壁は素材別にお手入れ方法が違い、素材にあった方法でお手入れしなければ、汚れが残ってしまったり、汚れを広げてしまうことになったりしかねません。
今回は珪藻土壁のお掃除方法についてお伝えします。
珪藻土は太古の「藻」が化石となった鉱物を使った壁材です。耐火性や吸水性、吸着性、消臭性、調湿性などの機能に優れている天然素材で、とても人気が高い素材です。
反面、他の素材と比べてホコリが付着しやすいという特徴があります。また、ペンやコーヒーなどの汚れがついてしまうと落とすのが難しくなります。
珪藻土壁のふだんのお掃除
ふだんのお掃除はホコリを落とす程度で十分です。具体的なホコリの落とし方を見てみましょう。
準備する道具
掃除機もしくはハタキ、柄の長いホウキを用意します。
天井や壁のすみはホコリがたまりやすいのですが、柄の長いホウキやハタキがあれば踏み台を使わなくても掃除ができます。ホウキは棕櫚(シュロ)などを使った柔らかいものが壁を傷つけにくいのでお勧めです。
珪藻土壁のふだんの掃除方法
掃除機を使ってホコリを直接吸い取っていきます。「壁に掃除機なんて」と思われるかもしれませんが、掃除機は、ホコリが舞わず効率的に掃除ができます。床用のノズルで、壁全体を掃除していきます。吸引力は弱くてもホコリは取れます。
ハタキを使う場合は、壁をごく軽くたたくようにしてホコリを払い落としていきます。手軽ですがホコリが浮遊しやすいので必ず換気をしながら掃除しましょう。
壁の隅(壁と壁、壁と天井)はホコリがたまりやすい場所です。こういったところは柄の長いホウキで払い落します。
手垢が気になる場合は、消しゴムで落とすこともできます。消しゴムは鉛筆汚れなどのないキレイな面を使用するようにしましょう。
念入りお掃除
スイッチ周りの手垢、鉛筆の跡、コーヒーやお茶のシミ、油はねのシミなど、発見することがあります。掃除機やハタキで取れない汚れは、消しゴムかサンドペーパーで落とします。水や洗剤は使うときは、場所や汚れの種類を見極めます。
念入りお掃除に、準備する道具
消しゴム、サンドペーパー、中性洗剤、塩素系漂白剤、きれいな布を用意します。
珪藻土壁の念入り掃除方法
基本となる汚れの落とし方は、まず消しゴムかサンドペーパーで落ちるか試してみます。落ちない場合は中性洗剤を試し、それでもだめなら塩素系漂白剤を試します。
■スイッチ周りの手垢
スイッチ周りの手垢は消しゴムやサンドペーパーでこすって落とします。あまり強くこすると周りと色が異なって見えるため、あくまで優しくなでるようにこすります。遠目から見て汚れが目立たなくなる程度にとどめておきましょう。
■鉛筆の跡
鉛筆の跡は消しゴムで消すことができます。手垢と同じように軽くこすって消します。鉛筆が強く当たりえぐられているようなら、サンドペーパーで平らにならすこともできます。ただし、やり過ぎには注意が必要です。
■ペンの跡
ペンの跡はサンドペーパーこすり落とします。インクが内部まで染み込んでいる場合は多少残ってしまうかもしれません。この時、雑巾での水拭き、洗剤拭きはお勧めできません。かえって汚れが広がることになるかもしれません。
■しょうゆやソースのシミ
しょうゆやソースが付いたらできるだけ早い対応が必要です。まずは薄めた中性洗剤をつけた布で優しく拭き取ります。汚れが残るようなら塩素系漂白剤水で薄めて、きれいな布で塗ります。いったん乾かしてから水を含ませた布で叩くようにして漂白剤を拭き取り除きます。
しょうゆやソースは液体の色素が強く、完全には取れないことも多いので、やりすぎないよう気を付けましょう。
■コーヒーやお茶、ジュースのシミ
こちらも同じく、できるだけ早い対応が必要です。うっかりすると奥までしみ込んでしまいます。
中性洗剤は使えませんので、塩素系漂白剤を使います。塩素系漂白剤を水で薄めて、きれいな布で塗ります。乾かしてから水を含ませた布で叩くようにして漂白剤を拭き取ります。
手厚くクリーニングしても完全には取れなかったり、多少色素が残ることもあることを心に留めておきましょう。やりすぎを防ぐことができます。
■よく分からない汚れ
消しゴムかサンドペーパーを試します。ほとんどの汚れはこれで落ちます。水を使う場合は汚れが広がる可能性もあるので慎重に使います。
珪藻土壁の掃除で気を付けたいこと
珪藻土という天然素材の壁ならではの特性が、掃除の仕方にも関わってきます。お掃除した後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、珪藻土壁を掃除する前に知っておいていただきたいポイントをお伝えします。
ます、珪藻土壁にハンディモップは不向きです。珪藻土の微細なスキマに繊維が引っかかりやすく、汚れの原因になります。
また、水拭きは避けましょう。水を使うと汚れが中に染みこんでしうので、できるだけ水を使わない方法で掃除をするようにしましょう。
珪藻土壁は吸水性や調湿性に優れる反面、水や油も吸収してしまいます。コーヒーやお茶、油の汚れは見つけたらできるだけ早く落とすようにしましょう。時間が経ってシミになると、変質したり広がったりして落ちにくくなったります。
あまりに広範囲に汚れているならば、壁一面の塗り替えも検討してもよいかもしれません。部分的にきれいにするとその場所だけ目立ってしまうためです。
大きな汚れ・ひび割れ・破損したときは工事業者に依頼
珪藻土壁に大きな汚れやヒビ割れができたり、破損したりしたときは、工事業者に依頼して直してもらいましょう。
「大きな汚れはどの程度?」と思われるかもしれません。「自分で直せない範囲」が大きな汚れと考えておくと良いでしょう。
珪藻土の壁は、多くの場合「壁一面塗り直し」という形になります。部分的に塗り直しをすると、そこだけ微妙に色の違いが出るため、違和感が残ってしまうのです。この違和感をなくすためには全面を塗り直します。
まとめ
今回は珪藻土壁のお掃除方法についてお伝えしました。
珪藻土壁は他の素材と比べ、ホコリが付着しやすい点があります。ふだんのお掃除は掃除機やハタキでホコリを落とす程度です。スイッチ回りの手垢は消しゴムやサンドペーパーで落とせますが、ペンやコーヒーなどの汚れは、壁に汚れが染み込むので、発見次第、早めに落とすようにしましょう。
・参考文献
PHP研究所,住まいのお手入れハンドブック,PHP研究所
NPO法人日本ハウスクリーニング協会,掃除の解剖図巻,エクスナレッジ