一日の疲れを癒やすお風呂。しかし毎日使っていると徐々に綻びがでてくるもの。家とともに家族も高齢化し、それまでのタイル張りの床やヒートショックへの不安も生まれたりします。リフォームを考えても、マンションの場合にはさまざまな制約があったりします。この記事では、マンションでお風呂をリフォームする際にあらかじめ知っておきたい知識や事情を解説していきます。
マンションの共用部分と専有部分について
お風呂をリフォームするとしたら、大きな窓を設置し見晴らしを楽しむことも考えられます。しかし残念ながら、購入済みの物件であっても、マンションの場合はどんなふうにリフォームしてもOK、というわけにはいきません。マンションの部屋の中においても、専有部分とは別に共用部分が存在するからです。ここを理解しておかないと、思わぬトラブルを招くことになります。
まずマンションの専有部分と共用部分について理解しておきましょう。
専有部分とは
専有部分とは、マンションの住戸部分のことを指します。この部分は購入者の所有物となるため、基本的に何をしても大丈夫です。壁を取り払って間取り変更など、大胆なリフォームも可能です。
共有部分とは
共用部分は専有部分以外の箇所が該当します。具体的には、玄関扉やパイプスペース、外に面した窓ガラス等です。
したがって、お風呂の窓も外に面している部分は共用スペースとなります。原則として、大きくしたり窓ガラスを塞いだりすることはできません。このように、窓ガラス部分は住戸部分にありながら共有部分となるため、少しややこしくなります。
パイプスペースとは、配管関係のことを指します。古いマンションの場合、配管スペースが下の階の天井部分を通っていることがあります。この場合、排水のための角度が取れないため、浴室の位置を変えることは困難になります。
このように、お風呂をリフォームするにしても、マンションには共用部分ゆえにさまざまなことが制限されます。
さまざまなお風呂のタイプ
共用部分に干渉しなければ、マンションでもお風呂のリフォームは可能です。お風呂と一口にいっても、複数のタイプがあります。ここでは代表的なお風呂のタイプを紹介します。
在来工法
在来工法は、床や壁を防水加工し、その上にタイル等をしきつめて防水性を高め、この土台をもとにステンレスや木製の浴槽をセットする工法です。職人が最初から作るので、部屋の大きさに合わせたお風呂場にすることが可能です。また、間取りや空間も思い通りに仕上げることができます。どちらかというとマンションよりも一戸建てで採用されている工法です。
ユニットバス
ユニットバスは、もともとマンション内にスムーズに浴室を設置するために開発された工法です。風呂場全体が樹脂で囲まれており、断熱性や防水性は在来工法に比べ高くなっています。工場で生産されているため、完成度にばらつきがありません。
一昔前のユニットバスはどれも同じイメージでした。しかし、近年各メーカーが競争することでユニットバスにおいてもさまざまなバリエーションやデザイン、機能が登場し、消費者のニーズに合わせて選ぶことができるようになっています。
ただし種類が多いとはいえ、大きさの規格が決まっているので、どうしても部屋を無駄なく使うというわけにはいきません。そのためお風呂場はやや狭くなってしまうでしょう。
ハーフユニットバス
ハーフユニットバスは、風呂場の半分がユニットバス、もう半分は在来工法という構造です。床と浴槽をユニットバス構造にして高い防水性・断熱性を維持し、上半分を在来工法にすることで壁や天井、それに付随する照明を所有者の希望通りに仕上げることができるというメリットがあります。
ただ、ハーフユニットバスは種類があまり多くありません。しかしながら、壁や天井は自分の思い通りに仕上げることができるので、「種類が少ない点は気にならない」という方には良いでしょう。
まとめ
このように、マンションでお風呂をリフォームするには、専有部分と共有部分とをちゃんと区別する必要があります。大きな窓をつけるようなリフォームは共用部分に引っ掛かるのでできません。
また、工法としては、在来工法、ユニットバス、ハーフユニットバスの3種類があります。マンションの場合、ユニットバス工法がポピュラーですが、無理にこだわる必要はありません。
お風呂は一日の疲れを取る癒やしの場ともいえる部分です。ご自身が納得するようなリフォームをしてくださいね。