建物は大切に住んでいても経年劣化は避けられません。特に外壁は、雨風や紫外線に晒されるため劣化は著しいでしょう。そこで外壁リフォームを検討するわけですが、どのような外壁にすれば良いでしょうか。外壁と言っても色々な種類があります。モルタル、タイル、ALC(軽量コンクリートパネル)など、様々です。
近年、リフォームする際の外壁素材としてサイディングの人気が高まっているようです。そこで、この記事ではサイディングの特徴や種類、そしてリフォーム方法を紹介していきます。
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リフォームの前に。サイディングとは
サイディングとは、外壁に張る仕上げ用板材のことをいいます。かつて、外壁の仕上げと言えばモルタルが主流でしたが、サイディング材は1990年代に登場し、一気にポピュラーになりました。なぜでしょうか。
サイディングは、水を使用しない乾式工法なので、原材料と水を混ぜ合わせるモルタルと比べて、工期短縮が可能と言われます。工期が短いので、工賃も抑えることができるでしょう。さらに、工業製品なので品質が安定しており、デザイン豊富な点も特徴です。
そして、サイディングはモルタルに比べて軽量であるため、建物の負担が少なく、耐震性が高い点も重要な特徴と言えるでしょう。耐震性については1995年に発生した阪神大震災で注目され、その後の住宅建設で耐震性に優れるサイディング採用が増えたという経緯もあります。
サイディングリフォームで選びたい素材
サイディングには様々な種類があります。代表的なものとしては、窯業(ようぎょう)系、金属系、木質系、樹脂系の4つが挙げられます。以下、個別に紹介していきます。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは、セメント質と繊維質を主な原料にし、これらを板状に成形したものです。セメントを主な原料にしているので、サイディングの中では比較的重量があり、その分、建物の負荷は大きくなりがちです。また、重量があるために他のサイディングに比べて、耐震性がやや劣るといわれます。一方、セメントが主原料なので、耐火性能に優れる点が特徴でしょう。
金属系サイディング
金属系サイディングは、ガリバリウム鋼板でできています。ガリバリウム鋼板は、鉄ベースの合金にメッキを施したものです。このメッキのおかげで、ガリバリウム鋼板は鉄素材ですが錆びにくく、約20年ほどの耐久性を有する点も特徴と言われます。また、重量が軽いので建物への負荷が少なく、耐震性が高い点もメリットでしょう。
ただし、金属系サイディングは薄いので、断熱性は低いようです。下地と外壁との間に断熱材を入れる必要もあるでしょう。さらに、湿気を逃がす通路を作らないと錆びやすくなります。それらの工事が伴うため、初期費用が高くなりがちともいえます。
木質系サイディング
木質系サイディングとは、無垢の木材に防火性や耐久性を向上させるための表面処理を施した外壁材です。
無垢の木材が持つ自然な風合いや見栄えの良さにも人気があります。機能面においても、木材なので断熱性が高い特徴があり、夏に涼しく、冬には暖かいというメリットが魅力でしょう。
一方、メンテナンスを怠ると劣化が早くなってしまう点がデメリットのひとつ。さらに、他のサイディング材と比べて割高と言われます。取り扱い業者が、比較的少ないことが難点という声も聞かれます。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングとは、塩化ビニール製のサイディングボードです。ちなみに塩化ビニールとは、60%が塩、40%が石油で構成されているプラスチックのことです。
塩化ビニールは劣化しやすいのでは、と思われがちです。が、樹脂系サイディングは他のサイディングボードと比べて、耐久年数は長く30年ほどと言われます。
また、塩化ビニール素材は軽量なので、建物に対する負担も少なく耐震性に優れている点もメリットです。
さらに、プラスチックだから熱に弱そうと思う方も多いようですが、塩化ビニールの発火点は約400度で木材よりも高い値です。したがって防火性の点でも心配なく使用できるでしょう。
ただし、コストとデザイン性が、他のサイディングと比べて多少劣る点かもしれません。また、日本で取り扱う業者が少ないこともデメリットでしょう。
サイディングリフォームの方法
サイディングリフォームの方法としては、いくつかのシチュエーションが考えられます。大きく分けると、モルタル壁からサイディングへ、サイディングからサイディングへのケースがあるでしょう。
モルタル壁からサイディングへ
モルタル壁の上からサイディングを張る方法と、モルタル壁を剥がしてからサイディングを張る方法の2種類があります。
前者は工期も短く費用も安く抑えることができますが、外壁が重くなってしまい、耐震性が損なわれるおそれも考えられます。また、下のモルタル壁が傷んでいた場合には、急遽モルタルを剥がす工程が加わるため、かえって費用がかさむことも。やはり、モルタル壁を剥がしてからサイディングにする方が、おすすめでしょう。
サイディングからサイディングへ
既存のサイディングボードの状態がよく、コーキングも劣化していない場合、サイディングの上にサイディングを張る方法が考えられます。上に張るので重量が増すのですが、サイディングボードの重量が軽いので耐震性が損なわれる心配は少ないでしょう。ただし、下のサイディングが劣化している場合には、この方法をとることは止めた方が良いでしょう。
サイディングからサイディングへリフォームするには、時間と費用がかかりますが、古いサイディングを剥がしたうえで新しいサイディングを張った方が、その後の耐久性を考えると安心と思われる方も多いようです。
まとめ
いかがだったでしょうか。サイディングは外壁の主流とも言える素材です。サイディングの中でも、木質性と樹脂製は日本ではあまり出回っていませんが、今後はさらに流通することも考えられます。サイディングの知識を深めて、リフォームの参考にしてくださいね。
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