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塗料にはどんな成分が使われているの?

塗料にはどんな成分が使われているの?

こんにちは。現場監督ライターのKUMAです。今日は塗料の成分についてのお話です。
塗料を使うと様々なものを塗ることができます。色を付ける以外にも、水や油に強くしたり、透明な膜を作るもの、塗ると鉄のような質感が出せる塗料もあります。
様々な性能を持つ塗料ですが、その成分は大きく4つに分かれます。今回はその成分について、どのようなものがあるかをご紹介します。

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塗料は4つの成分から作られる

塗料にはどんな成分が使われているの?

塗料のメインの役割は、ものの表面を覆って表面を保護し、また美観を与えることです。
塗料は、樹脂、溶剤、添加剤、顔料の4つの成分から構成されています。これらを上手に組み合わせて、様々な効果を発揮する塗料が作られています。
塗料の細かな成分の組み合わせや配合は企業秘密のようです。

1.塗料のメインとなる樹脂

塗料のメイン材料は樹脂成分です。樹脂は、ものの表面を保護し、美観を与える役割を担います。樹脂によって耐候性や耐水性などを高めることができます。
アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機系、ミツロウ、カルナバワックスなど、様々な樹脂成分があります。天然のものから合成樹脂まで、用途と目的に応じて使い分けます。
塗膜の性能や特徴は、使われる樹脂により大きく左右されます。

2.樹脂を均一に覆うのを助ける溶剤

樹脂がものの表面を均一に覆うのを手助けをするのが溶剤の役割です。
樹脂は、硬く流動性がありません。そのままでは塗り広げることができません。溶剤の中に樹脂成分を均一に広げた状態で塗布し、溶剤が揮発するとものの表面を樹脂が残るという仕組みです。
溶剤は、有機系溶剤と水の2種類に分かれます。有機系溶剤はさらに天然成分のもの、合成成分のものに大別されます。昔から油絵に使われる溶き油(テレピン油、ペトロール油等)も溶剤の一種です。多くの塗料には有機系溶剤(トルエン、キシレン、エタノール等)が使われます。有機系溶剤は人体や自然環境に悪影響を与えるものが多くあります。
そこで、その代わりとして使われているのが水です。水なら揮発しても人体に悪影響はありません。人体への影響を考え、現在では溶剤に水を使う塗料が多く登場しています。

3.様々な効果を発揮する添加剤

樹脂に様々な性能を加えるのが添加剤です。
より使いやすく、長持ちしやすく、美しく仕上げるために添加剤が使われます。
例えば、塗料中のタレ止めや貯蔵中の沈殿を防止するための添加剤。塗装や乾燥時に小さな気泡を予防したり、表面を滑らかにするための添加剤。樹脂と顔料が均一に混ざり、塗料の質を保つための添加剤などです。
添加剤は、現在の高性能塗料を支えているといっても良いでしょう。

参考:塗料添加剤・樹脂添加剤

4.色を付ける顔料

顔料は塗料に色を付けます。色の他に、さび止めや蓄光・蛍光塗料も顔料の一種です。
顔料にはいろいろな材料が使われます。
顔料の歴史はとても面白く、奥の深いものです。顔料で有名なのは「青色顔料」でしょう。ウルトラマリンという青色顔料は宝石をすりつぶして使われていました。日本でよく使われる「朱色」も辰砂(しんしゃ)という鉱物から作られます。
顔料を入れず、樹脂、溶剤、添加剤で作られたものはクリア塗料と呼ばれます。

樹脂によって性能が決まる

塗膜を作るメイン材料は樹脂です。樹脂によって塗料の性能が決まります。
塗膜の主成分となる樹脂は様々な種類があります。。乾性油やボイル油などの油類。松ヤニやセラックなどの天然樹脂や加工樹脂。ウレタン樹脂やシリコン樹脂など、最も種類の多い合成樹脂。漆やカシューなども含まれます。
その中でも代表的な樹脂とその役割をご紹介します。

アルキド樹脂

塗膜の耐久性が良くて柔軟、強靱です。価格も手頃なため広く使われています。尿素またはアルキル化メラミンにより変性したアルキド樹脂は、焼付け塗料原料として一般的に使用されています。

ポリウレタン樹脂

ウレタン塗装でとして、室内の家具やカウンターによく使われます。付着性、耐久性、耐摩耗性、耐薬品性に優れています。耐候性が悪く、クリアのウレタン塗装は黄色く変色しやすくなります。

アクリル樹脂

アクリル絵の具の材料に使われることが多い樹脂です。耐候性がよく、塗膜に光沢を与えることができます。酸・アルカリに強く変色しにくいのも特徴です。塗料以外にも、有機ガラスや歯科材料、接着剤などに使われます。

塩化ビニール樹脂

優れた耐水性・耐薬品性を持つ樹脂材料です。建築材料として、臭いの問題があり最近はあまり利用されていません。

エポキシ樹脂

密着性が良く、硬い塗膜が得られます。耐水性・耐薬品性に優れており、高度な防食性、耐薬品性が必要になる用途(大型鋼構造物、船舶等)に使われます。

フッ素樹脂

住宅の外壁によく使われる塗料に配合されています。極めて耐候性が良く、塗料の寿命が長いのが特徴です。屋外にある建築物などには利用しやすい性質を持ちます。耐水性・耐薬品性にも優れています。

参考:塗料の塗り方 塗料と塗装の基礎知識

樹脂を液体のようにする溶剤

塗料にはどんな成分が使われているの?

溶剤は樹脂や顔料、添加剤を溶かし液体の状態にして塗れるようにする役割があります。ものの表面を均一に塗り、塗膜を作るには溶剤の手助けが欠かせません。
建築向けの塗料に使われる溶剤は様々ですが、大きく「強溶剤」「弱溶剤」「水性」に分かれます。

強溶剤形塗料

強力な溶解力のある溶剤を使った塗料です。有機溶剤の強い臭いがします。
トルエン、キシレン、エステル、ケトンなど、強い溶解力がある溶剤を用いた塗料全般を指します。アルキド樹脂を除く、ほとんどの樹脂は強溶剤でしか溶かすことができません。そのため強溶剤が必要になります。
強溶剤を使うと、強い塗膜を作ることが容易になります。管理された工場で使ったり、サビさせないようにしたい鉄橋や送電線支柱などで使われます。

弱溶剤形塗料

強溶剤の代わりにターペン系溶剤(灯油に近い成分)に塗料を溶かした物を弱溶剤形塗料といいます。臭いが強溶剤ほど強くありません。住宅の屋根や鉄部に使われます。
技術の進歩により、強溶剤でしか溶けなかった樹脂も弱溶剤に溶かすことができるようになってきています。「NAD型塗料」や「エマルション塗料」はこうして樹脂を溶かした塗料です。

水性塗料

室内での使用や、有機溶剤による健康被害を避けるために使われている溶剤が水です。技術の進歩により、溶剤にしか溶けなかった樹脂を水に溶かすことができるようなっています。水を溶剤にした塗料を水性塗料と言います。
臭いが少なく、住宅の内装・外装含めて今では幅広く使われています。

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まとめ

今回は塗料をつくる4つの成分についてご紹介しました。
塗料は物の表面を覆い、様々な効果を持つ塗膜を作ります。塗膜の主成分は樹脂ですが、色を付ける顔料、様々な効果を持たせる添加剤、それらを溶かして塗料らしくする溶剤の4つからなります。
塗料成分の内容によって、用途目的が異なってきます。塗料選定時には成分にも注目して選んでみても楽しいかもしれません。

参考文献
一般社団法人 日本塗料工業会,家庭用塗料入門,一般社団法人 日本塗料工業会
一般社団法人 日本塗料工業会,家庭用塗料入門Q&A集,一般社団法人 日本塗料工業会
一般社団法人 日本塗料工業会,塗料と塗装 基礎知識 改訂第4版,一般社団法人 日本塗料工業会