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「モルタル」と「サイディング」の違いや特徴について

住宅の外壁材として広く用いられる「モルタル」と「サイディング」。どちらもよく見かける素材ですが、外壁材としての特徴や両者の違いについてはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、モルタルとサイディングそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説。どちらの素材を選ぶべきかという点についても紹介していきます。

モルタル外壁の特徴とメリット・デメリット

モルタルはセメント・水・砂を混ぜ合わせて作られる建築材料。モルタル外壁は、サイディングが登場する以前に大変広く普及している外壁でした。

モルタル外壁の特徴

モルタルは柔軟性が高いため、壁に直接塗っても上手く仕上げられません。そのため「ラス網」と呼ばれる格子状の金属網を下地とし、その上からモルタルを塗って仕上げるのが一般的です。

参考:「ラス網(らすあみ)」とは何か?|誰でもわかるリノベ用語集

モルタル外壁は仕上げ方法によって大きく4つの種類に分けられます。

  • リシン
    小さな砂利や砂を混ぜ合わせたモルタル材を吹きつけて仕上げる方法。モルタル外壁の中でもオーソドックスな工法であり、かつては外壁仕上げに広く用いられていました。

  • スタッコ
    セメントに砂や合成樹脂を混ぜたスタッコ材を、スプレーガンで吹き付けたりコテで塗り付けたりして仕上げる方法。リシンよりも厚みのある仕上がりになります。

  • 吹き付けタイル
    砂利や砂といった骨材を入れない素材を用いて、下塗材・主材・上塗材という3回の塗装で仕上げる方法。リシンやスタッコと異なり、凹凸のないスッキリとした仕上がりが特徴です。

  • 左官仕上げ
    左官職人がコテを使って手作業で仕上げる昔ながらの方法。凹凸がなく、手作業ならではの温かみのある仕上がりが特徴です。

参考記事:モルタルの外壁にはどんな種類がある?種類別の特徴について徹底解説

モルタル外壁のメリット

かつて日本の住宅における外壁仕上げとして最もポピュラーだったモルタル外壁には、次のようなメリットがあります。

  • 目地やつなぎ目のないスッキリとした仕上がりになる
  • オリジナリティのある仕上がりになる
  • 目地がないので、コーキングなどのメンテナンスが不要
  • デザインの自由度が高く、意匠性に優れる
  • 耐火性や断熱性に優れる

モルタル外壁のデメリット

一方、モルタル外壁を用いるにあたっては、次のようなデメリットもあることを理解しておかなければなりません。

  • 表面にひび割れが発生しやすい
  • モルタル自体は防水性が低いため、防水塗装を施すなどの対策が必要
  • 工期が長くイニシャルコストも高くなりがち
  • リシンやスタッコで仕上げると凸凹部分に汚れが溜まりやすい
  • 職人の腕によって仕上がりの質に差が出やすい

サイディング外壁の特徴とメリット・デメリット

現在、住宅の外壁材として最も広く普及しているのがサイディング外壁です。「サイディングボード」と呼ばれる壁板を適切なサイズにカットし、壁の面積や形に沿って張り合わせて仕上げます。

日本サッシ協会が実施した「住宅用建材使用状況調査」によると、戸建て住宅の外壁仕上げに占めるサイディング外壁の割合は実に約9割。モルタルはわずか5%程度に過ぎません。
(出典:日本サッシ協会「2021年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要」)

サイディング外壁の種類と特徴

今や外壁の代表格とも言えるサイディングには、使われる素材によって大きく4つの種類があります。

  • 窯業系サイディング
    最もメジャーな外壁。セメント質や繊維質の原料を使用しており、施工のしやすさやバリエーションの豊富さ、耐震性や防火性の高さなどが魅力です。

  • 金属系サイディング
    金属を原料としたサイディング。軽量で耐震性に優れるほか、防音性・耐久性・耐水性などにも優れ、コストパフォーマンスの高さが魅力です。

  • 木質系サイディング
    天然の木や合板を原料とするサイディング。自然由来で環境に優しいのが魅力です。

  • 樹脂系サイディング
    塩化ビニル樹脂製のサイディングで、耐久性の高さが魅力です。

参考記事:住宅外壁の主流であるサイディングとは?特徴を種類別にご紹介

サイディング外壁のメリット

サイディング外壁が広く普及しているのは、次のような優れたメリットがあるためと考えられます。

  • イニシャルコストが安い
  • 施工がしやすく、コストパフォーマンスが高い
  • デザインバリエーションが豊富
  • モルタルのように仕上がりの質が出にくく、一定の品質が期待できる

サイディング外壁のデメリット

一方、サイディング外壁のデメリットとしては次のような点が挙げられるでしょう。

  • 目地のコーキング材が劣化するため、定期的なメンテナンスが必須
  • メンテナンスコストが高くなりがち
  • 塗り壁やタイル、レンガといった素材を使った外壁に比べると仕上がりが見劣りする

こんな人にはモルタルがおすすめ

ここまでモルタル外壁、サイディング外壁それぞれの特徴やメリット・デメリットについてお伝えしてきました。以上の内容を踏まえ、まずはモルタルがどのような人におすすめなのか見ていきましょう。次のような考えに当てはまる人は、モルタル外壁を採用するのがおすすめと言えます。

  • 多少費用をかけてでも、外壁にオリジナリティを出すことで自宅をおしゃれに演出したい人
  • イニシャルコストよりもメンテナンスコストを下げたい人
  • 自宅の外壁のデザインにカーブ部など特徴的な部分が多くある人
  • 自宅の防音性や耐熱性などを重視したい人

こんな人にはサイディングがおすすめ

続いて、次のような考えに当てはまる人は、モルタルよりもサイディング外壁が向いていると考えられます。

  • 外壁にかかるイニシャルコストはできるだけ抑えて、室内や機能面に予算を回したいという人
  • 豊富なデザインの中から自分好みのものを選びたいという人
  • 自宅の耐震性を重視したい人

まとめ

今回は、住宅の外壁仕上げの中でも代表的なモルタル外壁とサイディング外壁の特徴やメリット・デメリット、両者の違いについて解説してきました。自由度が高く外壁にこだわりたい人はモルタル外壁、コストを抑えつつも豊富なデザインの中から好きなものを選びたいという人はサイディング外壁が向いていると言えるでしょう。

それぞれの特徴を踏まえたうえで、コストバランスを考えつつ、理想の住まいに適した外装材を選んではいかがでしょうか。