戸建て住宅でも、水回りのリノベーションはとても人気があります。毎日使うものですから、経年劣化によるサビや汚れ、蛇口からの水漏れなどが出てきます。扉の調子も悪く、締めるのにコツがいる場合もあるでしょう。
人気のあるキッチンリノベーションですが、行うにあたり注意したい点を3つ上げました。この3つを注意して理想のキッチンを作り上げましょう。
使い勝手を変えたときの不具合
一つ目は、使い勝手の変化です。
長年使い続けてきたキッチンは、自分の中で動線やゾーニングがある程度固定されています。キッチンを替えると、これらも変化するため、かえって使い勝手が悪くなる場合があります。
解消するには、設備は変更しても配置や機能は換えない方法があります。
1. 動線やゾーニングの変化
キッチンの位置を変更したときは、動線やゾーニングが変化するので注意が必要です。
最も注意したいのは、作業動線の変化です。壁付けのキッチンを対面キッチンにすると作業動線は大きく変化します。リノベーションによって作業動線が短く便利になれば良いですが、無理にレイアウトを変更すると、かえって長くなってしまい、使い勝手が悪くなることもあります。
また、キッチンの位置を変更すると、それまで使っていたスペースが変化します。それぞれ用途に応じて使う空間を、専門用語では「ゾーニング」と呼びます。キッチンスペースのゾーニングが変化すると、他のゾーニングも変化します。家全体の使い勝手が変わることにもなりますので、よく検討する必要があります。
他に、キッチン自体の作業スペースの幅、シンクやコンロの位置を変えると、調理スペースや収納が変化します。
2. 採光や通風の変化
キッチンやキャビネットの位置を変更すると、採光や通風が変わります。設計さんと一緒に、よく検討しましょう。
3. プライバシーの変化
キッチンのレイアウトを変更すると、視線が変化します。視線が変わると、今まで見えなかったものが見えてくるので、プライバシーの変化に注意が必要です。
「人から見られる」ことは、「常にきれいに」「オシャレに飾りたい」という思いだけではストレスを感じてしまいます。近年はオープンキッチンが主流ですが、「人から見られる」ということも考えておかなければなりません。
使い続けたい設備をどう取り入れるか
2つ目は、使い続けたい設備の取り入れ方です。
使い続けたい設備によって取り入れの難易度が変わります。取り入れの際は、必ず工事店と事前の相談が不可欠です。
特に注意したいのは、古いキッチンから新しいキッチンへの移設には破損の危険が伴います。移設後、不具合が生じることもあります。
「うまく使い続けられるかは設備次第」ということは必ず覚えておきましょう。
その中で、「取り入れやすい設備」「取り入れにくい設備」の2つに分けてご紹介します。
取り入れやすい設備
■ガスコンロ、電磁調理器
日本で販売されているガスコンロ、電磁調理器(IH)は、ほとんど使い続けられます。規格が決まっているので入れ替えも簡単で、新品のキッチンにも、コンロは気に入ったものを使い続けるというお施主様もいます。
使い続ける場合、油汚れなどが付着していることが多いのでお掃除すると良いでしょう。
■外付け浄水器、外付け食洗器
外付けの浄水器や食洗器も使い続けやすい設備です。もともと、後付けで作られていますので簡単に移設できます。
注意したいのは、設置するスペースを確保しておくことです。特に、外付け食洗器は大型のものが多く、設置スペースをよく考える必要があります。電源も近くに完備する必要があるので、使い続けるときは工事店とよく打ち合わせします。
取り入れにくい設備
■ビルトイン食洗器、ビルトイン浄水器
この2つは、規格の問題から取り入れが難しい部類に入ります。
浄水器は浄水ユニットタンクの設置場所を確保しなければなりません。
■海外製の水栓
海外製の水栓(特に欧州製品)の一番の問題は、「耐腐食性が日本のものに比べて低い」という点です。日本は軟水のため、腐食が進みやすく、取り外し・取り付け時の破損などの危険性があります。
お湯や水、電気、ガスが健全か
最後はお湯やお水、電気やガスなどの健全性のチェックです。これらは、外側から見えにくいので専門家のチェックが不可欠です。
工事中に発見される場合も多くありますので、予算を少し残しておくのがポイントです。
お湯やお水
お湯やお水は、水圧と水量が確保されているかがポイントです。
配管が古くなると、内部にサビが発生して水圧と水量が減ります。なかなか水がたまらなかったり、水圧が弱かったりといった症状です。特に、お湯は出方に悪さが目立ちます。
いずれも配管の交換が必要になります。配管洗浄という手もありますが、戸建てでは難しく漏水のリスクも高くなりますのであまりお勧めできません。
電気
壁内部や天井裏に配線してある電気配線はめったなことでは傷みません。ただ、外見から見える部分は少なく、劣化具合の判断は専用の道具と知識が必要です。
電気屋さんが入るときに、チェックしてもらうのがよいでしょう。
ガス
ガスも、電気と同様になかなか劣化が起こりません。
ガスは、ガス警報機が正常に作動するかを確認します。キッチンはリノベーションしても、ガス警報器は古いままというパターンが多くあります。
安全のため、ガス警報器の更新もオススメです。
まとめ
今回は戸建て住宅の、キッチンリノベーションで注意したい点を3つに絞ってご紹介しました。
ご紹介した3つのポイントに注意を払いつつ、理想のキッチンを作り上げましょう。