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ひび割れが心配なモルタルの内装。オシャレに利用するためのコツはこれ!

モルタルによる内装の仕上げは、グレーでシンプル&クールな雰囲気ある空間も作り出し、デザイン住宅などの壁や床でも見られます。砂とセメントと水を混ぜて作られる左官材料であるモルタルですが、壁や天井に塗ることで生まれる無機質感は、インダストリアルテイストなどクールでスタイリッシュな質感を求める人たちを中心に人気があるようです。

今回はモルタルの屋内施工での注意点について解説し、合わせて事例を紹介していきます。

人気のモルタル内装!その魅力とは?

モルタル内装の魅力は、なんといってもその色と質感でしょう。都会的でスタイリッシュな演出を叶えてくれるモルタルは、インダストリアルスタイルやブルックリンスタイルなど、クールでカッコいいテイストのインテリア作りにぴったりな建材のひとつです。

その一方で、モルタルは左官職人の手作業で施工されるため、コテ跡のムラが残り、それが光に当たると独特の陰影が生まれます。手仕事ならではの温かみを感じさせるので、ナチュラル感あるフローリングやグリーンなどと合わせても使いやすいという一面もあります。

また、モルタルは施工の自由度が高い建材でもあります。高度な職人技が必要にはなりますが、練ってペースト状になったモルタルを塗り付けるので、曲面や変則的な面でもきれいに仕上げることができます。わざと厚みを付けて塗り重ね、表面にレリーフを掘ったりレンガの質感を再現したりするなど、モルタル造形の技を使えば、多様な演出が可能になります。

左官材料であるため、継ぎ目なくシームレスに仕上げられることも、モルタルの魅力の一つといえるでしょう。タイルや壁紙などではつなぎ目や目地ができてしまいますが、モルタルなら一続きの面として仕上げられることも注目したい点です。

モルタルのひび割れの原因と対策

素敵な雰囲気を作り出すモルタルですが、気を付けておきたいのがひび割れです。モルタルの原料はセメントです。セメントは水蒸気と二酸化炭素が作用して石灰石に戻ろうとする働きがあります。これはモルタルとして固まった後も続く性質で、内装を仕上げた後も乾燥による収縮によってひび割れができてしまうということです。

ひび割れだけですぐにモルタルが崩れるということではありませんが、そのままにしておくと、モルタルの浮きやはがれが生じる原因になったり、ひび割れから水分などが浸透して下地の素材が劣化してしまうことも考えられます。

モルタルのひび割れへの対策は、割れ目に補修材を注入するなどの方法があります。小さいものならDIYでもできることがありますが、大きいひび割れには専門家の力を借りることが有効でしょう。また、樹脂系のモルタルやモールテックスなど、ひび割れに強いモルタルの種類を選ぶことで、メンテナンスしやすくすることも検討してはいかがでしょうか。

モルタルを内装に使うなら、気を付けていても多少のひび割れやシミ汚れは避けられない場合が多いと覚えておきましょう。ひび割れも経年変化の一部と考え、モルタルならではの味わいやビンテージ感として楽しむこともできるかもしれません。

モルタルを内装に使用したリフォームの事例

耐久性の高い樹脂系のモルタルで仕上げた天井

こちらは天井をモルタルで仕上げたお部屋です。モルタルのムラのある塗り跡が味わいになってビンテージ感をプラスしてくれていますね。また、ブラックのアイテムや黒目地の白タイルとも好相性。海外ドラマに出てきそうなクールなインテリアにまとまっています。

一方で、ひび割れの心配が付きまとうモルタルは、頻繁なお手入れが難しい天井には使いにくい建材かもしれません。今回の事例ではひび割れに強い樹脂系のモルタルを使っており、施工後2年を経てもきれいな状態を保っているそうです。

使う場所に合わせてモルタルの種類や施工方法をプロとしっかり相談するのが、モルタル内装を成功させるコツの一つといえるかもしれません。

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玄関からキッチンまでが一続きになるモルタルの廊下

こちらのモルタル床の上には、手前には洗面スペース、黒い扉の向こう側にはキッチンもあります。モルタルそのものは水に強くないとされていますが、モルタルの種類や表面の塗装などを工夫すれば水回りでもモルタルを使えると覚えておきましょう。

玄関廊下の事例ですが、シームレスに施工できるモルタルによって奥の部屋までの連続性が感られ、玄関を入るとリビングまで招かれているよう。ホワイトの壁や木目が活きるドアなどナチュラル感あふれるアイテムにモルタル床が馴染んでいます。

クールな印象のモルタルも、フローリングやグリーンなど、ナチュラル感ある素材と組み合わせてると無機質な雰囲気を程よく抑えることができるでしょう。

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WICにモルタル。ポイント使いで質感をプラス

こちらはウォークインクローゼットの壁にモルタルを使用した事例です。といっても、姿見の後ろの壁はモルタルではなく、躯体現しのコンクリートです。モルタルは、躯体現しの壁の隣、白壁の上部に出ている梁の部分に使われています。

躯体のコンクリートにシンプルな配線やスイッチを組み合わせた雰囲気はまるでアパレルショップのようでかっこいいですね。しかし、この壁のようにきれいな躯体ばかりではありませんので、状態によってはモルタルで仕上げる方法も選択肢になるでしょう。

モルタルはちょっとしたところに部分的に使うこともできます。全体のテイストに少しだけモルタルを加えて変化を付けるのも上手な使い方かもしれません。

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モルタル内装のリフォームの相場

新築でモルタル壁を設ける場合、あるいはリフォームでモルタル壁を新たに施工する場合の相場は、平均して1m2あたり5000円前後のようです。安ければいいというものでもないので、相談と見積もり確認は重要です。特注でオリジナルの仕上げなどを求める場合は追加で費用がかかると覚えておきましょう。

(参考:ユーコーナビ「モルタル壁の特徴、メンテナンス時期、費用の簡単まとめ」)

まとめ

いかがでしたか?今回は、ひび割れが心配なモルタルと湿気の関係、内装仕上げに使う際のコツについて解説しました。

斬新な印象のモルタルを使っオシャレな内装仕上げ。いろいろな素材と組み合わせたり、部分的に使ってアクセントとしてうまく調和させたり、意外に使い勝手のいい面もあります。万人受けする仕上げではありませんが、ご自宅にオリジナリティを求めたい方には優れた仕上げ方法と言えます。

DIYで対応することは難しい部分もありますが、左官職人とのコミュニケーション次第で、気づかなかったリノベの可能性発見や、期待以上の仕上がりを実現できるかもしれません。ぜひ腕のいい職人を見つけ出し、自宅内でのお気に入りの空間を作ってみてください。