給水管は上水を届け、排水管は生活排水を下水道へと流す役割を担っています。給排水設備に不具合が出ると、水漏れや詰まりなどのトラブルが生じてしまいます。大きなトラブルになる前に、給排水管を交換するなどの対策が必要です。中古住宅を購入してリノベーションする場合は、同時に配管工事も検討しましょう。
今回は、給排水管の素材や交換の目安時期、マンションにおける給排水管工事の注意点を解説します。
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給水管・排水管に使われる素材の種類
設置された年代によって、給排水管に使われる素材は異なります。素材の主流は金属製(鉄管、鉛管、銅管)からポリエチレン管や塩化ビニル管へと移り変わってきました。築年数の経過した建物は、金属製の給排水管を採用していることが多いのですが、長年使っていくうちにサビなどの不具合が出てくるようになります。そこで、金属に代わる素材を使用した施工に移行してきたわけです。以下に主な素材の特徴をまとめました。
鉄管(鋼管)
耐久性に優れ、耐震性もある素材のため、鉄管(鋼管)は定番の素材として広く使われてきました。一方でサビやすく、加工作業が大変な面があります。サビが原因で小さな穴が開くことも多く、専用テープで応急処置をした場合も将来的には交換が必要です。
鉛管
水道設備が普及し始めた頃から、鉛管は使われてきました。他の素材と比べて水漏れが多いことや、水道水に鉛が溶けだすなどの体への影響が心配されることから、現在は全国で鉛管の交換作業が行われています。
銅管
耐熱性があり、腐食しにくいといった性質を持つ銅管は、給湯管にもよく使われてきました。ただ、鉄管と同様に腐食によって小さな穴が開く場合があります。
ポリエチレン管
施工しやすいことをはじめ、多くのメリットがあることから、現在の主流になっています。耐熱性があるため給湯管にも使えます。サビもなく、振動や化学物質などにも強いです。一方で、日光が原因で小さな穴が開く場合があり、その際は取り外し・取り付け交換が必要です。
硬質ポリ塩化ビニル管
現在よく使われる素材です。VU管、VP管、HIVP管、HTVP管などがあります。耐衝撃性能を向上させたものがHIVP管で、耐熱性を向上させたのがHTVP管です。硬質ポリ塩化ビニル管は、内面が滑らかで抵抗が少ないため水などが流れやすく、腐食にも強いことから給排水管としてよく取り入れられています。金属管よりも軽く、施工性に優れていることも特徴です。HIVP管やHTVP管は高性能であることから、コストが増えるといったデメリットがあります。
給水管・排水管を交換するタイミングの目安とは
給排水管の耐用年数は、素材や使い方、環境などによって変わってきます。交換の目安となる症状が出たり、リノベーションしたりするタイミングで給排水管の交換を検討しましょう。
給水管の交換目安となる症状
蛇口から流れてくる水から金属臭がしたり、色のついた水が出たりする場合は、水道管の劣化によるサビが疑われます。給水管の中でサビや汚れが蓄積すると、流れてくる水量の減少や詰まりなどの原因にもなるため注意が必要です。また、水漏れが起きている場合は、接続部分のゆるみなどの他に、給水管に原因があるケースもあります。これらの症状が出た場合は、給水管の交換も視野に入れて対策をしましょう。
排水管の交換目安となる症状
排水時にいつもと違う音がする、流れが悪い、排水口から水が逆流してくるといった場合、排水口や排水管に原因があることが考えられます。排水口に詰まったゴミなどを清掃したり、パイプクリーナーで洗浄したり、高圧洗浄をしたりすることで改善されるケースもあります。ただ、排水管の劣化や破損に原因がある場合には、排水管の更新工事や更生工事が必要です。
リノベーションのタイミングで給排水管の交換を検討しよう
リノベーションは、給排水管工事をする良い機会です。リノベーションを前提として築年数の経った住宅を購入する際や、金属製など以前主流だった素材が使用されている場合は、配管工事も視野に入れて検討しましょう。室内をリノベーションした後に配管工事が必要になると、一新した床や壁を再度壊すことになってしまいます。余計な手間や費用をかけないために、リノベーションをするなら給排水管の交換を同時に検討するのがおすすめです。
マンションにおける給水管・排水管工事の注意点
給排水管工事をマンションで行う際に注意したいポイントはこちらです。
・配管工事ができるのは専有部のみである
・管理規約のチェックが必要
・床の構造によって工事の難易度が変わる
・露出配管になるケースもある
マンション内の給排水管には共用部もありますが、手を加えられるのは専有部に限られます。また、管理規約によって制限されているケースもありますので、事前に確認が必要です。工事をする場合は管理組合への届け出や近隣住民への挨拶も行いましょう。
二重床は比較的簡単に交換工事ができますが、直床の場合は費用が高くなる可能性があります。また、床下や壁、天井などの内部に配管することが困難な場合は配管をむき出しにせざるを得ないこともあるでしょう。ただ、ステンレス管などをあえて見せてインダストリアルな雰囲気を演出する施工も人気があります。
まとめ
給排水管の素材は、金属製からポリエチレン管や塩化ビニル管へと移行してきました。これらの素材は施工しやすい、サビなどの腐食がしにくいといったメリットがあります。色のついた水が出る、蛇口から出る水量が少ない、排水時に異変があるといった場合は、給排水管の交換を視野に対策が必要です。リノベーションをする場合は、給排水管の交換も検討しましょう。
writing:ハナミ
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