み合わせて使うことが多くなります。その場合は、椅子とテーブルの「高さ」をしっかりと考慮する必要があります。椅子に座った状態で、テーブルにつきますので、テーブルと椅子の高さが、全体の使い勝手を左右することになります。
また、安楽椅子のように単独で使うパターンもあるでしょう。その場合は、どれだけリラックスできる姿勢を取れるか、というところがポイントになってきます。単独で使う椅子の場合、高さや座り心地はもとより、素材の手触りや色、硬さ、ニオイなども選ぶポイントです。
オススメのアームチェア
- アームチェア
黒いフレームがオシャレなアームチェアです。革張りのデザインもオシャレな1脚です。
- ザ・チェア
ハンス・J・ウェグナーが1949年に発表した椅子です。当時は先進的なモダンデザインが多かった時代にこの椅子を発表しました。シンプルながら使い勝手の良い椅子は今でも多くの人に愛されています。
まとめ
アームチェア、アームレストチェアについてお伝えしました。
4,600年以上前からあるアームチェアは、大きく形を変えず現代に受け継がれています。その中で、いくつかの名作が生まれ、たくさんの人に愛されています。
皆さんもお気に入りの1脚を見つけてはいかがでしょうか?
参考文献:
- 光藤 俊夫(監訳)「インテリア・家具辞典」丸善株式会社
- 西川 栄明「名作椅子の由来図展」誠文堂新光社
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