戸建てのリノベーションを検討する際、マンションにはない独特な注意点があります。敷地に関するもの、建物に関するものなど種類はさまざまです。
そこで、今回は戸建てリノベーションにおいて、事前に確認しておきたい注意点をご紹介していきます。
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中古戸建ては敷地に注意!
戸建てリノベーションの場合、マンションと違って増築を含めた間取り変更が可能です。この点は、戸建てリノベーションにおける自由度を格段に上げるものであり、魅力に感じる方も多いのではないでしょうか。
ただし、増築を検討する場合は、購入前から敷地に注意しておく必要があります。
建ぺい率と容積率
都市計画区域内で建設する建物については、都市計画法および建築基準法によって建ぺい率と容積率の制限を受けます。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(その建物を真上から見た時の面積)の割合のことです。一方の容積率は、敷地面積に対する延べ床面積(建物の各階の合計面積)の割合を指します。地域ごとに建ぺい率と容積率の上限が定められており、その値を超える面積の建物は原則建設できません。
元の建物が、建ぺい率や容積率の上限ギリギリで建てられている場合、それ以上の増築が難しい可能性があります。増築を含め検討しているのであれば、購入前に敷地の建ぺい率・容積率を確認しておきましょう。
(参考:SUUMO「知ってると安心!建物の規制につかう「建蔽率(建ぺい率)」「容積率」ってなに?」)
再建築不可物件
中古物件として売買されるものの中には、「再建築不可物件」というものが存在しています。
再建築不可物件とは、建設当初の法律では問題なかったものの、現在の法律には適していないため、新たに建て替えることはできないとされている敷地・建物のことです。具体的には、つぎの事項が当てはまる物件を指します。
・敷地の前面道路が、建築基準法で定められた道路でない。
・前面道路は建築基準法上の道路だが、敷地の接する部分が2m未満しかない。
建物の建て替えこそできないですが、フルリノベーションして住み続けることはできます。ただし、必然的に築年数が古いものが多いので、耐震工事や基礎工事など大がかりな工事が必要になる可能性もあります。
「再建築不可物件」という文字を目にしたら、不動産業者やリノベーション業者などプロに確認することをオススメします。
建物の構造や状況に注意!
つづいてご紹介するのは、建物に関する注意点です。
「2000年基準」を意識する
建物の安全性の中でも、特に関心が高い耐震基準。1981年、それまでの「旧耐震基準」から「新耐震基準」に見直されているため、中古マンションを購入する際には「1981年以降の建築かどうか」というところが一つの基準になっています。
一方、木造戸建て住宅の場合、さらに2000年に改正された「新・新耐震基準」に注意が必要です。改正された年から、一般的に「2000年基準」と呼ばれることもあります。
この法改正によって、木造住宅に関する部分の基準が大きく見直されたため、「2000年基準」を満たす建物かどうかというのは大きなポイントです。満たしていない場合には、新たに耐震工事などが必要になりますので要注意です。
(参考:防災リテラシー研究所 「新・新耐震基準=2000年基準」
構造によっても異なるリノベーションのしやすさ
戸建てはマンションに比べて、間取り変更などの自由度が高く、リノベーションはしやすいと言われます。しかし、構造によって制約を受けることもあるので要注意です。
木造住宅の場合「2×4(ツーバイフォー)工法」には注意が必要です。この工法は、構造上どうしても壊せない壁が存在するため、間取りの自由度が制限される場合があります。
同様の理由で、鉄筋コンクリート造や鉄骨造も注意しましょう。
鉄筋コンクリート造には、主に「ラーメン構造」と「壁式構造」というものがあります。
ラーメン構造とは、柱や梁で形作った枠組みで建物を支える構造のことです。壁で支えているわけではないので、比較的自由に壁を取り除くことができ、間取りの自由度は高いと言えます。
一方の壁式構造は、その名の通り壁で建物を支える構造です。耐力壁と呼ばれる建物の構造上取り外せない壁が存在しており、壁を取り壊して広い空間にしたい場合、制約を受ける可能性があるのです。
鉄骨造の場合は、用いる部材が「重量鉄骨」か「軽量鉄骨」かによって、状況が大きく異なります。
重くて丈夫な重量鉄骨を使用している住宅では、柱と柱の間を広く取れることから間取りの自由度が高く、リノベーションもしやすいと言えるでしょう。
一方、軽量鉄骨を使用している住宅は、壁にブレース(筋交い)を入れていることが多く、こうした壁は取り壊せないため自由度は下がります。
このように、構造によってはプラン通りのリノベーションが難しくなる可能性もあるのです。なかなか素人が見分けるのは難しいため、自らのプランをプロにしっかりと相談しましょう。
インスペクションの利用も検討しよう
戸建ての場合、個人所有であることがほとんどですから、耐震診断や検査が行われていないことも十分に考えられます。
購入前に「インスペクション」を利用することも検討しましょう。インスペクションとは、建築士などのプロが第三者的な目線で、住宅の必要箇所を目視や計測によって検査し、必要な修繕やかかる費用などについてアドバイスするものです。
(参考:R.E.words不動産用語集「住宅インスペクション」)
中古戸建てでは、購入してからさまざまな問題点が発覚して、結果的に費用が膨大に膨らんだというようなことも起こりがち。費用がかかっても、事前に検査しておいた方が、安心してリノベーションに取り組めます。
まとめ
今回は、戸建てリノベーションを検討する上での注意点をご紹介してきました。マンションとは異なる独自の注意点が多いので、プロと相談しながら進めていくことをオススメします。
この記事で紹介した点に気をつけながら、自身のプランに合った、悔いのないリノベーションを実現していきたいところですね。
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