中古物件を購入してリフォーム・リノベーションをする場合、条件に合った物件を見つけられるかが、成功を大きく左右します。中古物件は、新築物件にはない特有の事情も多くあり、ポイントをしっかりと見極めて、良い物件を選ばなくてはなりません。
そこで今回は、中古物件選びでよくある失敗例を5つ紹介。失敗例ごとの注意点や、対策・解決法について詳しく解説していきます。
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もくじ
よくある失敗1:予算オーバーで資金計画が厳しくなる
新築の家を取得するより、中古物件を購入してリフォーム・リノベーションしたほうが、リーズナブルに理想の住まいを実現できる、と考えている人も多いことでしょう。実際、中古物件のほとんどは、同じ条件の新築物件よりも価格が手頃です。
ただし、この方法でかかる費用は、中古物件の購入代金だけではありません。リフォーム・リノベーションにかかる費用や、住宅取得にかかる諸費用も見込んでおかないと、予算オーバーで資金計画が厳しくなってしまう危険性があります。
中古住宅購入にかかる諸費用
物件購入代金に加えて、リフォーム・リノベーション費用が追加でかかることは理解していても、それ以外にかかる諸費用について、計画から抜け落ちていないでしょうか。中古住宅購入で見込んでおくべき諸費用には、次のようなものがあります。
費用項目 | 費用の内容 | 費用目安・計算方法 |
登記費用 | 不動産の所有権移転登記に係る登録免許税、印紙税、司法書士への依頼費用など | 20〜30万円程度 ※評価額によって異なる |
仲介手数料 | 不動産仲介会社に支払う手数料 | (購入価格×3%+6万円)+消費税 |
固定資産税・都市計画税 | ・不動産の所有者が毎年納める税金 ・年度途中で引渡しを受けた場合の買主負担分を精算 | 日割計算 |
不動産取得税 | 物件取得時に所有者が納める税金 | 固定資産税評価額×3% ※軽減税率、本則は4% |
住宅ローン関連費用 | ローン保証料、事務手数料、登録免許税、印紙代など | 購入代金の8%程度 |
火災保険・地震保険 | 住宅ローン利用にあたって加入する保険にかかる保険料 | ・火災保険:10年で15〜40万円程度 ・地震保険:5年で5〜25万円程度 |
引越し費用 | 旧居から新居へ引越す際の費用 | 10〜20万円程度 |
参考:中古住宅購入にかかる諸費用はいくら?内訳を解説!諸費用込みでもローンは可能?
参考:住宅ローンの諸費用って何?どれくらいかかる?節約する方法は?
これらの諸費用合計で、一般的に、購入代金の6〜10%程度が目安と言われています。たとえば3,000万円の中古住宅を購入すると、180〜300万円の諸費用が追加でかかるという計算です。
諸費用だけでまとまった金額になるため、あらかじめ見込んでおかないと、予算オーバーになってしまう危険性があるでしょう。
諸費用とリノベ費用を事前に確認しておこう
予算オーバーを防ぐための対策としては、諸費用とリフォーム・リノベーション費用を事前に確認しておくことが効果的。予算計画時に、購入代金の6〜10%程度を諸費用として見込んでおきましょう。
リフォーム・リノベーション費用は、プラン内容によって異なるため、リノベーション会社へ事前に確認しておくのがおすすめです。この後の章で紹介しますが、追加費用の可能性も考えた、余裕のある予算計画を立てることで、失敗するリスクを小さくできます。
よくある失敗2:想定外の出費がかさんでしまう
中古物件購入における失敗でよくあるのが、当初想定していた内容以外の出費が、かさんでしまうというケース。物件購入費用を抑えられても、追加でかかった修繕費用や耐震補強費用などを合わせると、新築で購入するのとあまり変わらないといった事態に陥りかねません。
築年数の古い物件では見えない部分に要注意
この失敗が起こりやすいのは、築古の中古物件を購入するケースです。築古物件の価格の安さだけに気を取られて、状態の良し悪しをチェックしないまま購入すると失敗するリスクが高まります。
問題は、目に見えない部分の老朽化・欠陥です。築年数が経過すると、配管や床・壁・天井の下地など見えない部分も含めて、老朽化が進行します。こうした箇所の不具合を放置すれば、漏水をはじめとした大きな問題に発展するリスクもあります。
中古戸建てを購入する際には、耐震性能や断熱性能にも要注意。木造住宅の耐震性能については1981年以降の新耐震基準だけでなく、2000年以降の耐震基準を満たしているかどうかも確認しておきましょう。断熱性能に関しては法的に定められた明確な基準がないので、リノベーション会社や設計会社といったプロに確認してもらうのが安心です。
プロによる調査と余裕ある資金計画が肝心
想定外の出費をなるべく減らすためには、物件選びの段階でプロによる調査を依頼するのが有効です。プロによる調査は費用がかかるかもしれませんが、購入後に補修するとなれば、数百万円単位の出費となる可能性もあります。
たとえプロに見てもらったとしても、100%想定外の出費を抑えられるわけではありません。購入前に問題がなかった箇所も、住み始めてすぐに不具合が生じるというような事態も十分考えられます。
中古物件では、想定外の出費もかかるものと捉えて、最初から余裕のある資金計画を立てておくことも重要です。
よくある失敗3:建物構造によりプランが制限される
中古物件購入でよくある失敗の3つ目は、建物構造上変更が難しい箇所があり、思い描いていたリノベーションプランが実現できないというケースです。
マンション・戸建ての主な建物構造とその特徴
中古物件では、既にある建物を活かせる範囲でしかリフォーム・リノベーションができません。マンション・戸建てそれぞれの主な建物構造と特徴をまとめて見ていきましょう。
マンション | |
ラーメン構造 | ・柱と梁を組み合わせた枠で建物を支える構造 ・壁を取り払いやすいので、間取り変更の自由度が高い ・室内に柱や梁が出てくるので、レイアウトが制限される場合あり |
壁式構造 | ・壁によって建物を支える構造 ・室内に柱や梁が出てこないので、レイアウトの自由度が高い ・耐力壁と呼ばれる建物を支える壁は取り払うことができない |
戸建て | |
木造軸組構法(在来工法) | ・柱、梁、筋交いを組み合わせて建てる日本古来の工法 ・間仕切り壁の移動がしやすく、間取りの自由度はかなり高い ・柱を移動するのは難しい |
2×4(ツーバイフォー)工法 | ・2インチ×4インチの角材と木製パネルから成るパネルを組み合わせて建てる工法 ・在来工法に比べて耐震性能を高めやすい ・間仕切り壁の移動が難しく、間取り変更は大きく制限される |
上記のとおり、建物構造によって間取り変更やレイアウトの自由度に大きな差があります。おまけに建物構造は変更が効かないので、希望していたプランが実現できないという失敗につながるのです。
リノベプランを実現できる物件を選ぼう
こうした失敗を防ぐためには、リノベーションプランを実現できる構造の物件を選ぶようにしましょう。
特に、間仕切り壁の撤去を伴う間取り変更を予定している場合には、壁式構造のマンション・2×4構造の戸建ては避けたほうがいいかもしれません。
よくある失敗4:水回りの位置が変えられない
先ほど配管の老朽化が問題になることがあると紹介しましたが、中でもマンションの水回りの配管は制約がかかるケースがあります。
参考記事:完全版|水回りのリフォーム・リノベーションのガイド〜種類・費用・事例まとめ〜
見えない配管のルート
戸建ては比較的自由に水回りの配管を移動できますが、マンションでは制約がかかるケースが多くなっています。
マンションは、各階のパイプスペース内に大きな配管が通っており、そこに各部屋の水回りから配管が接続されているという作りです。排水管は、傾斜を利用して水を流しているので、パイプスペースの位置を変えるのが難しい上、水回りの位置を大きく変更するのは難しいのです。
中古マンションを購入したものの、水回りの位置が変えられず、理想のリノベーションプランが実現できないという失敗が見られます。
プロに確認してもらうことが大切
繰り返しになりますが、外から見えない配管については、プロに見てもらうのが一番です。配管ルートを確認してもらった上で、どこまで水回りの位置を変更できるのか相談してみるとよいでしょう。
また、配管位置の変更はマンションの管理規約で制限されている場合もあります。管理規約の内容も事前に確認して確認しておきましょう。
よくある失敗5:周辺環境やご近所付き合いに難あり
建物や設備の不具合であれば、費用さえかければ解決ができます。しかし、自分の力でどうにもならないのが、周辺環境や近隣住民の存在です。
自分ではどうにもできない周辺環境とご近所さん
気に入った物件で希望どおりのリノベーションが実現できて、いざ新生活がスタートというタイミングで問題になりやすいのが、騒音問題や治安の悪さなど、周辺環境による影響です。どれだけ物件が魅力的でも、環境が良くなければ、快適な住まいとは言えません。ご近所付き合いが難しく、住みづらさを感じるというケースもあります。
こうした外部要因は、物件を内見しただけでは状況がわかりません。建物や土地の状態だけで購入を決めてしまうと、住み始めてから「こんなはずではなかった」と後悔する危険性もあるのです。
物件だけでなく周辺環境もリサーチしておこう
こうした失敗を防ぐためには、物件自体だけでなく、周辺環境もリサーチしておくことが大切です。実際に自分の目で確かめることに加え、不動産仲介会社の担当者や、近所の人に聞いてみるのもよいでしょう。
治安や騒音の度合いは、曜日や時間帯によって異なる場合もあるので、できれば、平日・休日、昼・夜でどのように環境が変化するか、確認しておきたいところです。
まとめ
今回は、リフォーム・リノベーションを目的に、中古物件を購入する際、ありがちな失敗例を5つ見てきました。いずれの失敗も、購入前にしっかりとリサーチし、必要に応じてリノベーション会社などのプロに相談すれば防げるものです。
新築に比べてリーズナブルであることだけに注目するのではなく、一生に一度の大切な買い物になるかもしれないという意識で、慎重に検討するよう心がけましょう。
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