こんにちは。不動産ライターのchimonです。今回はモルタル外壁の種類についてのお話です。
かつて日本の住宅でも盛んに用いられていたモルタルの外壁。最近では使われることが少なくなりましたが、それでもモルタル外壁ならではの手作り感や自由度の高さ、種類の多さは大きな魅力です。
そこで今回は、モルタル外壁における種類別の特徴について徹底的に解説していきます。
モルタルってどんな素材なの?
最初にモルタルとはどのような素材なのか、ご紹介したいと思います。
モルタルは、セメントと砂を混ぜ、そこに水を加えて作る建築材料。外壁として用いる際には、「ラス下地」と呼ばれる下地の上から左官コテで塗りつけていきます。モルタルを外壁に利用するメリット・デメリットは次の通りです。
モルタル外壁のメリット
●デザインの種類が多く、自由度の高いデザインが可能。
●耐火性に優れている。
モルタル外壁のデメリット
●施工期間が長く、コストもかかる。
●ひび割れが生じやすい。
●職人の技術力によって、仕上がりや品質に差が生じやすい。
モルタルそのものには防水性がないため、雨水などからモルタル外壁を守るには、表面に仕上げを施す必要があります。この仕上げの種類によって、モルタル外壁の特徴が大きく異なってくるのです。
【モルタルの種類1】リシン
続いては、モルタル外壁の特徴を仕上げの種類別に見ていきましょう。仕上げ方法は大きく5つの種類に分けることができます。1つ目にご紹介するのは「リシン」です。
リシンは、小さな砂利や砂を混ぜた塗料を吹き付けて仕上げる方法。「リシン吹き付け」とも呼ばれます。モルタル外壁の仕上げ方法としてはもっともオーソドックスな方法であり、かつて住宅の外壁仕上げとして多く用いられていました。壁の表面を触ったとき、ザラザラしているのが特徴。
リシン仕上げのメリットとデメリットは次の通りです。
<リシンのメリット>
●砂状の独特な風合いが落ち着きをもたらし、和風の住宅によくマッチする。
●コストが比較的安く、経済性に優れている。
<リシンのデメリット>
●ひび割れが生じやすい。
●塗膜の表面に汚れやカビ、コケなどがつきやすい。
【モルタルの種類2】スタッコ
2つ目にご紹介するモルタル外壁の仕上げ方法は「スタッコ」です。
スタッコ材とは、セメントに砂や合成樹脂などを混ぜた塗料のこと。スタッコ仕上げにおいては、このスタッコ材をスプレーガンで吹き付ける、もしくはコテで塗って仕上げるというのが一般的です。一見するとリシン仕上げに似ていますが、リシンよりも外壁に厚みが出ます。
スタッコ仕上げのメリット・デメリットは次の通りです。
<スタッコのメリット>
●厚みのある仕上がりなので、重厚感や高級感を演出できる。
●比較的耐久性があり、コストパフォーマンスがいい。
<スタッコのデメリット>
●表面の凸凹の間に汚れが溜まりやすい。
●塗り替えの際に塗料を吸い込んでしまうため、大量の塗料を要し施工が大変。
【モルタルの種類3】吹き付けタイル
3つ目にご紹介するのは、「吹き付けタイル」です。
名前に「タイル」とありますが、これは「ボンタイル」という外壁塗装の商品名に由来します。下塗材・主材・上塗材という3回の塗装によって仕上げます。「骨材(こつざい)」と呼ばれる砂利や砂を混ぜるリシンやスタッコと異なり、骨材を入れない吹き付けタイルは、表面に凸凹のない滑らかな仕上がりが特徴。
吹き付けタイル仕上げのメリット・デメリットは次の通りです。
<吹き付けタイルのメリット>
●表面が滑らかで、独特な風合いを出すことができる。
●ひび割れしにくく、比較的耐久度が高い。
●表面が凸凹していないので汚れにくい。
●施工スピードが早く、ローコストで作業できることが多い。
<吹き付けタイルのデメリット>
●スプレーガンで吹き付けるので、塗料の飛散が多い。
●施工の際に大きな騒音が発生する。
●一定の技術力が必要なので、綺麗に施工できる職人が限られる。
【モルタルの種類4】リシンかき落とし
最初にご紹介した「リシン」は仕上げ材のリシンを外壁に吹き付けるという仕上げ方法でしたが、コテでリシンを塗った上で、最後に剣山などで引っかいて仕上げる方法を「リシンかき落とし」と言います。こちらもザラザラとした表面が特徴です。
<リシンかき落としのメリット>
●吹きつけるよりも、重厚感のある落ち着いた仕上がりになる。
●外壁の表面積が増えて通気性が高まり、耐久性がアップする。
●リシン吹きつけに比べて塗膜が厚いので、長持ちしやすい。
<リシンかき落としのデメリット>
●施工の手間がかかるのでコストが高め。
【モルタルの種類5】左官仕上げ
最後にご紹介するのが、職人がコテで丁寧に仕上げる「左官仕上げ」です。コテで塗るため、表面は凸凹がなくザラザラしているのが特徴。
<左官仕上げのメリット>
●手作業の風合いが出るので、味のある外壁に仕上がる。
●塗り方によって自由に模様をつけられるので、デザインの自由度が高い。
<左官仕上げのデメリット>
●手作業なので、職人の技術力によって質に差が出る。
●依頼する職人や、選ぶ素材によってはコストが高めになる。
まとめ
かつては多くの住宅に採用されたモルタル外壁ですが、近年では施工性やコストの面から、サイディング外壁にシェアを奪われています。一方で、独特の風合いに惹かれる人も増えているのです。
今回ご紹介した仕上げの種類を把握した上で、自身の好みにあったモルタル外壁を取り入れてみてはいかがでしょうか。