こんにちは。住宅監督ライターのクマです。今回は、住まい作りで人気がある無垢材のフローリングについてのお話です。
わが家も住まい作りでリビングとホールに無垢材を取り入れました。キッチンや洋室に取り入れることも考えましたが、メリット・デメリットを検討し、複合フローリングも取り入れました。
今回は、住宅現場に携わる者として、私が無垢材を取り入れて気がついた無垢材のメリットとデメリットをご紹介します。
無垢材のメリット
フローリングに無垢材を使うメリットはあげるとキリがありません。私が実際に使って思う無垢材のメリットをご紹介します。
断熱効果がある
リビングと玄関ホールに無垢材を採用しました。意外だったのは、冬の寒い時に無垢材のフローリングは冷たさを感じにくいことです。わずかな違いですが、作りが同じでも冷たさを感じにくいのはありがたいことです。
調べてみると、無垢材は熱を伝えにくいため「冷え」を感じにくい性質があるとのことです。木の細胞が発泡スチロールと同じように断熱材の役割を果たすからだそうです。
無垢材は断熱性はそこまで高くないそうですが、複合フローリングと比べると熱を伝える「熱伝達率」が低いので冷たさを感じにくいのです。
冬場、寒い時に少しでも暖かいのはありがたいことです。
調湿作用がある
無垢材の効果で代表的なものは高い調湿作用です。高温多湿の日本にマッチした作用です。
気温が高い時でも、リビングの無垢フローリングの踏み心地はとても快適です。さらさらとした足触りが、複合フローリングとは違うことがよくわかります。特に、湿度の高い梅雨時期や夕立の時の不快感がかなり少なくなったと思います。
無垢フローリングにオイルステインなどの浸透系塗料を使った場合に調湿効果が発揮されるそうです。床全体に使うとそれなりの調湿効果を発揮してくれます。
経年変化が楽しめる
我が家は無垢フローリングを取り入れて3年ほどしか経過していません。無垢材の経年変化が楽しめるのはまだ先かもしれません。
我が家の床材はオークです。オークやナラは木目がより目立つ濃い色に変化するみたいです。他の材種もそれぞれ特徴があり、スギやヒノキは赤身のある色合いに、メープルなどは木目が薄くなり、光のムラがよりよくなるそうです。
張った直後が完成ではなく、なじむことで一体感が増すのが無垢材の楽しいところですね。
フローリングではありませんが、経年変化を楽しむために高値で取引されるものに線路の「枕木」があります。枕木の使い古され、味わいのある表情が愛される理由です。
無垢材のデメリット
無垢材は良いところばかりではありません。複合フローリングが作られたように、無垢材にはそれなりのデメリットがあります。我が家では、リビングとホール以外は複合フローリングを採用しました。「掃除がしやすい」という複合フローリングのメリットを優先させたためです。
無垢材のフローリングには、「キズや汚れに弱い」「熱・乾燥に弱い」「価格が高い」などのデメリットがあります。複合フローリングは無垢材のデメリットを克服した製品が多く出ています。
キズや汚れに弱い
無垢材のデメリットでまず上げられるのが、キズや汚れに弱い点です。複合フローリングは、この点を改良しています。
我が家でも、無垢フローリングにこぼしたコーヒーのシミがまだ残っています。削って落とそうと考えましたが、あまり目立たないのでそのままにしてあります。複合フローリングのように表面にコーティングがしていないので汚れが落ちにくいです。足の裏の皮脂もたくさん付いています。
無垢フローリングには3年経過して細かな擦り傷がたくさんついています。他の部屋のフローリングも同じように傷がありますが、リビングほどではありません。
汚れやキズはサンドペーパーで落とせますが、かなり手間なのでまだやっていません。
メーカーにお願いするとメンテナンスサービスを受けることができますが、金額がかなり高く迷うところです。
乾燥収縮が起こる
リビングのフローリングも、よくみると目地の隙間がたくさん空いています。特に冬場はエアコンを使っているせいか乾燥でとても広くなります。
無垢フローリングは熱や乾燥に弱いと聞いていましたがここまでとは思っていませんでした。一部、予想以上に収縮して工務店の方に直してもらったところもあります。
床暖房の導入も検討しましたが、床暖房は熱と乾燥の両方を引き起こしますので無垢材との相性がよくありません。無垢の床に床暖房を入れる場合は特に注意が必要です。
価格が高い
材種や幅で、複合フローリングと比較すると無垢材は高い印象を受けます。このカラクリは工務店の人に教えてもらいましたが、作業の手間が掛かるからだそうです。
我が家の無垢フローリングの幅は12cm。普通の複合フローリングの幅が30cmなので、1.5倍の手間が掛かると教えてもらいました。人件費が高いのでその辺も反映されているみたいです。
ほかには生産量が限られている、綺麗な木目が少ない、世界的に人気がある等の理由で、無垢材のフローリングは高価な製品です。製品によっては複合フローリングが高い場合もありますが、全体を見ると床材に使用できる材料は高価です。
無垢材の良さは物語
無垢フローリングの良さをいろいろと書きました。私が思う無垢材の良さは「物語」にあると思います。
どこの地域から取り出した木だとか、どういう風に加工したとか、そういう物語が無垢材の良さなのではないかと思っています。フローリングだけでなく、家に使われている木もそうですが、そういう物語を知る楽しさも住まい作りの魅力ではないでしょうか。
まとめ
今回はフローリングに無垢材を採用するメリット・デメリットを書きました。
無垢材のメリットはあたたかみがあることと調湿作用があることだと思います。細かく見ればたくさんのメリットがありますが、私が感じる大きなメリットはその二つです。
今まさに住まい作りを考えている方にぜひ無垢フローリングの採用をオススメします。すべての部屋ではなく、限定的に使ってみるのもおススメです。
参考
・木材見本帳 第8号,株式会社マルホン,2019/01/18
・デニス・ジェフリーズ,フロアマテリアル,産調出版株式会社,2005/04