建具(たてぐ)とは、部屋の出入口や窓、クローゼットなどにある、開閉可能な部分のことです。LIXIL傘下のトステムやYKK APが代表的なメーカーで、金属や合板製のものを手がけています。大手メーカーが登場する以前の建具は多くが木製、職人さんが一つずつオーダーで造っていました。
ここでは木製の建具を紹介していきます。ずいぶん減ってしまったとはいえ、昔ながらの職人さんは健在。「ウッドワン(WOODONE)」など木製建具を得意とするメーカーも登場しています。取り上げるのは以下の4つの木製建具です。
1.ドア
2.サッシ
3.ふすま
4.障子
それぞれのメリットとデメリットを紹介していきますので、ピン!と来たら、ぜひ生活に取り入れてみてください。
木製建具その1「ドア」
しかし忘れてしまいがちなのが部屋のドアの入れ替え。ドアもフローリングと同じ天然材にしたならば、部屋により統一感が出るでしょう。
木製ドアのメリット
フローリングとの統一感で忘れてはいけないのが経年変化です。無垢材の魅力は時がたつにつれて変化していくところ。深みのある色合いに変化するなど味わいを増していきますし、同じ変化を木製ドアでも楽しめます。しかし既製品のドアに使われているのはプリント合板ですから変化はしません。と言いますか変化しても古びていくだけ、味わいを増すことはないのです。
また木製ドアならではの風合いも大きな魅力です。ドアは部屋に入るたびに触れるところ、合板でできたフラッシュ戸にはない温もりは触れるたびに満足感を与えてくれます。
木製ドアのデメリット
木製ドアのデメリットは価格です。既製品のフラッシュ戸より高く、部屋の間口に合わせてオーダーするならより高価になります。しかし考えてみればデメリットはそれだけ、長い付き合いになるドアなのですから、少々の贅沢は許されるのではないでしょうか?
木製建具その2「サッシ」
すきま風が入るとかガタつくとか、木製サッシには良いイメージを持っている人は少ないのではないでしょうか?しかし無垢材を用いたリノベーションを考えているなら、あわせて検討したいのが木製サッシです。
とはいえ今のサッシを木製サッシに取り替えるとなると、屋内外の壁に手を入れなくてはなりませんからコストが心配になりますし、マンションで許可をもらうのは難しいでしょう。そこでおすすめしたいのが、現在のサッシの内側にもう一枚木製サッシを追加することです。
木製インナーサッシのメリット
木製インナーサッシのメリットは風合いが良くなることや、無垢材のフローリングと統一感が出ること、もちろん経年での変化も楽しめます。
加えて断熱性や防音性が高まるのも大きなメリット……これは特に木製だけでなく、インナーサッシ全てにおけるメリットではありますが。
木製インナーサッシのデメリット
木製インナーサッシの価格はアルミ製と比べると、既製品でも倍程度になります。たしかに痛い出費にはなりますが、こちらもデメリットは価格のみと考えられるでしょう。
和室のリノベにこそ木製建具
古い和室をリノベーションするには様々な箇所に手を入れる必要がありますが、中でも必須となるのが「ふすま」と「障子」です。
古いふすまを木製建具に
古いふすまには何ともいえないテイストのふすま紙が使われています。これを合板製のものに入れ替えるだけで雰囲気はずいぶん変わるのですが、もっと風合いを大切にしたいならば木製建具を使いましょう。
たとえば部屋の出入り口にあるふすまを、上の写真の様な「バーンドア」に替えるとどうでしょう?アンティークっぽく仕上げた板戸に替えるのも良さそうです。
障子枠に個性を加える
障子もぜひリノベーションで手を加えたいポイントです。カーテンなどに替えてしまうのも良いのですが、あえて障子のままで和モダンや大正ロマン風の空間を狙うのも楽しいものです。
こんな場合に頼りになるのが昔ながらの建具店。レトロなものや組小細工を駆使したものまで自由自在、思い通りの障子枠を仕上げてくれます。ただオーダーする際に注意したいのが、どんな障子枠が欲しいのかを伝えること。「何となく感じがいいもの」といったオーダーでは絶対に理想の障子枠にはなりません。Web上で見つけた写真を添えるなど、具体的にオーダーしたいものです。
まとめ
メーカーや建具店が手がけている木製建具のバリエーションは豊富です。あわせて検討したいのがアンティークの木製建具、存在感はピカイチですから部屋の雰囲気を一変させる力をもっています。中でもおすすめなのが大正から昭和初期に日本の家屋で使われていたドア。使われているガラスにも今のものにはない味があります。
木製建具はコストパフォーマンスや機能の面で、金属や樹脂製のものに確かに劣るかもしれません。しかしそれを上回る風合いがある、これこそが木製建具の魅力なのです。