漆喰は古くから建物の外壁や内壁に使われてきた材料です。天然の素材感が美しく、柔らかな風合いが人気です。
漆喰の主原料である消石灰は、園芸の土づくりの材料としても有名です。消石灰を原料とする漆喰壁には沢山の小さな穴が空いています。この穴が消臭、調湿などの役割を果たしてくれます。また、漆喰壁にはホコリの付着の原因になる静電気の帯電防止効果もあります。
今日は、漆喰壁を長く楽しむためのお掃除の仕方を解説します。
漆喰壁のふだんのお掃除
漆喰壁は、ふだんは特別なお掃除は必要ありません。時々、ホコリを払う程度でキレイな壁を保つことができます。スイッチ周りに付く手あかが気になる時はふだんのお掃除でも対処しておきましょう。
準備する道具
・掃除機
・ハタキ
・柄の長いホウキ
・消しゴム(メラミンスポンジ)
天井や壁のすみにホコリがたまりやすくなります。柄の長いホウキやハタキがあれば踏み台を使わなくても掃除ができます。ホウキは棕櫚(シュロ)などを使った柔らかいものが、壁を傷つけずホコリを効率的に落とします。
漆喰壁のふだんの掃除方法
■ホコリの落とし方
漆喰壁のふだんのお掃除は、ホコリを落とす程度で十分です。漆喰壁は静電気を貯めずホコリを寄せ付けない性質がありますが、まったくホコリが付かないといわけではありません。時々ホコリを落としておきましょう。
掃除機を使って直接ホコリを吸い取っていきます。掃除機で吸うとホコリが飛ばず効率的に掃除できます。床用のノズルで、壁全体を掃除していきます。吸引力は弱くてもホコリは取れます。
ハタキを使うときは壁をはたくようにホコリを落としていきます。ハタキ掃除は手軽ですが、ホコリが舞いやすいので必ず換気をしながらにしましょう。
壁の隅(壁と壁、壁と天井)はホコリがたまりやすい場所です。こういったところは柄の長いホウキを使って払い落します。
■スイッチ周りの手あか
白の漆喰壁は大変美しい壁ですが、手あかが目立ちやすいこともあります。
特にスイッチ周りは手がつきやすいので、気になる時は消しゴムやメラミンスポンジで優しくこすって落としましょう。あまり強くこするとキズの原因になったり、周りと色が異なって見えるようになってしまいますので、あくまで優しくこすります。遠目から見て汚れが目立たなくなる程度にとどめておきましょう。
漆喰壁の念入りお掃除
せっかくキレイに使っていても、不意に汚してしまうことがあります。特に、コーヒーやお茶、油汚れは、付いてしまったらできるだけ早く掃除することが大切です。放置すると、漆喰壁の奥まで汚れが染み込んでしまいます。
準備する道具
・消しゴム(メラミンスポンジ)
・サンドペーパー(150番~300番)
・家庭用中性洗剤
・塩素系漂白剤
・きれいな布
漆喰壁の念入り掃除方法
まず、汚れを消しゴムかメラミンスポンジで落ちるか試してみます。次にサンドペーパーで表面を軽くこすり落としてみます。それでも落ちない場合は中性洗剤を試し、それでもだめなら塩素系漂白剤を試します。汚れによっては、水を使えないものもありますので気を付けてください。
どうしても落ちない場合は、サンドペーパーで「削り取る」という方法もあります。
■鉛筆の跡
鉛筆の跡は消しゴムで消すことができます。スイッチ周りの手あかと同じように軽くこすって消します。鉛筆が強く当たり、壁がえぐられているようならサンドペーパーで平らにならすこともできますが、やり過ぎないよう注意しましょう。
■ペン・マジックの跡
ペンやマジックの跡はサンドペーパーこすり落とします。鉛筆同様、やりすぎないよう気を付けながら行いましょう。汚れが壁の内部まで染み込んでいる場合は、落としきれずに多少残ってしまうこともあるでしょう。
水拭き、洗剤拭きは厳禁です。かえって汚れが広がる原因になります。
■しょうゆやソースのシミ
しょうゆやソースは付いたらできるだけ早い対応が必要です。
最初に薄めた中性洗剤をつけた布で優しく拭き取ります。残るようなら塩素系漂白剤を水で薄めて、綺麗な布で塗ります。乾かしてから水を含ませた布で叩くようにして漂白剤を拭き取ります。
注意したいのは洗剤の種類です。漆喰壁はアルカリ性のため、酸性の洗剤は壁を傷める原因になります。使う前に洗剤の種類を確認しましょう。
■コーヒーやお茶、ジュースのシミ
こちらも同じく、できるだけ早い対応が必要です。うっかりすると壁の奥までしみ込んでしまいます。
中性洗剤は使えませんので、塩素系漂白剤を使います。塩素系漂白剤を水で薄めて、綺麗な布で塗ります。乾かしてから水を含ませた布で叩くようにして漂白剤を拭き取ります。
完全には取れずに、多少色素が残ることもあります。
掃除で部分的に色が変わってしまったら
年数が経ち、色合いが変化している漆喰は、掃除をすることでその部分だけ色が変化することがあります。どうしても気になる場合、周りをサンドペーパー(300番程度)で軽く擦って色をなじませる方法があります。
大きな汚れ・ひび割れ・破損したときはプロに依頼
頑固な汚れをきれいにするには、壁を塗りなおす方法もあります。汚れに限らず、ひび割れや破損の際にも塗り直しが必要になることがあります。
漆喰壁の補修は、多くの場合「壁一面塗り直し」という形になります。部分的に新しく塗り直しても微妙に色が違ってしまい、違和感が出るからです。この違和感をなくすために全面を塗りなおすことが一般的です。
全面塗り直しとなると、DIYとしてはハードルが高く感じることがあるかもしれません。専門の業者にお願いすることも選択肢の一つです。
まとめ
今回は漆喰壁のお掃除方法をご紹介しました。
ホコリや手あか汚れを落とすふだんの掃除は気負う必要はあまりありません。大体の汚れは消しゴムで落とせるので、鉛筆汚れなどがついていないきれいな消しゴムを用意しておくと良いでしょう。
漆喰壁は自然の風合いが美しい壁です。それを長く楽しみたいですね。
参考文献
・PHP研究所,住まいのお手入れハンドブック,PHP研究所
・NPO法人日本ハウスクリーニング協会,掃除の解剖図巻,エクスナレッジ
・漆喰うま〜くヌレール(日本プラスター株式会社)「漆喰ってどうやってメンテナンスするの?正しい方法について解説!」