今や花粉症の代名詞として、ある意味で日本人にとって馴染みの深いスギ。スギ花粉症がこれだけ国民病になっている背景には、スギが古くから日本人に愛されてきた木材であるという事実があります。今回はフローリング材としてのスギの特徴や費用感、お手入れ方法などについてご紹介していきましょう。
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日本で古くから愛されるスギってどんな木?
皆さんはスギが日本の固有種だということをご存じでしょうか。私たちが普段「スギ」と呼んでいる木はヒノキ科スギ亜科スギ属の針葉樹で、学名はその名も「Cryptomeria japonica」。学名にジャポニカとある通り、古くから日本列島周辺のみに生息してきた日本固有の樹種なのです。
数万年単位で見た場合、一説では氷河期を除くほとんどの時期において、日本列島はスギ林に覆われてきたとも言われています。昔から当たり前のように身近だったスギは、日本人の生活に欠かせない木でした。お寺や神社など伝統建築においても、ヒノキと並んで多く用いられる木材でもあります。
また、スギは縦に割れやすいというのも特徴。木の年輪は春〜夏にかけて形成され目幅の大きい「春材(早材)」、夏〜秋にかけて形成され目幅の小さい「秋材(晩材)」からなりますが、スギは春材と秋材の間で割れやすいのです。この加工のしやすさも、日本人が古くからスギを活用してきた理由と言われています。
スギでできたフローリングの特徴
続いては、フローリング材としてのスギの特徴を見ていきましょう。スギの特徴としては、主に3点が挙げられます。
1つ目の特徴が触った時の温もりです。スギは空気層が厚いという性質があり、断熱性や蓄熱性に優れています。表面がサラサラと滑らかなので、素足でフローリングの上を歩いても冷たさをあまり感じません。
2つ目の特徴が爽やかな香りです。スギが放つ独特の香りはさまざまな化学成分によるものですが、中でも注目されているのがセドロールという香り成分。豊かな甘い香りのセドロールは人間の自律神経に作用すると言われ、誘眠効果が期待できるとされています。寝室をスギフローリングにすれば、心地よい眠りに就けるかもしれませんね。
3つ目の特徴が柔らかさです。1つ目の特徴で触れた通りスギは空気層が厚いため、表面がとても柔らかく足触りが良好。その分、他の木材に比べて衝撃に弱く、物を落とすと傷がつきやすいという点はデメリットと言えます。
スギの費用は?他の無垢材との比較
温もりや香りの良さから人気のスギフローリングですが、費用相場はどれくらいなのでしょうか。参考として他の無垢材と比較してみましょう。以下の価格は全て平米あたりの単価です。
- スギ :2,500円〜8,000円程度
(針葉樹)
- パイン:4,500円〜8,000円程度
- ヒノキ:5,000円〜15,000円程度
(広葉樹)
- バーチ:4,500円〜8,000円程度
- オーク:5,000円〜10,000円程度
- ウォールナット:9,000円〜15,000円程度
他の木材と比較するとわかる通り、スギは無垢材の中でも比較的リーズナブルとされています。同じく日本を代表する木材であるヒノキと比べてみると、その価格差は明らかですよね。ただ、日本に広く分布するスギは産地ごとに品質や性質にバラつきがあり、価格差が大きいのも特徴です。最高級のブランド杉として知られる「吉野杉」を筆頭に、価格の高いブランド杉も多くあります。
スギのお手入れ方法
スギに限らず、無垢材は塗装仕上げの種類によってメンテナンスの方法が異なります。無垢フローリングの塗装仕上げとしては次の3種類があります。
- 浸透性塗料(オイル塗装仕上げなど)
- 造膜型塗料(ウレタンクリア、UVウレタンクリア塗装仕上げなど)
- 無塗装
表面の質感や香りが特徴的なスギは、無塗装の状態で納品されることもあります。柔らかなスギは無塗装のまま使うと傷や汚れがつきやすいため、何らかの塗装を施すのが一般的です。スギの質感を生かしたいのであれば浸透性塗料仕上げ、耐久性を高めたい場合には造膜型塗料がおすすめ。次に、浸透性・造膜型それぞれのお手入れ方法について解説していきます。
浸透性塗料仕上げのお手入れ方法
浸透性塗料仕上げとは、天然オイルなどを木の内部に染み込ませることで無垢フローリングを保護する仕上げのこと。表面の質感をそのまま生かすことができるので、柔らかく温もりのあるスギに適した仕上げです。日常のお手入れは雑巾やフローリングワイパーを用いた乾拭きで十分。物を落とすなどして表面に傷がついた時には、サンドペーパーで表面を削ると簡単に補修できます。
加えて、浸透性塗料は年1回程度を目安として定期的に塗り替えが必要。サンドペーパーで削った時にもオイルを塗り直して、しっかりと表面を保護するようにしましょう。
造膜型塗料仕上げのお手入れ方法
造膜型塗料とは、フローリングの表面に塗膜を張ることで無垢フローリングを保護する塗料のこと。スギフローリングに用いれば、スギの弱点である表面の傷つきやすさをある程度カバーすることができます。造膜型塗料仕上げのフローリングも基本は乾拭きで十分。塗り替えを前提としていないので、サンドペーパーでの補修は控えたほうがいいでしょう。年に1回程度、表面に専用のワックスを掛けることでフローリングを長持ちさせることができます。
まとめ
今回は、日本人に古くから愛されてきたスギのフローリングについて解説してきました。スギの持つ温かさ・香り・柔らかさは、素足で過ごすことを基本とする日本の家にはピッタリです。日頃から正しいお手入れを心がければ、長年にわたり快適な生活を支えてくれるに違いありません。リノベーションを検討する際には、スギのフローリングを候補に入れてみてはいかがでしょうか。
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