マンションでの生活に関わりの深いパイプシャフトは、生活に欠かせない、排水等に関わる大切な設備です。
今回は、パイプシャフトがどう生活に関わるのか、役割や構造からお伝えします。
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パイプシャフトって何?どんな役割?
パイプシャフトとは、給水管と排水管や、ガス管などをまとめて通す空間のことです。通常、住宅の上・下階を貫くように作られています。なお、「パイプスペース」という言葉もありますが、同じ意味です。
キッチンや浴室、洗面所からの排水と、トイレからの排水の2箇所設置されていることが一般的です。
露出していないことが多いため、あまりなじみのない設備かもしれません。しかし、このパイプシャフトは、リフォームの観点からみても重要な設備ですが、大きな制約となることもあります。
まず、住宅のどこにあるのか確認してみましょう。
基本的には、図面を見て調べることができます。
赤い四角で囲った「PS」という文字がパイプシャフト(Pipe Shaft)です。パイプスペース(Pipe Space)も同じ表記となります。なお、「MBPS」という表記の場合は、メーターボックス内にパイプシャフトが配置されていることを示しています。浴室などから生じた排水は、配管を通ってこのパイプシャフトへと流れていきます。
これはあくまで一例で、住宅によってパイプシャフトの位置は異なります。購入やリフォームを検討される場合は、事前に確認すると良いでしょう。
パイプシャフト、3つのデメリット
2階建て以上の建物ではほぼ必須であるパイプシャフトには、生活スタイルによって変わりますが、主に3つのデメリットが挙げられます。
1.生活音、排水音が気になることがある
パイプシャフトからは、上下階の排水音が聞こえることがあります。特に寝室の近くを通る場合には、夜間に音が気になってしまうことも。また、パイプシャフトの上下階を貫く構造が、生活音を伝えてしまうこともあります。
2.生活スペースが狭くなる
パイプシャフトは水回りの周囲に設置するため、生活スペースを直接圧迫する場合もあります。基本的には収納スペースとしての活用もできないので、壁で囲んだ場合は想像以上に部屋が狭く感じることもあります。
パイプをむき出しにしてしまえば、多少は省スペースに繋がるかもしれませんが、排水音が気になったり、部屋の景観を損ねたりしてしまうこともあるでしょう。
また、生活スペースを確保するために、屋外にパイプシャフトを出す方法もありますが、パイプの劣化が早まることを考慮しましょう。
3.リフォーム時に動かせない
基本的に、パイプシャフトは移動できません。良いリフォームのアイデアが浮かんでも、パイプシャフトがあるために、変更・断念せざるを得ないことも。集合住宅や一戸建てのリフォームを考えている方は、購入前にパイプシャフトの位置を確認しておくことをおすすめします。
パイプシャフトのメリット
パイプが一括にまとめられているため、メンテナンスがしやすいという利点があります。壁で覆ったパイプシャフトは、万が一パイプが破損しても、部屋が排水まみれとなる事態を防ぐ効果もあります。
ただ、物件によっては、パイプシャフトとして空間を確保すべきところを、コンクリートの中に組み込んだものもあり、パイプへアクセスするために、大規模な工事が必要になった例もあります。
参考:パイプスペースとは?マンションでは「場所」が大切な理由を解説
パイプシャフトの素材もチェックしましょう
パイプシャフトにも、様々な素材があります。素材により遮音性や耐用年数が変わるため、物件購入前のチェックをおすすめします。
参考:マンションの資産価値を左右する、給水管や排水管など「配管」の材質と設計はここをチェック!
1.鋳鉄管
分厚い金属でできているため、防音性能、耐用年数ともに優れていると言われています。ただし、5mm程度の厚さでは、遮音性が低くなってしまうこともあります。現在では、ダクタイル鋳鉄管という、より強度のある鋳鉄管が登場しました。
2.硬質塩化ビニルライニング鋼管
新築マンションでもっとも多く使われていると言われています。鋼の管の内側に、サビ防止のために塩化ビニルを塗ったものです。鋳鉄管よりも金属が薄いため、防音性能はやや劣ります。
3.耐火二層管
塩化ビニル管の外側に、セメントを塗りつけたものです。他の2種に比べると遮音性は低いと言われています。
まとめ
パイプシャフト(パイプスペース)について、概要をご紹介してきました。快適な生活に役立つ設備でありながら、その位置や材質によってはデメリットも生み出しかねません。
事前に場所や素材をチェックしておくことで、思わぬトラブルに見舞われるリスクを避けることができるでしょう
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