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モルタルの外壁って実際どうなの?特徴とメリット・デメリットをご紹介します

モルタルの外壁って実際どうなの?特徴とメリット・デメリットをご紹介します


こんにちは。不動産ライターのchimonです。今回はモルタル外壁についてのお話です。

モルタル外壁は30年ほど前まで、日本の住宅における外壁の主流として多く用いられてきました。近年ではサイディングによる外壁がメインとなり、モルタルを採用する家は少なくなっています。ただ、モルタル外壁ならではのメリットもあるため、あえて導入するという人も多いのです。

そこで今回は、モルタル外壁の特徴やメリット・デメリットについてご紹介していきます。

かつては外壁の主流だったモルタル

モルタルの外壁って実際どうなの?特徴とメリット・デメリットをご紹介します


モルタルはセメント・砂・水を混ぜて作られる素材で、古くヨーロッパでレンガ造りの建物を石造建築に見せるため、表面に塗られるようになったのが始まりと言われています。

モルタルが日本へ本格的にもたらされたのは、明治になって洋風建築が取り入れられるようになってからのこと。普及の追い風となったのが、モルタルの特徴である高い耐火性でした。日本では木造建築が主だったため、一度火災が起こるとあっという間に燃え広がってしまいました。

特に1923年の関東大震災で木造建築に甚大な被害が発生したことから、あらためてモルタル外壁が見直されることとなったのです。

そして、戦後の1950年に建築基準法が制定され、モルタル外壁が急速に普及していきます。こうして1990年ごろまでは、日本の住宅における外壁材の主流として幅広く取り入れられていました。

現在では、施工しやすいサイディング外壁にシェアを奪われていますが、伝統的な質感を醸し出すモルタル外壁も根強い人気を誇っています。

・参考:モルタル外壁の家、ほんとうの話「モルタル外壁の歴史を知る」
 

モルタル外壁はこうやって施工する

そんなモルタル外壁ですが、実は表面から見える部分はモルタルではありません。モルタル外壁は、最後に仕上げ材を塗布することで完成するため、目に見えるのは仕上げ材の質感なのです。一般的なモルタル外壁は、次のような手順で施工されます。

 1.外壁となる部分に「木摺り(きずり)」と呼ばれる木製の下地板を張り、その上から防水シートを張り付ける。
 2.防水シートの上から「ラス」と呼ばれる金網を張る。このように作成する下地のことを「ラス下地」と呼ぶ。
 3.ラス下地の上から、職人がコテを使ってモルタルを塗り付ける。
 4.モルタルの上から、仕上げ材を塗り付けていく。仕上げ材の種類や工法によって、スプレーガンを使ったりコテで塗り付けたり、方法はさまざま。
 5.最後に仕上げ材の上から塗装して完成。

つまり、モルタルの上に仕上げ材と塗装が施されているということなのです。モルタルそのものは防水性が低いため、仕上げ材や塗装でコーティングし、外壁としての性能を高めています。
 

モルタル外壁のメリットとは?

 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 


長らく外壁の主流として使われてきたモルタル外壁ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットとして、次のような点が挙げられます。

 ●耐火性、耐久性に優れている。
 ●サイディング壁に見られる継ぎ目がなく、劣化しづらい。
 ●職人の手作業で仕上げられる場合が多いので、デザイン性や自由度が高い。

1つ目、2つ目のメリットは、長年暮らす家の外壁に使う素材としては重要な点です。現在主流のサイディング外壁は、サイディングボードと呼ばれる壁板をつなぎ合わせたものであり、板の間の継ぎ目にシーリング材を施工しなくてはなりません。一方、継ぎ目のないモルタル外壁の場合、シーリング材の施工や補修が不要な点は嬉しいポイントです。

また、近年モルタル外壁を取り入れる人の多くが、3つ目に挙げたデザイン性の高さを評価して導入を決めています。懐かしさを感じさせる仕上がりでありながら、模様を工夫すれば、スタイリッシュな雰囲気を作ることもできるのです。

モルタル外壁のデメリットとは?

モルタルの外壁って実際どうなの?特徴とメリット・デメリットをご紹介します

耐久性やデザイン性に優れているモルタル外壁ですが、当然デメリットもあります。続いては、モルタル外壁の主なデメリットについて見ていきましょう。


 ●表面にひび割れが生じやすい。
 ●表面に凸凹をつける仕上げ方法を採用すると、汚れやカビ・コケが発生しやすい。
 ●仕上げる職人の技術力によって、質に差が出やすい。

モルタル外壁でもっとも大きなデメリットは、1つ目のひび割れが生じやすいという点。継ぎ目がない分、気温や湿度、地震といった外的要因によって、どうしてもひび割れが発生しがちなのです。ひび割れを放置すると、そこから雨水が浸透してしまいます。モルタル自体は防水性が低いため、ひび割れを発見したらすぐに処置するのがおすすめです。

汚れやカビ・コケが発生しやすいというのも、厄介なところ。防汚性やカビ・コケを予防できる機能を備えた塗料を使うことで、ある程度被害を抑えることができます。

最後の「質に差が出やすい」という部分に関しては、過去に実績のある職人に依頼することが大切です。手がける職人によって味わいが違うというのもモルタル外壁の味なので、そういった違いを楽しむ姿勢が必要かもしれません。
 

まとめ

職人による手作業で仕上げることの多いモルタル外壁には、サイディング外壁とは一味違う魅力があります。モルタル外壁を「昔のもの」として除外するのではなく、一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

以上、今回はモルタル外壁の特徴やメリット・デメリットについてご紹介しました。