IHクッキングヒーターを導入したいけれど、どういうことに気をつければよいかわからない、そもそもIHについてよく知らない…。
そんなあなたのために、IHクッキングヒーターの仕組みから、メリット・デメリット、導入の際の注意点などをわかりやすく解説します!
IHクッキングヒーターはそもそもどんなもの?
IHクッキングヒーターは、電気で加熱するコンロです。「IH」とは、その原理である誘導加熱(Induction Heating)の頭文字から来ています(炊飯器の「IH」もこれとおなじです)。誘導加熱とは、「金属に電気が流れるように誘導して、その際の電気抵抗で発熱する」という仕組みのことです。
金属は電気を通します。ですが、金属それぞれには、電気抵抗(電気の流れにくさ)という性質があります。電気がその金属内を通るときの「引っ掛かりやすさ(摩擦)」により、発熱します。
その「摩擦熱」は、鍋側で発生し、IHクッキングヒーター自体は熱を発しません。
IHクッキングヒーターは、鍋底(の金属)に電気が流れるように「誘導」しているのです。
金属に磁力が働くと、磁石のようにつきますが、その際、金属内ではまた別の作用が起きています。金属は磁力が働いたとき、磁力の強さに応じた電気を発生しています。この仕組みを「電磁誘導」と言います。電気を発生しているといっても、手に持った金属に、磁石をつけても電気でしびれるようなことはありません。これは、電気発生が、金属に働く磁力が変化した瞬間だけであり、その量もごくわずかだからです。感じられるほどの電気を作ろうと思ったら、磁石を超高速で近づけたり遠ざけたりする必要があります。
物理的に磁石を鍋底に超高速で近づけたり遠ざけたりするのは、難しく無駄も多いです。そこで、電磁石を使います。電磁石は、電気をオン・オフするだけで磁力を調節で、必要な電気の発生を「誘導」します。また、鍋全体ではなく、鍋底だけに電気を流します。
IHクッキングヒーターの仕組みをまとめると、「電磁石で鍋底の金属に電気を流し、そこで発生する電気抵抗によって、鍋底の金属自体が熱くなる性質を利用して加熱する」ということです。
電気で磁力を起こし、その磁力で電気を起こして加熱する…一見遠回りのようですが、使った電力を熱量として換算した熱効率は、約90%と、1割程度しか無駄になっておらず、効率的な加熱方法といえます。
例えば、ガスコンロの場合は、鍋底以外の空気などにもエネルギーが伝わってしまう(加熱してしまう)ため、熱効率は40%~50%で、IHの半分程度ですから、いかにIHが効率がよいかわかります。
IHクッキングヒーターのメリット
コンロの表面が完全にフラットなので、掃除がとてもしやすいという点も見逃せません。吹きこぼれたり、油や調味料が飛び散ったりと、汚れやすいコンロ周りが簡単に拭き掃除できるのは、とても効率的で助かりますね。
IHクッキングヒーター自体がとても賢く、鍋を置いていないときは電流が流れない、一定の温度を保つ、吹きこぼれたら瞬時に止まるなど、ユーザーのうっかりミスをより細かくフォローしてくれます
IHクッキングヒーターのデメリット
いいことずくめのIHクッキングヒーターですが、デメリットはあるのでしょうか。
調理器具に制限があります。「IH対応」の表記が無い鍋は使えません。たいていの調理器具は、IHに対応をしていますが、銅鍋などは使えません。
また、炎は出ませんが、やけどの可能性はあります。これは熱を持った鍋から、IHクッキングヒーターの表面に熱が伝わるからです。使用中や使用後温度が下がるまで、ランプで教えてくれる機種もあります。
鍋がヒーター表面から離れると、スイッチが切れたり、警告音が鳴る機能付きが多いですが、フライパンをあおったり、沸かしたお湯をちょっと捨てようとしただけでも、警告音が鳴り、ちょっと煩わしさを感じることもあるでしょう。
もちろんですが、停電時には使えません。
設置時の注意として、電源工事や電気の契約変更が必要な場合があります。一般的な家庭用の電源は、100Vですが、IHクッキングヒーターは200Vが必要です。専用回線とコンセントの設置、アンペアブレーカーの容量変更など、電気系統の見直しが必要です。
ガスからの変更なら、使わなくなったガス配管の封止処理も必要です。新築の場合は、最初からそれらも含めて計画すればよいですが、リフォームやコンロのみの取り換えの場合は、販売店か、電気工事の業者さんにご相談ください。
おわりに
IHクッキングヒーターは、便利な調理器具で、上手く導入すれば、生活をより快適にできるかもしれません。
ただ、鍋やフライパンなどを買い替えなければならなかったり、電気やガスの工事が必要だったりと、初期費用が掛かります。
メリット・デメリットをしっかり検討して、導入するかどうかを決めましょう。