リノベーションで人気の設備として、高い収納力を誇るウォークインクローゼットが挙げられます。しかし、面積の限られているマンションだとなかなか設置するのは難しいと考えている人も多いのではないでしょうか。そんな人におすすめなのが、収納としての機能を保ちつつ通り抜けができるウォークスルークローゼット。

今回は、ウォークスルークローゼットとはどのようなものなのか、マンションに設置するメリット・デメリットを解説。ウォークスルークローゼットを取り入れたマンションリノベーションの事例を3つご紹介します。

ウォークインとウォークスルーの違い

最初に、ウォークインクローゼットとウォークスルークローゼットの違いについて見ていきましょう。

ウォークインクローゼットとは、人が中に立ち入れるタイプのクローゼットのこと。出入り口から入ると壁面に収納が並んでおり、多くの衣服や小物をしまっておくことができます。ウォークインクローゼットは出入り口が1カ所、間取りとしては行き止まりになっているのが一般的です。

ウォークスルークローゼットもウォークインクローゼットと同様、人が中に立ち入れるようになっています。ウォークスルークローゼットの最大の特徴は出入り口が2カ所以上あること。そのため収納スペースだけでなく、生活動線としても並行して使える点が特徴です。

マンションだからこそ意識したいメリット、デメリット

ウォークスルークローゼットは面積を多く使うため、日本の狭いマンションではなかなか導入が難しいと考えがち。ただ、マンションだからこそ設置するメリットもあります。続いては、マンションだからこそ意識したいウォークスルークローゼットのメリット・デメリットを解説していきましょう。

マンションだからこそ意識したいメリット

• 収納スペースだけでなく、生活動線としても活用できる
• 収納スペースを1つにまとめることができ、空間を効率的に使える
• 多用途の収納スペースとして活用できる

ウォークスルークローゼットは面積を必要とする一方で、廊下や通路の役割も果たします。つまり、収納力を兼ね備えた廊下と考えることもできるのです。2つ以上の部屋から立ち入ることもでき、通常なら2つ収納が必要なところを1つにまとめることも可能。全体的に見れば、ウォークスルークローゼットを設置した方が空間を効率的に使える可能性があります。

マンションに設置する場合のデメリット

• 大きなスペースが必要
• 構造上、配置に制限がある場合が多い

通り抜けできるとは言え、単純に大きなスペースが必要になることはデメリット。ウォークスルークローゼットは動線上に設置することになるため、配置は特に配慮しなくてはなりません。しかし、マンションの場合、構造の関係で間取り変更に制限がある場合も多く、必ずしも希望している位置にウォークスルークローゼットを設けられないこともある点は要注意です。

事例1：生活動線に組み込めば便利

マンションでウォークインスルークローゼットを導入するメリット・デメリットが整理できたところで、実際のマンションリノベーション事例を3つご紹介していきます。1つ目はこちらの物件です。

かつて和室＋押し入れだった部分の間取りを変更し、廊下〜洋室につながるL字型のウォークスルークローゼットが完成しました。リビングや水回りからも近い位置にあるので、家事動線的にも使いやすい作りですね。

双方向から入れるため、主寝室の収納としてだけでなく、家族全員の共用クローゼットとして活用できるのもポイント。これなら空間を効率的に使えます。

事例2：2つの部屋をつなぐ動線

2つ目にご紹介するのは、2つの居室をつなぐ通路を兼ねたウォークスルークローゼット。どちらの部屋からもアクセス可能なので、個別に収納スペースを確保する必要がありません。洗濯物も1カ所にしまえばOKなので、家事も少し楽になりそうですね。奥の部屋の入り口は可愛らしい家形にすることで、インテリアのアクセントにもなっています。

事例3：書斎兼ウォークスルークローゼット

3つ目にご紹介するウォークスルークローゼットは、やや応用的といえるかもしれません。ウォークインクローゼットの奥に書斎スペースがあり、その手前の通路がクローゼットになっているというレイアウトです。

コロナ禍による在宅ワークの増加により、リノベーションでも書斎のニーズが高まっています。書斎は小さな空間と言えど、貴重なスペースを割かなくてはいけないというのも事実。この部屋のように書斎とウォークスルークローゼットを一体化することで、作業場所・収納・生活動線という異なる3つの機能を、1つの空間で実現できるのです。

まとめ

マンションリノベーションにおいて、ウォークインクローゼットを配置するには面積が足りないと諦めている人も多いかもしれません。スペース不足なマンションだからこそ、動線として併用できるウォークスルークローゼットを検討したいところ。マンションで収納スペースの確保に苦心しているなら、ウォークスルークローゼットを設置してみてはいかがでしょうか。