窓は家の中に光を取り込み、断熱にも大きな影響を与える重要な設備です。窓ガラスやサッシの素材が古いと、夏は外の気温をそのまま部屋の中に取り入れることになり熱がこもり、冬は部屋の温度が窓から外に逃げてしまい、底冷えの原因となります。
そういった不具合を解消するための方法の一つとして、窓のリフォームがあります。しかし、マンションの屋外に接している窓は、住居スペースにありながらもマンション住民皆のものということになり、勝手にリフォームできない場合がほとんどです。なんとかリフォームする方法はあるのでしょうか。
この記事では、マンションの窓をリフォームする際に押さえておくべきポイントを紹介していきます。
マンションの専有部分と共用部分
マンションのような集合住宅は、専有部分と共用部分に分かれており、専有部分(住戸部分)においても、すべてを自分の好きなように使えるわけではありません。
基本的に専有部分は自分の好きなように使えますが、共用部分はいわばマンション住民全体のものなので、居住者一人が好きなように使えるわけではありません。
共有部分はどこかというと、マンションの外と直接つながっている部分になります。具体的には外壁、玄関ドア、バルコニー、そして窓です。こういった部分はマンションの外観を構成する一部であり、一人の住民の都合でいじってしまうとマンションの外観に影響を与える可能性があるため、勝手にリフォームすることができないのです。
また、外に面している窓ガラスは、防火の観点から見ても一般的には勝手にリフォームできないことになっています。たとえば、窓を大きくすると火災のときにその窓から空気が大量に入り込み、バックドラフト現象を起こし、甚大な被害を招くことになりかねません。
このような理由からマンションの外に通ずる窓はリフォームできない、またはできたとしても制約が多い場合が多くなっています。
マンションの窓をリフォームする方法
このように、マンションの窓をリフォームするのは簡単なことではありません。では、リフォームしたいときにはどうすればいいのでしょうか。
話し合いでリフォームが許可される場合がある
マンションの窓は共有部分とされていますが、管理者の承諾を得ることができれば自己負担でリフォームが可能であるとされています。これは国土交通省が提示しているマンション管理における標準管理規約の例の22条、「窓ガラスの改良」という項目の第2項に明記されています。
窓ガラスは共用部分なので、原則としてマンション管理組合が改良を行うことになっています。しかし、費用等の事情から組合が改良できないときは、区分所有者が組合の許可を得て改良できるというように規定されています。ただその場合においても、防犯、防火、防音、断熱効果が高まるような改良工事しか認められません。
また、外に面するサッシ部分は、マンション全体の外観に及ぼす影響が大きいことからリフォームは認められない場合がほとんどです。
リフォームできるとしてもどこまでできるか
このように、マンションの窓のリフォームは認められる場合があるものの、やはり一戸建てに比べて制約があるのは否めません。残念ながら、窓枠の大きさを変えたり、小さい窓を大きくしたりするようなリフォームは現実問題として無理です。
その一方で、窓ガラス部分を二重窓にする、内窓をつけるといった、建物の外観を変えないで機能を向上させるリフォームは認めれられやすいといえます。
(参照:マンション標準管理規約)
マンションの窓に内窓をつけるリフォーム
ここまで紹介してきたように、マンションの窓のリフォームにはさまざまな制約があります。この点、内窓のリフォームであればマンションの窓枠やサッシを直接いじることはないので、管理規約にも引っ掛かりません。
内窓とは?
内窓とは、今まである窓の内側に、さらに窓枠をはめて窓をつけることを指します。二重ガラスと異なり、空気の層の空間が広くなります。
内窓をつけるメリット・デメリット
内窓のメリットは多々あります。まず、内窓は複層ガラスなので、断熱性や防音効果に優れています。部屋の暖かい空気を外に逃がさないことで光熱費、特に冬場の暖房費を大幅に押さえることができます。
また、断熱性に優れているので結露が発生しにくくなります。結露が発生しにくいということはサッシに水分がつかなくなり、カビも生えにくくなって衛生的です。
デメリットとしてはどうしても初期費用がかかること、そして構造が複雑になるので掃除に手間がかかることが挙げられます。
まとめ
マンションの窓のリフォームは窓が共用部分ということもあり、なかなか難しいところがあります。しかしそれでもできることはあります。より住みやすくするために、ぜひリフォームにチャレンジしてみてくださいね。