お部屋の壁の仕上げに珪藻土入りの塗り壁の人気が高まっているようです。
珪藻土はバスマットや計量スプーン、食器乾燥プレートなどのグッズにも使われているように、吸水性や消臭効果も高い素材であることが知られています。その珪藻土をお部屋の壁に使うと、湿度を調整したり、有害物質を吸着したりするなど、お部屋の空気を快適にしてくれる効果があることが人気の理由と言われます。
珪藻土の塗り壁材には、一度固まっても再利用できるものもあります。今回は、再利用できる珪藻土の塗り壁材と、再利用できない場合の廃棄方法についてお伝えしていきます。
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再利用できる珪藻土とは
塗り壁といえば左官職人がコテを使って壁材を塗りつけて仕上げていくというイメージがあるかもしれませんが、近年では手軽にDIYで塗れる製品も販売されています。多くは、粉末状の壁材に水を加えて混ぜ合わせると粘りが出てきます。それを、コテなどを使って壁に塗っていき、乾燥させると壁材が固まっていきます。
珪藻土は、大昔の植物性プランクトンの死骸が長い年月をかけて堆積して岩のように固まったものです。珪藻土それ自体は固まる性質を持たないので、セメントや漆喰とは異なり、水を加えて練っても硬くなりません。水分が蒸発して乾燥すれば元の状態に戻ります。
ですから、壁材として使う際には接着剤の役目をする固化材と呼ばれる成分を加える必要があります。固化材には、石灰やセメント、石膏、漆喰の原料である消石灰などの自然素材や、合成樹脂などの化学物質も使われます。
一度固まってしまったら、元に戻すことはできないことがほとんどなのですが、珪藻土の塗り壁材には、再利用できるものもあります。そういった製品は、固まってしまった後に、粉々に砕けば、また壁材や補修材として使えるということです。
自然素材で作られる、再利用できる珪藻土
実際の商品のいくつかを見ていきましょう。
リターナブルパウダー(サメジマコーポレーション)
珪藻土に火山灰や粘土、顔料、セルロースファイバーを合わせた主材に、粘りを出すためのメチルセルロースやでんぷん糊が入っています。石油系の化学物質を使用せず、自然素材で作られているところが特徴のひとつです。
‘調湿性に優れた高機能珪藻土を主原料に、粘土の凝結力で固化、結合させ、樹脂やセメントは全く使用していないため、一度固化しても再利用できる日本初のリターナブル材料です。‘
北のやすらぎ(日本システム機器
高い吸放水量を持つ稚内珪藻頁岩を使用した製品。稚内珪藻土・炭酸カルシウム・漆喰・無機顔料を主原料とし、粉末状の製品に水を加えて練り、壁に塗っていきます。
‘練って残った材料は硬くなっても、金槌などで細かく粉砕することで、再度使用できます。(残った材料を新たに壁面に塗る際には新しい材料に混ぜてお使いください。‘
ナチュラルウォール(ゼオ)
北海道産の珪藻頁岩を使用し、火山灰、粘土、植物性のセルロースファイバーを合わせています。増粘剤としてメチルセルロースとでんぷん糊が含まれています。
‘樹脂やセメントを含まず粘土の凝結力で固化させているため再利用ができ、自然に還すことが可能なリターナブル材料です。‘
珪藻土「メルシー」(EM MAX)
吸放湿性の高い珪藻土に、帆立貝の貝灰(貝殻を焼いたもの)を加え、つなぎ材にケナフ(アフリカ原産の植物の繊維)を使ってあり、自然素材にこだわって製造されています。
再利用できない珪藻土は廃棄処分
珪藻土の塗り壁材は、包装を開封しても、水を加えなければ、そのまま保管できる場合がほとんどです。水を加えて練った後でも、乾燥しないよう密封しておけばしばらくの間は保管できるものもあります。しかし、乾燥すると固まってしまいます。
一度固まった珪藻土の塗り壁材を、粉砕してもう一度水を加えて練れば、粘土のように粘り気が出てくることもあります。そのまま壁に塗ることができそうに見えるかもしれません。しかし、再利用したものは接着力が弱くなっていたり、仕上がりがきれいにならなかったりと、製品本来の性能を十分発揮できないことも考えられます。
製品の容器や説明書に、再利用ができると明記してあるもの以外は、基本的に再利用せず、廃棄するようにしましょう。
珪藻土壁材の廃棄方法
再利用できない製品の場合、珪藻土の壁材は、一般廃棄物として処分しましょう。
※新築現場や解体現場で出る壁材のがれきは、産業廃棄物とされます。産業廃棄物は、法律に従って処分する必要があり、認可を得た専門業者が行うことが決められています。
ご家庭でのDIYで残ったものは、ビニール袋などに入れておき、固まってから処分します。この時、お住まいの地域のごみ分別ルールに従って処分することが重要と覚えておいてください。
量が少ないなら不燃ごみとして捨てることができる場合が多いようです。量が多い場合は粗大ごみになることもあります。また、自治体によっては「処理困難物」などに区分されていて、回収の対象外になっていることもあります。
廃棄方法が分からない場合は、製品を購入した販売店や廃棄物処理の専門業者に相談してみましょう。
まとめ
珪藻土の塗り壁材には固まった後も再利用できるものもあります。今回は、再利用できる珪藻土と、再利用できない珪藻土の廃棄方法についてお伝えしてきました。DIYやリフォームで珪藻土の塗り壁を検討するときに、ここでの情報が参考になれば幸いです。
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