瓦やスレートに対してトタンなどの金属製の屋根は施工費用がかなりお手頃です。「値段が安いのは品質が悪いから?」という疑問にお答えするべく、トタン屋根を、主にデメリットにスポットを当ててご紹介します。
トタン屋根とは?
トタン屋根とは、金属製の屋根の一種です。鋼鉄製の板に亜鉛でメッキを施した「トタン」を屋根板として葺(ふ)いたもので、「瓦棒(かわらぼう)屋根」とも呼ばれます。
スレートや瓦葺きと比べて安くて軽く、継ぎ目も少ないため雨漏りに強いという特徴があります。軽さは施工のしやすさ(≒施工費用の安さ)はもちろん、耐震性にも有利に働きます。スレートや瓦と違い、一部がはがれて落ちてくるといった危険も少ないです。耐用年数も長く、一般的に15年程度と言われています。
屋根面積の広い工場や倉庫に用いられていますが、住宅用としても、高度経済成長期を中心に全国的に流行しました。現在リフォームを考えている住宅では、使われている場合も多いでしょう。
トタン屋根のデメリットは?
メリットの多いトタン屋根ですが、デメリットもあります。
1. トタン屋根は断熱性が低い
金属板なので熱の伝導が良く、日差しで温まるとその熱がそのまま屋根裏から家全体に影響します。屋根のない駐車場に車を日中放置しておいた状態をイメージしていただければわかりやすいでしょう(家は屋根に対して容積が大きいので車ほど極端に暑くはなりませんが)。 これは冷房の効率を下げるだけでなく、冬の暖房の効果も屋根を通して抜けてしまうため、四季を通じて空調の効率を落とします。
2. トタン屋根は遮音性が低い
トタン屋根は金属で、しかも薄いため音を遮る性質が弱く、特に雨音が他の屋根材より大きくなります。3. トタン屋根は錆びに弱い
鋼鉄製の板なので、トタン屋根は錆びます。もちろん錆びを防ぐために亜鉛でメッキをしているわけですが、経年劣化や強風時の飛来物などによって塗膜に傷がつくと、そこから錆び始めてしまいます。トタン自体は耐用年数が長いといっても、屋外で使う以上定期的な点検とメンテナンスを必要とします。それでもトタン屋根にしたい場合気を付けるべきポイント
デメリットを列挙すると不安を感じてしまいそうですが、逆に言えば、それらに気を付ければ、トタン屋根のメリットを有効に活かすことができる、ということでもあります。
・防音性の高い断熱材を使用する
音と熱は、「(屋根と屋根裏の)間に空気の層を作る」という方法で解決できます。 近年の建築用断熱材は性能が良くなっているので、業者さんとの打ち合わせの際に相談してみるといいでしょう。・定期的にメンテナンスする
問題が起こっていないのに手入れをするのはなんだか面倒なようですが、腐食(錆び)などの問題が起きて(それに気づいて)から修理をするより簡単で確実、コストも安く維持できるケースが大半です。 だいたい5年~10年程度の間隔で、専門の業者さんに点検を依頼すると良いようです。軽度の劣化(メッキの劣化など)であれば、塗装の塗り直し程度で対応できる場合も多いです。 トタンをはじめとした金属屋根のメリットとして「塗装で色を変えられる」という点も挙げられます。ついでにそれまでとは違う色に塗り替えて楽しむというのもいいかもしれませんね。
まとめ~トタン屋根(金属屋根)を始めるなら~
トタンに限らず、建材の性質にはそれぞれ一長一短があります。デメリットの対策を正しく行えば、その建材の持つ長所を発揮させることができます。
また、トタン自体は古い技術ですので、金属屋根を検討している場合は「次世代ガルバリウム鋼板」の採用を検討してみてはいかがでしょうか。トタンの進化形と言えるもので、基本的な性質はそのままに錆びに強くなっています。