住まいの困りごとでありがちな騒音や暑さ、寒さ。そんな悩みを解決する方法の1つが、二重窓へのリフォームです。ワンランク上の快適さのために、二重窓を検討している方もいるのではないでしょうか。
しかし、二重窓にはメリットだけでなくデメリットも存在します。後悔することのないよう、あらかじめデメリットも把握しておくことがリフォームを成功させるコツです。
今回は、二重窓にリフォームすることのメリットデメリット、そして二重窓のさまざまな種類を解説します。適切な窓選びの参考にしてください。
二重窓にリフォームするメリット
二重窓によるメリットは主に以下の3つです。選ぶガラスやサッシの種類によっては、下の3つのメリット以外に防犯効果や日射熱の軽減効果も期待できます。
断熱効果
二重窓には、お部屋へ入ってくる夏の暖気や冬の寒気を抑える効果があります。室内の冷暖房の効き目も向上し、省エネにも繋がる嬉しい効果です。住まいの中で最も熱の出入りが多いのは窓と言われており、その割合は夏は74%、冬は52%。家の熱の半分以上は、窓を介して出入りするのです。
「冷房や暖房を付けているのに、なぜか寒い(暑い)」その原因は、窓にあるかもしれません。
(出典:YKK AP「窓の教科書」)
防音効果
屋外の電車の音や、人の立てる物音。お部屋でリラックスしているときや集中したいときには困ることもあるでしょう。二重窓には、屋外から伝わる音を緩和する効果もあります。
一枚の窓よりも二枚の窓を隔てることで、音の振動は伝わりづらくなります。また、気密性がアップすればサッシのすき間などから入る音も減少させることができます。
お部屋の音を外に漏れさせたくないときにも、二重窓は有効です。プライバシーやご近所トラブルが心配な方にとっても、頼もしい味方となるでしょう。
結露抑制効果
二重窓には、結露を抑制する効果もあります。結露を抑えることができれば、カビ発生やサッシの傷み、カーテンが塗れるリスク軽減にも繋がります。メンテナンス面でうれしいメリットとなるでしょう。
結露は室内側の窓が冷えることで発生します。基本的に二重窓は内側の窓が冷えづらくなります。空気中の水分が冷えて水滴になりづらいため、結露が抑制できるというものです。
二重窓にリフォームするデメリット
二重窓には、人によってはデメリットとなり得る点もあります。毎日のちょっとした手間がストレスとなる可能性もあるので、事前にチェックしておきましょう。
開け閉めに手間がかかる
一枚窓に比べ、開け閉めの手軽さでは劣る場合があります。
たとえば「ちょっと換気しよう」という場面を思い浮かべてみましょう。窓を2回開ける必要があるため、人によってはストレスとなり得るでしょう。
掃除の手間が増える
窓のサッシやガラスが2つになることで、掃除の箇所は増えてしまいます。結露が抑制されていれば汚れにくくはなりますが、しっかり掃除したい方にとっては掃除の時間が増えてしまうかもしれません。
部屋に圧迫感を感じる
これはリフォームで新たに内窓を取り付けた場合に起こり得ます。二重窓の部分が数cm程度出っ張る形となるため、お部屋が狭く感じてしまうかもしれません。お部屋の圧迫感を避けるためには、窓枠の色を目立ちにくいものにするなどの工夫をすると良いでしょう。
二重窓にはどんな種類があるの?
二重窓には、断熱、防音など目的に応じた窓を利用することができます。しっかりと効果を発揮するために、適切なガラスを選択しましょう。
断熱性能の高い二重窓
断熱性能のあるガラスとして、ペアガラスが挙げられます。ペアガラスはガラス部分を二重に重ねたもので、間に空気の層を挟んだものです。この空気の層によって、通常のガラスに比べ約2倍の断熱性能があります。空気の層にアルゴンガスを封入したものは、さらに高い断熱効果が期待できるとされています。
また、Low-E複層ガラスというものも高性能な断熱ガラスです。ガラスの表面をLow-Eという特殊金属でコーティングしたもので、一般的なガラスに比べ3~5倍の断熱性能があるとされています。寒冷地に住む方は、これら断熱性能の高いガラスがあると暖かさが増すでしょう。
日光の熱を遮熱する二重窓
日光による温度の上昇を抑えたい場合、遮熱タイプのガラスを選ぶと良いでしょう。紫外線カットの効果を併せ持つものもあり、強い日差しにさらされる部屋などで役立つガラスです。
Low-E複層ガラスには遮熱機能があるタイプもあります。断熱性能と遮熱性能を兼ねたこのガラスは、一年を通して活躍が期待できるでしょう。
防音性能の高い二重窓
防音性能を求める場合、防音合わせガラスが向いています。二枚のガラスの間に防音フィルムを挟んだもので、高い防音性能が期待できます。
防音合わせガラスは、商品によって効果的な周波数が異なる場合があります。悩まされている音がどのようなものか業者と相談した上でリフォームすると良いでしょう。
防犯性能の高い二重窓
防犯性能を高めるには、防犯合わせガラスが効果的です。工具などによる打ち破りに抵抗するため、特殊な中間膜を挟みこんだ合わせガラスです。100%割られないわけではありませんが、割られるまでに長い時間を要するということで防犯性能の高いガラスとなっています。
一定以上の高い防犯性能が保証されたものにはCPマークという印が貼り付けられています。家の防犯性能をしっかりと高めたい方はCPマーク付きの窓を検討すると良いでしょう。
マンションでもできる二重窓のリフォームは?
マンションの場合、一般的に窓自体を変えるリフォームはできないとされています。これは窓が住民全体の「共有部分」とみなされているためです。しかし、マンションでも二重窓にする方法が2つあります。
内窓を追加する
今ある窓の内側に、内装として内窓を付ける方法です。これは一般に共有部分ではなく個人の「専有部分」のリフォームとみなされており、個人の意向でリフォーム可能とされています。
ただ、マンションによっては管理規約でこのようなリフォーム自体を禁止している場合もあるため、事前の確認が必要です。
管理組合の承諾を得る
基本的には禁止されている窓のリフォームですが、改良としての目的であったり、ガラス部分のみの交換であったりすれば許可される可能性があります。
思い通りには行いづらいマンションのリフォームですが、管理組合や業者と相談することでいくらかアイデアを実現できる可能性はあります。
まとめ
二重窓へのリフォームによって、防音や断熱などの性能を高める効果が期待できます。日々の暮らしを快適にするためには効果的なリフォームといえるでしょう。
一方で開け閉めや掃除の手間が増えるというデメリットも併せ持つため、自分の生活スタイルに合っているのか確認してからリフォームすることをおすすめします。