普段の生活の中で、トイレの照明の明るさについて気にして考える機会はあまりないかもしれません。とはいえ、トイレは一日に何度も使う場所ですので、居心地の良い空間にしておきたいものです。
同じ明るさの電球を使っていても、照明器具を変えたり、設置場所を変えたりすると、明るさの感じ方も変わってくることがあります。トイレがなんとなく落ち着かないな、とか、夜に使いづらいな、などと感じることがあるなら、トイレの明るさについて一度確認してみましょう。
今回は、ストレスが少なく、快適に過ごせるトイレの明るさについて解説しますので、ご参考になさってください。
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トイレにちょうどいい明るさとは
JIS規格の照度基準では、住宅内のトイレの照度は、75ルクス程度とされています。この照度基準は、人が何か作業する時に、その場所にどのくらいの明るさがあればよいか、という基準を示したものです。例えば、リビングでの団らんには200~300ルクス、勉強部屋で読書や勉強をするなら500~750ルクスが目安とされています。
トイレは、細かい作業や長く時間のかかる作業をするスペースではありませんから、リビングや他の居室よりも幾分暗めで基準設定されています。
トイレの電球は60Wでも十分。まぶしすぎる明るさはNG
トイレの電球は、白熱電球の60Wが標準とされることが多いようです。JIS規格の照度基準である75ルクスの明るさに近いとも言われています。新築やリフォームの際に住宅メーカーから、トイレには60Wの白熱電球をおすすめされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
標準的な広さのトイレなら、通常は一室一灯で十分な明るさを得られると言われます。60Wであれば、トイレで用を足す、排泄物をチェックする、掃除をする、といった目的には十分な明るさでしょう。明るすぎると感じたり、より落ち着いた雰囲気にしようとするなら、40Wに下げてもいいかもしれません。
反対に、明るくするほどより清潔感ある空間にできますが、まぶしすぎる明かりはトイレにはあまり向いていません。トイレはプライベートな個室空間なので、緊張感のある明るさではなく、リラックスできる明るさが求められることが多いでしょう。
また、夜中に起きてトイレに行くことを考えると、暗さに慣れた目に強い光を浴びてしまい、目が冴えて寝付けないといったことが起こるかもしれません。
まぶしく感じるときは、光源からの光が直接目に入らないようにすると、まぶしさが軽減される傾向があります。トイレの照明設計では、光源が直接目に入らないように電球の向きや照明器具の設置場所を検討したり、間接照明やシェード、カバーなどをうまく取り入れると、まぶしさ対策になるでしょう。
同じ電球なのに明るさが違う?
同じワット数、ルーメン数の電球でも、トイレの内装や形状などによって、明るさの感じ方が違ってくることがあります。電球の明るさが違うと感じる主な要因を見ていきましょう。
●壁や床の色
白系や淡い色の内装は光を多く反射するので明るく感じ、濃い落ち着いた色味の内装は光を吸収するので暗めに感じるといわれています。
●電球までの距離
高い天井に電球を設置すると、壁や床までの距離が長くなるので、暗めに感じるようです。反対に、天井からペンダントライトを吊り下げるなど、低めの位置に照明を設置すると、明るさを感じやすくなるでしょう。
●シェードやカバー
ペンダントライトや壁付きのブラケットライトは、シェードが付いているものもあります。シェードの素材や形状によっても、明るさや光の広がり方が変わると覚えておいてください。照明器具を交換した時には、明るさも変わってくるかもしれません。
●光の照らし方
天井から真下に照らすのではなく、壁や天井全体に広く光を当てるようにすると、部屋全体が明るく感じられる場合が多いです。床や天井の一部を強調して照らすと、陰影が出て雰囲気のある明かりになるでしょう。
年齢によって感じる明るさが違ってくる
若い人と高齢者では、明るさの感じ方が違ってくるということが分かっています。年齢が上がるほど、人の目は明るさを必要とするようになってくるということです。
20歳の人を基準にすると、60歳では約2倍の明るさが必要になるそうです。特に、トイレのように明るさを控えめにしているところでは、明るさの感じ方の差が大きくなるとも言われていますので、シニア世代が使うトイレは、明るめの電球を使ったり、LED電球なら部屋全体に光を拡散させるタイプを使うとよいでしょう。
まとめ
トイレの電球の明るさは、まぶしすぎないよう、40~60ワット程度のものを選ぶとよいでしょう。内装やトイレを使う人の年齢などによっても、明るさの感じ方は変わると言われます。トイレの電球選びの際には、少し気にしてみてはいかがでしょうか。
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