フローリングは用いられる木の種類によって風合いが異なり、それぞれに魅力があります。今回ご紹介するバーチ(カバザクラ)は、明るく淡い色合いが特徴の木材です。この記事ではフローリング材としてのバーチの特徴、費用感、メンテナンス方法などについてご紹介します。
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カバノキ科の高木 バーチってどんな木?
バーチ(birch)はカバノキ科カバノキ属の広葉樹。カバノキ属には数十種類の樹種があり、日本でも標高の高い地域で多く見られるシラカンバ(白樺)なども含まれます。木材として使われるものとしては主にアメリカ北東部、五大湖沿岸地方で生産されるイエローバーチが代表的。生長すると高さ30m・直径1〜1.2mに達する寒冷地の高木です。
(参考:木材博物館 バーチ)
その他にも、中国やロシアに分布するバーチを加工した木材も多く流通。生産される地域によって樹種の特徴が異なり、色合いや木目も少しずつ違いが見られます。木材としての質感が桜に近いとされることから、日本では伝統的に「カバザクラ」あるいは単に「サクラ」とも呼ばれます。
バーチでできたフローリングの特徴
バーチでできたフローリングの大きな特徴が、明るく淡い色彩とハッキリしすぎない木目です。しっかりと乾燥させることで製材の狂いが少なくなるため、加工がしやすく品質のムラが出にくい木材としても知られます。表面に塗装が乗りやすく、艶出し加工にも適した木材です。
無垢材だと経年変化も味とされますが、バーチは経年による色の変化が少ないのも特徴。緻密でありながら主張しすぎない見た目から、バーチ材は比較的どのような内装でも使い勝手のいいフローリング材と言えるでしょう。
木材としての耐久性はあまり高くなく虫害も受けやすいので外装材には不向きですが、フローリングや天井材などインテリア材として使う分には特に問題ありません。むしろ表面はすり減りにくく、フローリングとしては高い強度を誇ります。
バーチの費用は?他の無垢材との比較
複合フローリングに比べて高価なイメージのある無垢フローリングですが、採用する樹種によって費用感は異なります。バーチは無垢フローリングの中でも比較的安価とされており、限られた予算の中で無垢フローリングにチャレンジしたいという人にもおすすめの木材です。ここでは、バーチの費用相場を他の無垢材と比較してみましょう。(価格はいずれも1平米あたり単価)
- バーチ :4,500円〜8,000円程度
(広葉樹)
- オーク :5,000円〜10,000円程度
- メープル:6,000円〜14,000円程度
- クリ :6,000円〜15,000円程度
(針葉樹)
- パイン :4,500円〜8,000円程度
- スギ :2,500円〜8,000円程度
- ヒノキ :5,000円〜15,000円程度
(参考:心地のいい家)
こうして見るとバーチは広葉樹の中でもリーズナブルな部類であり、世界的に人気な針葉樹であるパイン(松)と並んで取り入れやすい価格帯であることがわかります。また、スギやヒノキのように産地や品質によって価格幅が大きい樹種が多い中、バーチは品質が安定していて価格幅が小さいのも特徴。価格面から考えても、バーチは初心者でも手を出しやすい無垢材と言えるかもしれません。
バーチのお手入れ方法
バーチに限らず、無垢フローリングは塗装仕上げの種類によってお手入れの仕方が異なります。無垢フローリングの塗装は大きく分けて次の3種類です。
- 浸透性塗料(オイル塗装仕上げなど)
- 造膜型塗料(ウレタンクリア、UVウレタンクリア塗装仕上げなど)
- 無塗装
バーチは塗料が乗りやすいという特徴があるため、無塗装の商品はあまり見られません。ここでは浸透性塗料・造膜型塗料それぞれのお手入れ方法をご紹介していきます。
浸透性塗料のお手入れ方法
天然のオイルなどを木の内部に浸透させることで無垢材を保護する浸透性塗料。表面に塗料の膜ができないため、その木が持つ本来の質感を生かすことができるのが特徴です。浸透性塗料仕上げのフローリングの場合、基本はほうきなどで表面のゴミを取り、乾いた雑巾やフロアワイパーなどで拭けばOK。塗膜がないので表面が傷つきやすいですが、表面をサンドペーパーで削ると簡単に補修できます。
なお、浸透性塗料は年1回程度(サンドペーパー使用時も)の塗り直しが必要です。塗料が内部に染み込んでいくことで色に変化が生まれ、無垢材ならではの経年変化を楽しむことができます。
造膜型塗料のお手入れ方法
造膜型塗料とは、表面に塗膜を張ることで無垢材を保護するタイプの塗料のこと。バーチは木目が優しく淡い色合いが特徴の木材なので、表面に艶が出る造膜型塗料で仕上げることが多くなっています。造膜型塗料仕上げのフローリングも普段のお手入れは乾拭きが基本。浸透型塗料と異なり、表面に塗膜が張っているのでサンドペーパーによる補修は避けたほうがいいでしょう。
造膜型塗料は原則塗り直しが必要ありませんが、定期的にワックス掛けをすることで長持ちさせることができます。
まとめ
無垢フローリングの中では比較的安価で、リノベーションでも取り入れやすいバーチのフローリング。淡く主張しすぎない色合いによって、明るく清潔感のある空間を演出してくれます。無垢フローリングにチャレンジしたいと思っているなら、まずはバーチのフローリングを検討してみてはいかがでしょうか。
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