「浴室の床が冷たくて困る」「濡れた床で滑って危ない思いをした」。このような浴室の悩みは、床材の選び方で解決できる場合があります。
浴室に使われる床材には、実は様々なタイプがあります。冷たさを軽減するものや、滑りにくいものまで。床材にこだわることで、より快適なバスタイムを楽しめるでしょう。
今回は、浴室の床材の様々な種類をご紹介。お風呂をリフォームする方も、新築の方も、理想の浴室作りのためにご参考になさってください。
浴室の床材に求められることとは?
まず、浴室の床材選びのチェックポイントをお伝えします。求める機能は人により様々ですが、以下のポイントを知っておくことで、あなたに必要な床材がハッキリしてくるでしょう。
【安全であること】
浴室は滑りやすく、転倒のリスクに注意すべき場所でもあります。浴室が狭い場合、浴槽の角に体をぶつけたり、ドアのガラスを割ってしまったりという危険も。
最近では、床が濡れていても滑りにくい加工が施された床材もあります。また、硬い床材よりも柔らかい床材の方が、転倒の際の衝撃軽減にも役立つでしょう。さらに乾きやすさを売りにしている床材を選ぶことも可能です。
【快適である事】
はだしで触れた時に感じるヒンヤリ感や、膝をついた時に感じる硬さ。ちょっとした不快感も、毎日のように続けばストレスとなりかねません。
このヒンヤリ感や肌に感じる硬さを軽減させることでも、浴室の快適さはワンランク上のものとなるかもしれません。
【手入れがカンタンであること】
お風呂掃除の大変さに頭を悩ませる方は多いのではないでしょうか。まめに掃除ができれば良いのですが、忙しい毎日の中でなかなか掃除ができない事もあるでしょう。
そんな時には、そもそも汚れにくい機能をもつ床材を選ぶのもひとつの手です。さらに、掃除しやすいタイプを選ぶのも有効でしょう。目地がなく隅を掃除しやすいタイプなど、掃除の負担を減らしてくれる床材も販売されています。
浴室床材の種類一覧
浴室の床材に使われる素材は様々。ここでは、主に使われる4つの床材をご紹介します。
【樹脂】
ユニットバスで最も一般的と言われていますが、在来工法でも使用可能とされる床材。
樹脂製の大きなメリットは、乾きやすさと耐水性です。また、メーカーからは水はけを良くした製品も販売されているなど、多くの利点を持っています。一方でメーカーの既製品が主流となっているため自由度には制約があるとされており、「自分好みのデザインを実現したい!」という方には不向きかもしれません。
浴室において耐水性は重要なポイントです。床下に水が浸水することで、建材を傷める、階下に水が及ぶなど、大きなトラブルのもとにもなりかねません。特にユニットバスの場合、床下の空間が浴室と他の部屋で繋がっているケースが多いとされているため、注意しましょう。
【タイル】
タイルは、板状の素材を多数張り付けたもの。素材はプラスチックや陶器などから選ぶこととなり、板のサイズも様々。そのため、デザインとしての自由度が高く自分好みの浴室が作りやすいタイプです。
滑りにくさを高めたコルクタイルを選ぶことで安全性を高めたり、触れた時のヒンヤリ感を軽減したタイルを選んだりと、性能面での選択肢も豊富であることが特徴として挙げられます。
ただし、目地の部分に水分が残りやすく掃除の手間がかかりやすい一面も。大判タイルやカビに強い目地材を選ぶといった工夫で使いやすさを向上させても良いでしょう。
【木材】
木材の床は、自然素材の風合いが魅力です。和風の浴室にしたい、木の質感でリラックスしたい方にはうれしい床材と言えます。比較的滑りにくい点もメリット。
しかし木材は本来、水分により劣化しやすい素材です。防カビ、防水の機能がしっかりしている素材を選ぶなど、導入には入念な下調べが必要となるでしょう。
【石材】
石の床材は、使い方によっては高級感やリゾート地のような特別感を演出することも可能です。しかし水や汚れを吸着しやすい、滑りやすいというデメリットも存在します。
浴室の場合は石の種類選びに注意が必要です。大理石や石灰岩は水に弱く、向いているのは石英岩や御影石と言われています。
浴室メーカー別に見るユニットバスの床材
浴室で使われる床材についてご紹介しました。それぞれにメリットやデメリットがあることがお分かり頂けたと思います。
次は、メーカーから販売されているユニットバスの床材をご紹介。有名メーカーの床材は、使い心地を向上させるために多くの加工が施されています。あらゆる悩みを一度に解決できる物も見つけられるかもしれません。
LIXIL「キレイサーモフロア」
汚れの取れやすさと、触れた時の冷たさ軽減を兼ね備えた製品です。
皮脂汚れをはじき、水で流れやすくする表面処理によって汚れを落としやすくする工夫がされています。また、表面の溝が浅く広くなっていることで、スポンジによる掃除の際に奥の汚れを取り除きやすいことも注目点でしょう。
冷たさ対策としては中空バルーンを含んだ断熱層をはさみ、足裏から熱が逃げにくくなるように設計。光熱費を使わずに足裏の温度が保たれやすくなっている床材です。
TOTO「お掃除ラクラクほっカラリ床」
床のクッション性と、多層構造による冷気のシャットアウトが特徴。
TOTOが「まるで畳のようなやわらかさ」とアピールするクッション性は、転倒が心配な子供や高齢者の足裏にフィットして滑りにくく、そして物を落とした時の衝撃音も吸収するとしています。
さらに断熱材を取り入れた多層構造によって、足裏の温度低下を抑える効果も実現。表面パターンはすべりにくく乾きやすいよう加工されており、転倒リスク軽減だけでなく掃除の手間の軽減にも配慮した商品とされます。
タカラスタンダード「キープクリーンフロア」
クリーンコーティングを施した磁器タイルを採用することで汚れを落としやすく、さらにキズ付きにくくしている床材です。また、磁器はお湯をかけることであたたかくなり、冷たさ対策もされています。
従来の樹脂製に比べて水だけでも皮脂汚れが落ちやすく、またキズに強くしているため汚れが入り込みにくくなっています。
硬いタワシでこする、イスを引きずるなどの些細な動作によるキズを予防し、お手入れも手軽にする床材と言えるでしょう。
Panasonic「スミピカフロア」
床の隅や排水口など、掃除しづらい場所の凹凸を減らしてメンテナンス性を上げた床です。表面のパターンも、水滴を分散させるなど水分の乾燥を早める工夫がされています。
加えて、表面にガラスビーズを混ぜたコーティングを施したバージョンでは、キズへの耐性もアップ。汚れにくさも向上しています。
お手軽に浴室床材を替えたいときには?
これまで、床材の種類やメーカーのユニットバスの床材についてご紹介しました。いずれも設置するには、新築ないし比較的大がかりなリノベーションが必要になるものです。
もしかしたら、「気になる物はあるけど、手が出せない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで最後に、比較的お手軽にリノベーションできる「浴室用床シート」をご紹介します。
【浴室用床シートとは?】
「浴室用床シート」は、現在の床に重ねて貼るタイプの床材です。ネットショップでも販売されており、自分で切って貼ることもできるよう作られています。
クッション性や水はけのしやすさ、滑り止めなどこれまでにご紹介した様々な機能を持つものがあり、自分の欲しい性能の床材を探すこともできるでしょう。
ただ、誰にでもオススメできるDIYではない点にご注意ください。
まず、現在の床の汚れやカビはそのままとなるため、念入りなチェックが必要でしょう。貼りつけの際も、接着剤やスキマをなくすためにコーキング剤も準備しなくてはいけません。
キレイな仕上がりのためには技術だけでなく道具の費用も必要であり、業者に依頼した方が確実で安上がりな場合もあります。DIY経験や手持ちの道具と相談したうえで、自分で行うか依頼するか決めることをおすすめします。
まとめ
浴室の床材には、デザイン面から安全性、メンテナンス性など多くの機能が求められます。何を重視するかは人それぞれですが、床材の種類やメーカー製のユニットバスの床について知っておくと、理想の浴室作りに役立つでしょう。