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費用を抑えながらも個性的に見せる無垢フローリングの乱尺張りって?

費用を抑えながらも個性的に見せる 無垢フローリングの"乱尺張り"って?

住宅において床は、家の中で目に見える面積が広く、また足など体に触れるところでもあり、素材や色を選ぶ際にはとても慎重になるところですよね。また、面積が広い分、必要となる材料の量が多いので床の材質やその貼り方で費用が大きく異なってきます。

そこで今回は、床材の貼り方の中でも比較的費用を安く抑えられつつ、個性的な床に仕上げられることで人気の”乱尺貼り”を使った事例を集めました。理想の家や床のイメージが湧かないという方も、いくつかの事例を見比べてみると少しずつ自分好みのスタイルが見つかってくることがあるので参考にしてください。

乱尺貼りとは

まず乱尺貼りとは、長さの異なる床材をつなぎ目が隣の床材と揃わないようにバラバラに並べる貼り方を言います。

床材に無垢(100%純粋に木だけで作られた床材)を使用した場合、不揃いな並べ方が個々の木目の表情を分かり易くし、個性的な床面に仕上がります。床材を全て同じ長さに切りそろえずに形を整えるだけでそのまま使うことができ、端材が少なく済むので費用も抑えられます。

ビーチの砂浜を連想させる乱尺貼り

費用を抑えながらも個性的に見せる 無垢フローリングの"乱尺張り"って?
 
費用を抑えながらも個性的に見せる 無垢フローリングの"乱尺張り"って?

こちらの床は明るめの無垢材を使った乱尺貼りです。キッチンは白レンガ、その背面は落ち着いたブルー、壁にはペンキで白く塗った木材、扉は黒と木製の引き戸、天井はコンクリートの灰色と白のコントラストで、一つ一つを見ると個性の大集合です。ビーチサイドを彷彿とさせる色使いで、床材の色味が単一でない明るいベージュがビーチの砂浜のようにも見えます。

床の明るく自然な木目と白を基調にした柔らかい空間を、落ち着いたブルーと黒が差し色になって引き締めることで、異なる個性をこれだけ同時に使いながらも全体として違和感なくまとまって見えます。

乱尺貼りの木目が主役の床

費用を抑えながらも個性的に見せる 無垢フローリングの"乱尺張り"って?

白い壁面と木材で揃えられ統一感のあるこちらの事例では、木目の個性が存分に味を出しています。白とベージュの二色をメインとした色使いは建売の新築に多く、清潔で涼やかですが無機質な印象を与えがちです。床を乱尺張りにすることで自然な木の色の境目やグラデーション、木の節がポイントになり、個性的で温かみのある空間になりました。

家主の帰りを優しく迎える乱尺貼り

費用を抑えながらも個性的に見せる 無垢フローリングの"乱尺張り"って?

玄関では靴を脱いだり履いたりするため、足元に目が行きがちです。居室などに比べて横幅が限られる玄関前の床ですが、横方向に乱尺貼りが施されてあります。短い幅の床材を多く用いて境目を見せようとするデザインが他の床には無い個性を生み出しています。人間の手でデザインされた模様でなく、自然の木目をそのままデザインとして活かすことでリラックス効果も期待できます。帰宅してすぐ床に癒される生活というのも素敵ですね。

濃い床色での乱尺貼りなら落ち着きも個性も手に入る

費用を抑えながらも個性的に見せる 無垢フローリングの"乱尺張り"って?
 
こちらの2つの事例ではどちらも暗めの色の木材と白い壁面のコントラストがシックで落ち着いた空間を演出しています。
 
また、左の事例では家具を含めた木の色使いが統一されているため統一感があります。このような場合は比較的単調なイメージになりがちですが、乱尺貼りを始めとする色の使い方に工夫することできちんと個性が出ており、デザイン性の高い空間になっています。ここで使用している床材は黒に近い色を基調としながらも自然の素材であるため部分的に明るい箇所も含まれています。この自然な明度のランダムさによって統一感のあるシックな空間の中に柔らかさと温かみを感じることができます。

右の事例の乱尺貼りは、あえて床材の色の濃淡を隣り合わせないように並べることで床の印象をより強くしています。この個性のはっきりした床に明るい色の扉や壁を合わせることで全体的には明るめの印象に仕上がりました。ここでさらに明るい色の床にすればよりポップな印象になりますが、同時に安っぽい印象も与えかねないためバランスの調整が難しいと言えるでしょう。この濃淡を際立たせた床の、自然でありながら個性的な木目がおしゃれな空間へと格上げしてくれています。

まとめ

床のデザインを考える際には、床にどんな素材を使うのかということはもちろん、同じ材料でもその貼り方によって見え方が大きく変わってくるため、どの素材をどのように貼るかということまで様々な事例を見ながら考えてみてください。

また、写真での印象と本物の床材での印象では多少異なる場合もあるため、業者の方に依頼をしてサンプルを手に入れられるようにすると良いでしょう。ショールームがある場合は、実際の床材の質感や色を比べつつ、どういう貼り方をされるとどう見えるのかという点についても一度見ておくとさらに自分好みのパターンや貼り方が見つかるかもしれません。

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