部屋の印象を決めるのは色柄だけではありません。フローリングは張り方を変えることで大きな視覚効果を生み出し、全く別の印象を与えてくれます。
広葉樹が多く使われる無垢フローリングでは、乱尺張りやりゃんこ張りが一般的です。このほかにデザイン性の高い張り方もあり、使い方によっては部屋の印象をより良くする役割を持ちます。
フローリングの張り方
フローリングはまっすぐに張る。とても一般的な張り方で、どんなインテリアにもマッチさせることができる張り方です。
りゃんこ張り
1枚の板を互い違いにはっていくりゃんこ張り。つなぎ目が一直線に規則正しく並ぶことで整然とした印象を与えます。もっとも基本で、インテリアに合わせやすく、使い勝手の良い張り方です。
りゃんこ張りに使う床板は、ある程度の長さが必要なので床材の金額が高くなります。
乱尺張り
無垢フローリングの代表的な張り方で、無垢材の良さを生かすことができます。
長さがバラバラの床板を、1枚ごとに張り繋げていきます。つなぎ目が1枚ごとにはっきりしているので、それぞれの床板の表情を楽しむことができます。張る前に仮ならべを行い、色味の偏り、つなぎ目の重なりを確認して、見た目美しく張るように工夫します。
1枚の床板は30cm以上に作られています。30cm未満の小さすぎる床板は使いにくく、工事が行いにくいので使われません。スギやマツ、ヒノキなどの針葉樹系は長い材料が取れるので4m近い長さの床板もあります。オーク、アッシュ、ブラックウォールナットなどの広葉樹系は182cmほどです。広葉樹はあまり長い材料が取れないので、だいたい150cm以下で作られています。
■ソリッドユニタイプ
ソリッドユニタイプは、乱尺の床板を工場であらかじめ182cmになるように組み合わせて作られた床材です。色合いもそろえてありますので、仮ならべの手間も少なく、現場での作業も短縮できます。
目地が目立ちにくいので、無垢フローリングの味わいが損なわれることもあります。
ななめ張り
張り方をななめにするだけでガラリと印象が変わります。
部屋に対して、ななめ45度に張っていきます。インテリアとして、デザインとして、独立性を持たせた空間を作るのに適しています。
ななめ張りの良いところは、専用のフローリングを使わなくてもできることです。次に紹介するヘリンボーンの床材はそれ専用の床材が必要になりますが、ななめ張りは高価な専用床材を使わず、少しの手間で工事が可能です。
ヘリンボーン(張り)
ヨーロッパで広く流行し、日本には明治・大正時代に入ってきました。無垢フローリングの小さな組み合わせで、先端が互い違いになるように張っていきます。日本では古い時代の洋館に多く採用されており、クラシックな印象を与えてくれます。
とても印象的な床の張り方ですので、インテリアに劇的な変化があります。最近はコーヒーショップやカフェにも採用されています。
インテリアで使う場合、ブラックウォールナットやチークなどが最適です。もともと印象の強い床材をより魅せるために使われます。
市松張り
市松模様のように、無垢フローリングの小さな木片を組み合わせて作ります。ヘリンボーンと同じく、明治・大正時代に日本に取り入れられました。
市松張りは、同じ長さの木片を正方形にそろえて組み合わせたものです。組み方により何種類かあります。古い小学校では、今でも市松張りのところもあります。
張り方を変える利点
住まいの中で、壁・天井・床は部屋のイメージを決めるうえで重要な要素の一つです。床に使われるフローリングも部屋の一部。無垢フローリングの張り方一つで、部屋のデザインも大きく変わります。
床のデザインのポイントは色・素材・張り方の3種類。同じ床材でも張り方を変えることで違った印象になります。
部屋全体の張り方を変える
部屋全体の張り方を変えると、床もインテリアの一部になります。床のデザイン性が強く、家具をシンプルに配置して使うことができます。
一部だけアクセントに使う
私が一番驚いたのは、リビングの真ん中だけひし形になな斜め張りを採用していたところです。
ひし形の中央にリビングテーブルを配置したリビングはとても印象的でした。ちょうどカーペットのように、ごく自然に形どられていました。
まとめ
今回は部屋のイメージを左右するフローリングの張り方についてお伝えしました。
張り方一つで部屋のイメージを変えるため、注意して使う必要があるとも言えます。設計士さんと良く打ち合わせし、良い住まいづくりができるためのヒントになればと思います。
参考
・デニス・ジェフリーズ,フロアマテリアル,産調出版株式会社,2005.04
・株式会社マルホン,木材見本帳 第8号(カタログ),株式会社マルホン,2019/01/18