机でもイスでも何でもよいのですが、身近な家具をよく見ると、木材の縁が削られており、体が当たっても傷付かない工夫がされていることに気が付きます。これらは「面取り」と呼ばれています。
ここでは、木材の面取りについて、くわしく知るとともに、ヤスリで面取りをおこなう方法についてもお話します。また、専用の工具がなければ難しいような面取りについても見ていきましょう。
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何のために木材の面取りをおこなうのか?
面取りは、使用者の体を傷つけないためと、装飾のためにおこないます。
上のイラストは、正方形の角材を面取りした様をイメージしたもので、それぞれ「丸面(まるめん)」と「角面(かくめん)」と呼ばれています。面取りをおこなうと、使う人の安全性を高めるだけでなく、見た目も良くなります。単純な丸面や角面だけでなく、様々な装飾的な面取りもおこなわれています。
ユニークな面取「几帳面」
面取りは古くからおこなわれており、ひょうたん面や銀杏面、おたふく面などユニークな名前が付けられたものも多いです。そんな中でも、ことさらユニークなのが「几帳面」でしょう。
平安時代、公家の邸宅の中心となっていたのは、寝殿(しんでん)と呼ばれる大広間です。ふすまなどの間仕切りがなく、プライベートに確保のために考えられたのが、屏風や几帳です。T字型に組まれた骨組みに布がかけられた几帳を、ドラマなどでご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
この几帳に装飾を兼ねておこなわれていた面取りが几帳面です。角面や丸面と異なり、複雑な形をしていますから、きちっとした仕事が要求されました。これが、現在使われている几帳面の語源です。
ヤスリでできる木材の面取り
特別な道具を使わずに几帳面を取ることはまずできませんが、角面や丸面ならば紙ヤスリだけで十分に可能です。丸面を発展させて角2面を丸くした「甲丸面」や、板に付いたかまぼこのような形状に加工する「蒲鉾面」も容易にできるでしょう。
紙ヤスリ(サンドペーパー)を使う
用意するのは紙ヤスリです。100番以下の目が粗いものを手に取り、取りたい縁をこすっていると丸みを帯びていきます。これで丸面が完成です。何度もこすっていると曲面(R)が広く(大きく)なっていきます。隣り合う縁2つにこの作業をおこなえば、甲丸面や蒲鉾面の完成です。中目〜細目の紙ヤスリで仕上げてください。
作業の注意点は、木目にそって紙やすりを動かすことです。作業効率が上がりますし、仕上がりもきれいになります。
角面を取る場合の注意点
指先や手のひらに紙ヤスリを当ててこすることで丸面はできましたが、シャープなイメージの角面になると少々の工夫が必要です。まず紙ヤスリは、角材の切れ端などに巻き付けて使います。また取りたい角度を保ったままで作業を続けます。紙ヤスリを当てる角度がブレると、角面を作れずに、丸面ができあがってしまいます。
あったら便利!NTドレッサー
角面取りに便利なヤスリとして、カッターのメーカーとして有名な「NT株式会社」が発売している「NTドレッサー」をご紹介します。
プラスチックのハンドルに、金属製のヤスリが取り付けられています。角面取りに便利なのは「平面用」です。ハンドル付きで角度が保ちやすい上に、紙ヤスリよりも目詰まりがしにくいので、素早くきれいに角面取りすることが可能です。
細い目の紙ヤスリで仕上げてください。価格は1,000円程度と手ごろです。
ヤスリ以外を用いた面取りの方法
几帳面など装飾性の高い面取りは、紙ヤスリやNTドレッサーでは到底できそうもありません。そこで使われているのがルーターや面取カンナです。
電動ルーター
高速で回転する刃(ビット)を当てることで、面取りや溝掘りをおこなうのがルーターです。ビットには様々なバリエーションが用意されていますから、目的に合ったものを選べば面取りも自在です。
面取りカンナ
ルーターなどがなかった時代に、面取りに用いられていたのはカンナです。取りたい面に当てやすく、角度が狂わないように工夫がされていて、取りたい面の形に合わせて刃がセットされたものです。
まとめ
使う人の安全性や見た目を考えて、DIYの仕上げでもぜひおこないたいのが面取りです。面取りには様々なバリエーションがあり、中には難しいものもありますが、紙ヤスリを使えば、丸面や角面はそれほど難易度は高くありません。
面取りを早くおこなうのに必要なのは、紙ヤスリの番手の選択です。100番以下の粗い目のもので大まかに面取りした後に、150番以上の細かい目で仕上げてください。
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