軒先という言葉は聞いたことがあるけど具体的には説明できない。そんな方も多いのではないでしょうか。
最近では軽視されがちな軒ですが、快適なマイホームライフを送る上で重要な役割を果たしてくれています。今回は、そんな軒についての解説やメリット・デメリットについてご紹介します。
そもそも軒先とは?
軒先(のきさき)とは軒の先端部分のことで、雨を集めて地上に導く「雨どい」などが付いている箇所の総称です。
軒は屋根の端が外壁や窓、ドアよりも外側に出ている部分を指します。他にも飛び出している部分の裏側を軒天(のきてん)、軒先の下の空間を軒下(のきした)と呼び、それらを総称して軒と呼ぶ場合もあります。
また、軒以外で外に突き出している部分を庇(ひさし)と呼びます。基本的に庇は玄関などの上部に用いられる場合が多く、軒と似た役割を果たしています。
軒先のメリット
軒を付けるとどのようなメリットがあるのでしょうか?軒にはいくつかの重要な役割がありますのでご紹介します。
軒のメリット1:雨除け
軒があることにより得られるメリットの1つは、雨除け効果です。窓やベランダの上に軒先があると、雨水が浸入しにくくなります。
また、軒天には換気口や孔が開いている場合があります。これは屋根裏に溜まりやすい湿気を排出してくれる効果があり、屋根裏の劣化防止に役立ちます。
軒先のメリット2:日光の調整
軒先のメリット2つ目は、日光の調整です。軒先があることで夏は日光をカットして日陰を作るので、室温の上昇を抑えてくれます。冬は太陽が低くなるので、部屋に日光を取り入れ室温を上昇させてくれます。
また室温を快適に保ってくれるので、冷暖房器具の効率が良くなり節電・省エネに繋がるのも嬉しいポイントです。加えて軒は室内への日光の侵入を抑えてくれるので、家具や壁紙などを紫外線から保護する役割もあります。
軒先のメリット3:外壁の保護
軒先のメリット3つ目は、外壁の保護です。外壁は常に雨や風、紫外線に晒されており、住宅のパーツの中でも特に劣化が激しい部分になります。軒があれば雨や日光から外壁を保護して寿命を延ばしてくれます。
軒があることにより雨が当たりにくくなり、雨だれ(黒く細長い筋のような汚れ)を防いでくれるので、外壁の外観保護にも有効です。
軒先のデメリット
メリットの多い軒ですが、最近では軒の無い住宅も増えてきています。そんな軒のデメリットをいくつかご紹介します。
軒先のデメリット1:コストがかかる
軒を付けるデメリットの1つに、イニシャルコスト(初期費用)がかかってしまうことが挙げられます。軒を付けるにはその分の部材が必要になりますし、作業の手間や工程も増えるため人件費も加算されてしまいます。当然ですが、軒を深くすればするほど必要なコストも増加します。軒を付けることでイニシャルコストが増加してしまうのは、大きなデメリットといえるでしょう。
軒先のデメリット2:デザイン性が低下する
軒を付けることでデザイン性が低下するというデメリットがあります。最近はシンプルな直線的スタイルで、フラットや片流れ屋根が特徴的な「シンプルモダン」という住宅スタイルが主流です。しかし、軒のデザインに関しては好みの問題なので、逆に「軒がある重厚なスタイルが良い」という意見もあり、ケースバイケースといえます。
軒先のデメリット3:居住面積が狭くなることも
軒を付けるデメリットの3つ目は、居住面積が狭くなってしまう場合があることです。建築基準法の建ぺい率や容積率による問題で、幅が1メートル以上の軒、庇、バルコニーなどがあると建築面積に制限がかかってしまうことがあります。
まとめ
軒にはいくつか重要な役割がありますが、近年では住宅設備や各部材の質も向上しており軒がなくて不快になることはそれほどありません。
それでも、軒には魅力がたくさんあります。家を新築する際に、ご自身が何を一番重要視しているかを考慮して後悔のない選択をしてくださいね。