住宅用の外壁の仕上げにはいくつもの方法がありますが、耐久性の高いALC外壁をご存じでしょうか。大手ハウスメーカーでも使われており、耐震性や耐火性などもある優秀な外壁用の建材の一つです。
生産できる企業が限られていることもあり、一般的なサイディングボードに比べると、目にすることは少ないかもしれませんが、気になっている人もいるのではないでしょうか。この記事では、ALCの特徴やメンテナンスについてご説明します。
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もくじ
ALC外壁ってどんな素材?長所と短所を知っておこう
ALC(Autoclaved Light weight Concrete)とは、「軽量気泡コンクリート」とも呼ばれており、軽量で丈夫なパネル状の建材です。地震や火事にも強く、耐久性がよいので、しっかりとメンテナンスをすれば50年、60年と使い続けられるとされています。
ALCを外壁に使うと、サイディングやモルタルの外壁と比べて当初の材料費が高くなる傾向があります。しかし、張り替えまでの期間が長いので、初期費用は掛かっても維持管理費用は抑えることができるとも言えます。
また、サイディングやタイルと比べて厚みを持たせることができるので、表面を加工して凹凸を付けて、ライン状、タイル状など、意匠を施すこともできます。
外壁としての短所は、水への対策が必要になる点があげられます。ALCは発泡剤をコンクリートに混ぜて細かい気泡を含ませることで軽量化しているのですが、この構造はスポンジのように水を含みやすいという特徴があります。
ALC内部に水が入るともろくなり、その部分から崩れやすくなってしまうとされています。また、外壁建材の内部にある鉄骨などまで水が達してしまえば、腐食などによって住まいの骨組みが弱ってしまうことも考えられます。
このように、ALC内部に水が入ることは住まいを守る力を落としてしまうおそれもあるので、できるだけ避けたい事案です。そこで、定期的なメンテナンスが重要になると覚えておきましょう。
目安は10年に1度。ALC外壁のリフォーム・メンテナンスのタイミング見極めポイント
ALC外壁のリフォーム・メンテンナンスのタイミングは、10年に1度が一つの目安と言われています。一般的な防水加工の効果が弱まるタイミングだからです。
外壁用のALCパネルは、表面に塗料や樹脂でコーティングがされており、パネルのつなぎ目の目地にはコーキングをして防水対策を施すのが一般的な施工方法です。しっかり防水対策を施されていても、外壁は風雨や夏の暑さ、冬の寒さにさらされ、強い日差しの紫外線も浴び続けます。年数が経てば、どうしても劣化してくるのでメンテンナンスが必要になるのです。
また、10年という期間とは別に、次のような兆候を見つけたら、ALC外壁のリフォーム・メンテンナンスを検討すべきタイミングであると考えられます。
ひび割れや剥がれがある
ALC外壁にひび割れや剥がれを見つけたら、急いで対策する必要があるかもしれません。ひび割れは、内部が水で膨張して乾燥後に収縮することを繰り返していると起こるとされています。剥がれも、水でもろくなった内部から崩れてきているサインかもしれません。
また、パネルのつなぎ目に充填されているコーキング材にもひび割れができることがあります。長い間紫外線にさらされているとコーキング材が劣化してしまうということです。ひび割れから水が入ってしまうので、こちらも見つけたらすぐに対策したいところです。
コケやカビがある
水気のあるところに繁殖するコケやカビは、十分な水分がその壁にあることを示しています。コケが増えてしまうとそこに他の植物も根を張りやすくなるので、外壁がますます弱ってしまい、崩れやすくなる危険性もより高まります。
触ると手に粉が付く
ALC外壁の表面に触ってみて、ザラっとして手に白い粉が付く状態であれば、表面の防水効果が落ちてしまっていると考えられます。これは、チョーキング呼ばれる現象で、太陽の紫外線によって塗料に含まれる樹脂が取れてしまうために起こると言われています。
ALC外壁のリフォーム・メンテナンスにはどんな方法があるの?費用は?
ALC外壁のリフォーム・メンテナンスは、防水効果を維持したり、復活させたりする内容がメインになります。具体的には、ALCパネル本体の表面をカバーする外壁塗装、目地のコーキングを補強する工事の2種類が、主な工事になります。
一般的に、これらの工事は別々に行うのではなく、タイミングを合わせて同時に行うことになります。
外壁塗装
塗料のグレードによって、耐用年数や費用が変わってきます。ALC外壁自体の耐用年数が長いので、一般的なウレタン塗料よりも、シリコン塗料やフッ素塗料、無機塗料など、耐用年数の長いものが使われることが多いようです。
塗装の費用相場
ウレタン塗料:1,700~2,200円/m2
シリコン塗料:2,300~3,500円/m2
フッ素塗料 :3,800~4,800円/m2
無機塗料 :4,300~5,500円/m2
(参考:ユーコーナビ)
コーキングの増し打ち、打ち換え
コーキングの補修には2種類の方法があります。一つは、「増し打ち」といって既存の目地にコーキング材を足していく方法です。劣化が少ない場合には増し打ちで十分に補強できるとされています。
もう一つの方法は「打ち換え」といって、古いコーキング材を取り除いて、新しくコーキングしなおすという工事です。工数もかかる大変な作業になりますが、ひび割れなど劣化の進んだ目地をしっかり防水しなおすことができます。
築10年ほどの初めての外壁メンテンナンスで劣化が少ない場合には、「増し打ち」で対応することで、コストを抑えることもできます。
コーキングの費用相場
増し打ち:700~1,000円/m
打ち替え:800~1,200円/m
(参考:ユーコーナビ)
塗装、コーキング以外にも、工事には必要な作業があります。足場の設置、解体や、塗装前の壁面の洗浄、下地塗装などです。工事の費用にはこういった作業も含まれます。
工事全体の費用の目安としては、30坪程度のお住まいで、おおよそ80~200万円程度といわれています。10年以上の耐水効果を持たせたいなら、100万円以上はかかることを覚悟した方がよさそうです。また、工時期間としては、全て合わせて2週間~3週間を見込んでおきましょう。
工事の期間や費用は壁面の広さや形状によっても変わってきます。実際の工事を依頼するには、事前に専門家に相談したり、複数の施工業者から相見積もりを取るなど、十分に検討するようにしましょう。
まとめ
軽くて丈夫な優秀建材、ALC外壁についてご説明してきました。耐久性があって長く使える外壁パネルですが、水に弱いという特徴もあります。
表面の塗装やパネルのつなぎ目のコーキングがしっかりしていれば水は防ぐことができます。防水加工の効果が切れる10年に1度というタイミングを目安にしつつも、防水効果が弱まっているサインに気を付けて、定期的な塗装やコーキング補強でリフォーム・メンテナンスをしていくようにしましょう。
参考記事
・ヌリカエ「ALCパネルとはどんな外壁材?特徴・デザイン・費用・他の外壁材との違いを解説」
・ユーコーナビ「ALC外壁は塗装メンテナンスで安心!時期、費用、注意点まで完全解説」
・ユーコーナビ「ALC外壁の目地は10年前後で補修すべし!費用相場とお得にするコツ」
・完全版|外壁のリフォーム・リノベーションのガイド〜種類・費用・事例まとめ〜
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