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適法建築の証明、検査済証はどこから発行される?

検査済証とは、建物が建築基準法や関連する規定に則って建てられたことを証明する書類です。新しく建てられた建物や大規模な増改築をした建物を使い始める前に取得しなければならないもので、建物の売買や住宅ローンなどの融資の審査でも必要とされることがある、大切な証明書と言われます。

今回は、検査済証がどこから、どうやって発行されるのか、ご説明していきます。

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検査済証を発行するのは建築主事・指定確認検査機関

検査済証は、建物が完成した後に行う検査で法律に違反していないことが認められると発行される証明書です。検査済証を発行するのは、建築主事か指定確認検査機関です。これらが発行元の検査済証であれば、法的に同等に扱われます。

それぞれについて、概要を見ていきましょう。

建築主事は行政の職員

建築主事というのは、地方自治体に所属する公務員です。資格を持ち登録された建築の専門家で、自治体の首長から任命され、建築に関する審査や検査などを行っています。都道府県や人口25万人以上の市町村などに置かれており、建築主事が属する自治体は特定行政庁と呼ばれます。

指定確認検査機関は民間の法人

国や都道府県から指定を受けて建築に関する確認検査業務を行う民間の会社や団体です。建築基準法や関連法規で資格が規定されています。実際の業務を行うのは、定められた資格を取得し国に登録した検査員です。

指定確認検査機関は、1998年の法改正から導入された比較的新しい組織です。それまで建築主事が行っていた業務の一部を、民間で担当できるように制度が整えられました。建築主事は確認検査業務以外にも、違法建築への対応など多岐にわたる業務を担っています。行政と民間で役割分担して業務を効率化しよう、ということが背景にあったそうです。

とはいえ、指定確認検査機関が建築主事から全く独立して業務を行っているということでもありません。指定確認検査機関が担当した審査や検査については、建築主事に報告が行われ、もし何か問題などがあれば建築主事が所属する特定行政庁が対応に当たることになっています。

現在、検査済証の発行を含む確認検査業務の大多数が指定確認検査機関によって行われているそうです。営利目的の民間組織であるため、料金は一般的に建築主事よりも高くなるのですが、それでも審査や検査のスピードが速かったり、日程の融通をきかせられたり、電子申請ができたり、といったサービスの良さがあるとのことです。

参考情報:ハウール「建築主事(特定行政庁)と指定確認検査機関の違いってなんなんでしょうか?」

検査員ってどんな人?

病院でもらう処方箋に医師の名前があるように、検査済証には建築主事か検査員の名前があります。どちらも確認検査業務を行う建築の専門家です。

検査員は、建築基準適合判定資格者検定という国家試験に合格した、判定士と呼ばれる国家資格を持つプロフェッショナルです。この試験を受けるためには、一級建築士の資格と指定業務での実務経験が必要とされます。建築主事は、判定士の資格を持っている公務員です。

検査済証が発行されるまでの流れ

検査済証の発行手続きが行われるのは、新築や既存の建物の増築や改築などの工事が終わった後です。

工事完了日から4日以内に完了検査の申請がなされ、申請が受理されてから7日以内に完了検査が行われることと定められています。完了検査は、申請書類や実際の建物を検査員がチェックします。検査の結果、建築が建築関連法規に適合していることが認められれば、検査済証が発行されます。

手続き業務はほとんどの場合において、建築主に代わり工事を請け負った工務店やハウスメーカーが代理で行います。発行された検査済証は、いったん工事の請負業者の手元に保管され、建物の引き渡し時に他の書類と一緒に建築主に引き渡される手順が一般的です。

検査済証は、発行されたという事実が大切です。なぜなら、検査済証が発行されているということは、建築物の適法性が認められた証明になるからです。検査済証は、完了検査を行った建物を使用する時、住宅ローンや融資を利用する時、建物を売却する時、増築や大規模な改築を行う時などに必要です。

建物に関わる大事な場面で必要な検査済証ですが、再発行されない、ということを覚えておいてください。紛失しないようにしっかりと保管しておきましょう。

検査済証が無い!発行してもらうには

検査済証は、工事の完了した建物が使用される前に発行されるものなので、使用されたことがある建物なら基本的には検査済証があるはずです。しかし例外もあります。

例えば、中古物件を購入してリノベーションする場合、購入した物件に検査済証が無いことも。そのために建築確認手続きが進められず、リノベーションの工事が行えない、ということにもなりかねません。

なぜ検査済証が無いのでしょうか。その理由としては2つのパターンが考えられます。一つは、発行された検査済証を紛失したパターン、もう一つは検査済証が発行されていないパターンです。それぞれ対応策がありますので、紹介します。

検査済証は発行されたが紛失した

検査済証は1部しか交付されないので、紛失しても再発行はできないことになっています。発行元に頼んでも再発行されません。

しかし、紛失した検査済証の代わりとなる書類を取得することで、建物の適法性を証明する方法があります。代わりとなる書類は、「(建築)台帳記載事項証明書」で、検査済証が発行された記録が確かにある、という内容を証明します。

また、「建築計画概要書」でも検査済証の発行を証明できることがあります。通常、検査済証が発行されていれば、建築計画概要書に建築確認番号と日付が記入されているので、それが検査済証発行を証明する情報とされます。

どちらの書類も、自治体の役所で必要な申請をして交付してもらいます。建築関連の窓口で相談してみましょう。

検査済証がもともと発行されていない

建築年がある程度古い住宅では、検査済証が無いまま使用されていることも少なくないことが分かっています。完了検査が広く実施されるようになったのは2000年代からとも言われており、それ以前の建物は検査済証を取得していないこともよくあるようです。

もともと検査済証が発行されていない建物でも、検査済証に代わって適法性を証明する方法はあります。「法適合状況調査」と呼ばれる調査で、指定確認検査機関などの専門家に依頼して、図面審査や現地調査を行い、適法性を証明する書類を作成してもらうことができます。

法適合状況調査を依頼するなら、事前に必要な書類を用意する必要があること、費用や時間がかかることを覚悟しましょう。また、調査の結果、関連法規に適合していない部分があると分かれば、改修が必要になることもあります。

参考記事1:HAGS「検査済証の再発行ってできる?!できない?!」
参考記事2:HAGS「検査済証がないことによる問題点とは?マンションの場合も解説」
参考情報:「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」について(国土交通省)

まとめ

検査済証は、建物が関連法規に適合していることを証明する大切な書類です。検査済証を発行できるのは建築主事か指定確認検査機関ですが、現在、検査済証の多くは指定確認検査機関によって発行されています。

検査済証は再発行ができないのでしっかり保管しておきたいところです。一方で、検査済証が無い建物にも適法性を証明する方法はあります。専門家に相談してみましょう。

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