無垢フローリングを選ぶとき、悩むのが幅です。
一般的に、無垢材は1枚の板、もしくは短辺方向にいくつかつなぎ合わせて作ります。しかし、幅はつなぎ合わせることなくいくつかのサイズが準備されているだけです。無垢フローリングの幅はいろいろなところに影響を与えます。今回は、価格、乾燥収縮、そしてデザインの3つに焦点を当てて、無垢フローリングの幅がどのように影響を与えるのかご紹介していきます。
幅による違い:価格
無垢フローリングの幅は、価格に大きな影響を与えます。どんな床材も、幅が広くなるほど金額が高くなります。
無垢フローリングの幅は90~120mmが一般的
無垢フローリングの一般的な幅は90~120mmです。
日本で販売しているほとんどの無垢フローリングがこの寸法に納まります。90~120mmの幅であれば、価格は床板のグレードに左右されます。
150mmを超えてくると、フローリングに使える材料が限られてくるので、価格が上がります。180mmを超える材料は、一般にはまず手に入りにくく、特注品か、お店に探してもらう必要があります。
無垢フローリングの幅には限界がある
1枚の無垢フローリングの幅は、木の太さに左右されます。
幅の広い無垢フローリングは、太い大きな木からしか取れませんので、数が少なく希少性が上がり、価格が高くなります。
1本の木から取れる材料も、床材として使える部分は、木の中で限られてきます。木の中心より少し外側の、節や割れの少ない部分を使います。
幅が広いほど、節や割れが入ってくる可能性が高くなり、幅の広いものは希少価値が高く価格が高くなります。
材種により幅も価格も異なる
針葉樹と広葉樹を比べると、針葉樹が幅広いフローリングが作れて価格も安くなります。
日本で昔から使われている杉やヒノキは、針葉樹です。針葉樹はまっすぐに育ち、植林もさかんに行われているため、無垢フローリングとしてはグレードの割に低価格です。
針葉樹は90~300mmを超える幅広の材料を準備できます。ただし、300mmの床板は相応の高級品です。
床材として人気のあるオークやウォルナット、チークは、広葉樹です。広葉樹は90~120mmの床材が中心で、価格も高い製品が多くあります。
樹木自体の成長が早いため比較的大きな材料をとることができます。
幅による違い:季節による収縮
無垢材の特徴の一つに、季節による収縮があります。無垢材のフローリングは、湿気が多い梅雨や夏季、雨の日は湿気を吸収し、冬場や晴れた日に湿気を放出してくれる自然の調湿材です。
湿気を吸収・放出したときに床材が延びたり縮んだりします。冬場は特に空気が乾燥しやすく、床板が縮む原因です。
床板の縮み方
無垢フローリングは長さより幅方向が縮みやすい特徴があります。長さ方向の縮みやすさが1とすると、幅方向は10ぐらい縮みます。
幅方向が縮みやすいので、冬場になると目地が開く原因はココにあります。
また、収縮率は幅の広さによらず一定なので、幅の広いフローリングほど目地が開きやすくなります。
なお、材種によっても縮み方が異なります。一般的に広葉樹系は縮みやすく、針葉樹は縮みにくい性質があります。
実際の縮み方
実際にどの程度縮むか、現在人気が高いタモの床材で計算してみます。
1. フローリングの幅方向の動き(mm) = 含水率の変化(%) × 収縮率(%) × 板幅
2. タモの平均収縮率は板目方向で0.39%です
3. 板の含水率の変化は3%で計算
結果:
90mm幅の場合: 約 1.05mm
120mm幅の場合: 約 1.40mm
150mm幅の場合: 約 1.76mm
結果は上記のようになり、幅の広いものほど大きく縮むことがわかります。幅150mmの場合2mm近く縮むことになり、冬場には大きな隙間になってしまうのです。
季節による収縮が少ない材種
無垢フローリングの中にも、季節の収縮が少ない材種もあります。
チーク(0.12%)やウォルナット(0.23%)、オーク(0.23%)材などは比較的収縮が少ない材料です。先に計算したタモ材料と比べてみると、オークやウォルナットは半分程度の収縮率です。
そう考えると、全館空調や床暖房などの部屋の空気が乾燥しやすい住まいではオークやウォルナットなどの材料が向いていると言えます。
幅による違い:デザイン
無垢フローリングの幅が最も影響するのはデザインです。
幅による違いは、木目や木柄、色ムラなどの全体の印象につながります。表情豊かな無垢フローリングの特徴でもあります。
幅の広いものは高級感のあるデザインに、幅の狭いものはモダンなデザインに用いられることが多いようです。
幅の狭いデザイン
まとめ
今回は無垢フローリングの幅に焦点を当ててご紹介しました。
無垢フローリングの幅が最も影響を与えるデザインについては個人の好みがあります。
デザインは設計士さんやさまざまな資料を見比べて、ご検討してください。