トイレリフォームは、その内容によって補助金を活用できる場合があります。特に、介護のためのバリアフリー化リフォームは、補助金の対象となることが多いとされています。トイレをバリアフリーすることは、介護が必要な人が自立した生活を送るために役立ちますし、介護する人の負担を減らすことにもつながります。
ここでは、トイレリフォームで多く利用されている、介護保険の住宅改修費を中心に、補助金の対象となるリフォームの内容や制度の詳細について解説していきます。
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トイレリフォームに使える介護保険補助金とは
トイレリフォームに活用できる補助金のひとつとして、介護保険制度の住宅改修費があります。これは、在宅介護のために住宅を改修する場合、工事などにかかる費用に対して補助金が支給される制度です。厚生労働省の資料を参考にして、その特徴を見ていきましょう。
補助金を受給できるのは被保険者、上限は18万円
介護保険を利用するには、サービスを受ける人が自治体から要支援または要介護の認定を受けている被保険者である必要があります。また、対象となる住宅は被保険者証に記載されている住所のもので、被保険者が実際に暮らしているところに限られます。
原則として、被保険者1人につき、生涯通して20万円までの費用が対象です。このうち少なくとも1割は自己負担となりますので、補助金として支給されるのは18万円が上限ということです。数回に分けての使用もできます。
※例外として、介護度が3段階以上高くなったり、被保険者が転居した場合などは、20万円がリセットされ、もう一度、この制度を使えるというルールもあります。
補助金の対象となるリフォーム内容とは
介護保険の住宅改修では、対象となるリフォームとして、次の内容が挙げられています。
・手すりの取付け
・段差の解消
・滑りの防止及び移動の円滑化などのための床又は通路面の材料の変更
・引き戸などへの扉の取替え
・洋式便器などへの便器の取替え
また、これらの住宅改修に付随して必要となる工事も対象とされています。トイレリフォームでは、手すりを取り付けるために壁を補強したり、便器の交換に伴って床の段差を解消したり、配管や床材の施工をし直したりするような事例が考えられます。
トイレリフォームで介護保険の補助金を受けるには
実際に、補助金を受け取るには、必要書類を揃えて自治体の窓口に申請を行います。工事の前と後、合わせて2回、書類を提出します。工事が始まる前に申請の準備をしておかなればならない点は、十分理解しておきましょう。
具体的な手続きに関しては、専門機関が詳しい資料を公開していますので、これを参考に見ていきましょう。
・参考:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「介護保険における住宅改修実務解説」
工事を始める前にすべきこと
リフォームが必要と感じたら、まずはケアマネジャーなどの福祉専門職員や地域包括支援センターなどに相談しましょう。次に、施工業者を決めて見積もりを取ります。ケアマネジャーなどからは、介護や福祉のリフォームに理解のある施工業者を紹介してもらうこともできます。
リフォーム工事を始める前に、市町村の窓口に申請書類を提出します。これはいわば事前協議で、補助金の支給に該当する工事内容であるか、確認するための書類です。
■工事の前に提出する書類
・支給申請書
・住宅改修が必要な理由書 ※福祉専門職員に作成を依頼
・工事費見積書
・住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの(写真又は簡単な図を用いたもの)
工事が終わった後にすべきこと
工事後は施工内容をしっかり確認して、工事費用を施工業者に支払います。その後、領収書など工事の内容や費用に関する書類をまとめて、市町村の窓口に提出します。以上で、正式な支給申請手続き完了です。
■工事の後に提出する書類
・住宅改修に要した費用に関わる領収書
・工事費内訳書
・住宅改修の完成後の状態を確認できる書類(改修前後の写真、原則として撮影日がわかるもの)
・住宅の所有者の承諾書 ※住宅改修を行った住宅の所有者が被保険者でない場合
支給方法も忘れずにチェック
申請が認められれば、後日、指定の口座に補助金が振り込まれます。補助金の支給方法には、償還払い方式や受領委任払い方式があります。
■補助金の支給方法
・償還方式
工事費用全額を一旦自己負担し、後日補助金が支給される。
・受領委任払い
施工業者に支払うのは自己負担相当分のみ、補助金相当部分は市町村から業者に支払われる。
市町村と契約している業者が対象になるなど条件が付くことが多い。
<参考>
・葛飾区「介護保険 住宅改修費申請書等」
・滑川町「介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修について」
・御殿場市「介護保険の住宅改修費の支払い方法はどのようなものがありますか?」
介護保険以外でも。トイレリフォームがお得になる制度
介護保険以外にも、トイレリフォームに活用できる補助金制度があります。
自治体独自の高齢者向け住宅改修費補助制度
自治体によっては、介護が必要な高齢者の在宅介護を支えるため、介護保険とは別に、住宅改修費用を補助する制度を独自に用意している場合もあります。介護保険の補助金が使用できない場合でも申請できる補助金もありますので、お住まいの自治体の対応を確認してみましょう。
例えば、東京都福祉局は、都内の各自治体が行っている住宅改善事業をまとめて公表しており、要介護認定がなくても利用できる制度の確認もできます。
・参考:東京都福祉局「各区市町村別事業概要(令和2年度)」
介護目的ではないリフォームで使えるお得な制度
介護目的以外でもトイレリフォームに活用できる制度があります。
■長期優良住宅化リフォーム推進事業
特に三世代同居や子育て世帯を支援するリフォーム工事が対象です。ただし、補助金が支払われるのはリフォーム事業者であり、リフォーム事業者は工事の発注者に還元する必要がある、という間接的な補助金である点が特徴です。
・三世代同居対応改修工事:トイレの増設、便器の交換、手洗いの設置など
・子育て世帯向け改修工事:トイレの広さを確保するための工事、掃除しやすいトイレの設置工事
・参考:国土交通省「令和2年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業について」)
■リフォーム減税
トイレを含む住宅リフォームを行って費用を支払ったり、ローンを組んだりした場合、所得税や固定資産税が減額される制度もあります。バリアフリーや省エネ等のための要件を満たしている工事が対象とされます。
・参考:住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームの支援制度」
■自治体独自の住宅改修補助制度
優良な住宅ストックを増やすために、各自治体は、高齢者の介護目的以外でも、住宅改修に対する補助金を支給する制度を持っている場合もあります。助成内容や申請条件は個別にお住いの自治体に確認してみてください。
まとめ
トイレのリフォームを検討中なら、補助金が活用できるかどうか、一度確認してみる価値がありそうです。なかでも介護保険は、利用しやすいので、対象になる可能性があるなら、ケアマネジャーや地域の福祉窓口に相談してみましょう。
また、確実に補助金が得られるよう、申請の方法や必要書類、申請のタイミングを事前に確認することも大切です。
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