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壁や床タイルのモルタル目地

壁や床タイルのモルタル目地


モルタルは乾燥収縮によりクラック(ひび割れ)や亀裂が生じやすいため、モルタル打設の際には目地が必要になります。大きな一枚岩のように見えるコンクリート床も、よく見れば決められた間隔で目地が設けられているのが分かります。モルタルやコンクリートのクラックは、目地を設けることによりある程度防ぐことができると考えられています。

この目地材にモルタルが使われることがあります。いわゆる目地用モルタルで、モルタル仕上げに使われるモルタルとは性質が違います。

この記事では目地用モルタルについてご紹介します。
 

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「コンクリート」「モルタル」「セメント」の違いとは?素材と特徴の違いをまとめてみた

目地用に使われるモルタルの特長

壁や床タイルのモルタル目地


モルタルは床や壁を滑らかに仕上げるだけでなく、接着剤としての役割をすることもあり、レンガとレンガの接着などにも使われています。

モルタルの性質は水、セメント及び細骨材(砂)で構成されるため、用途に応じてこれらの配合率を変えることができますが、最近ではこれらの材料に加え、アクリル樹脂やエポキシ樹脂といった樹脂系素材を加えることで、モルタルのデメリットを補う樹脂系モルタルも開発されています。

樹脂系モルタルは、ポリマーセメントモルタルとも呼ばれ、クラックや亀裂などの補修材として使われることが多いのですが、目地材としても用いることができます。

樹脂系モルタルは、従来のモルタルにはない防水性や耐久性があるほか、樹脂の特徴である展延性を兼ね備えているため、乾燥収縮にも強い仕様になっています。また、その高い柔軟性からコンクリートの伸縮にも対応できるため、伸縮目地としても用いられています。
 

タイルのモルタル目地の詰め方

壁や床タイルのモルタル目地


タイルに目地を詰めていく場合、その方法によっては様々なタイルの見せ方ができ、それぞれ違う雰囲気を表現できます。例えば、目地色が白色と黒色ではタイルの雰囲気が全く違って見えます。また、目地の太さによってもタイルの見え方が変わります。細い目地ではタイルの境目がはっきりせず、ややぼやけたイメージになりやすく、太い目地では1枚1枚のタイルがはっきりし過ぎることもあります。

このように、目地は実は奥深いもので、目地専門の職人がいるほどです。こでは目地詰めの種類について紹介します。


塗り目地

一般的に多く採用されている目地詰め方法です。敷き詰めたタイルの上からコテを使って目地材を塗り広げ、目地部に目地材を詰めていく方法です。目地を詰めた後、タイル上に残った目地材を拭き取って仕上げていきます。

タイルの上から目地材を豪快にかけて、コテで一気に仕上げていくため、表面が滑らかなタイルに適用できます。逆に素焼きタイルなど表面の粗いタイルでは、目地材が綺麗に拭き取れずタイル上に残ってしまうこともあります。


1本目地

レンガ貼りの壁など表面が粗いものに対しては、目地1つ1つに目地材を詰めていく1本目地という詰め方があります。目地詰めには目地袋という袋に目地材を入れ、生クリームでケーキをデコレーションする要領で目地部1つ1つに詰め込んでいきます。仕上げに目地ゴテという細いコテで、タイルの部分にかからないよう目地材を押さえていきます。一気に仕上げる塗り目地に比べて時間はかかりますが、入念に仕上げることができます。


眠り目地

タイルを密着させて隙間なく貼っていく方法で、目地が目立たないため眠り目地や突き付け目地、めくら目地とも呼ばれています。タイル同士を突き付けるように貼っていくため、タイルの逃げを作れないことから高い寸法精度が要求される技法です。


目地は処理方法や色によってもタイルの見せ方が大きく異なってきます。壁タイルをリノベーションする際には、タイル選びだけでなくについても、考えてみるともっと楽しくなりますよ。


まとめ

目地に使われるモルタルは、亀裂やひび割れに強い樹脂系モルタルが推奨されています。タイルの見せ方は、目地処理の仕方によっても大きく変わりますので、壁や床のタイルをリノベーションする場合は、目地処理についても検討するようにしましょう。