こんにちは。現場監督ライターのKUMAです。今日は塗装用シンナーについてのお話です。
塗料を使うとき、塗料を薄めて使いやすくしてくれる専用の液体にシンナーがあります。うすめ液とも言います。プロ、アマチュアを問わず、塗料を使うときに用意したい製品の一つです。シンナーを使って塗料を適切に薄めると、作業がしやすく、仕上がりが美しくなります。
ホームセンターに塗料を買いに行くと、何種類か塗装用シンナーが売っていますね。果たしてどれを使えば良いのでしょうか。そもそも、シンナーとは一体どのようなものなのでしょう。
今回はそんな疑問に答えるべく、塗装用のシンナーについてお話しします。少し塗装に関する知識を深めていただくと、塗装が楽しくなるかもしれません。
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塗装用シンナーは塗料を薄めて塗りやすくするための液体
「シンナー」とは、英語で「thinner」と書きます。意味は「薄めるもの」という意味です。塗装用シンナーは、塗料を薄めて(希釈して)塗りやすくするために使われます。塗料は適度に希釈して使うことが、塗装を上手に仕上げるポイントになります。
塗装用シンナーには、各種の有機溶剤が混合されており、塗料に適したシンナーがあります。
塗料は適切に薄めて使いやすくする
塗料は温度や状態によって粘度が変わってきます。夏の気温が高い時期はサラサラとしていて使いやすい状態ですが、冬の気温が低い時期はドロリとして使いにくい状態になります。温度や状態によって粘度が変わってくるので、専用シンナーで薄めて使いやすくします。
塗料によって異なりますが、おおよそ5~15%の範囲で薄めます。薄めすぎると塗料の性能を十分に発揮できません。
塗料を薄める利点
塗料を薄めずにそのまま使っても差し支えありませんが、薄めて適切な粘度にしておくと良い点があります。
1.美しく仕上がる
塗料を適切な粘度に調整すると、美しい仕上がりになります。
塗料の粘度が高すぎると、ハケやローラーのムラがでやすくなります。薄すぎると、タレの原因になります。また、パターンを作るタイプの塗料では、上手にパターンを作ることができません。
2.効率よく作業できる
塗料を適切な粘度に調整すると、作業効率が上がります。
粘度が高すぎると塗料の伸びが悪く、ムラの原因になります。粘度が低すぎると、塗膜が薄くなったりタレが発生したりして手間が増えます。
3.下地への浸透力を上げる
浸透系塗料や一部のプライマーは、下地に浸透することで効果を発揮する製品があります。
粘度が高すぎて十分に浸透しなければ効果が得られません。粘度が低すぎると、溶剤ばかりが浸透し、十分な量の樹脂成分が浸透できません。
塗料によって使うシンナーが違う
塗装用シンナーを使う上で注意したいのは、塗料によって使うシンナーが異なるという点です。
塗料缶の側面に、薄める時に使う製品が書いてありますので用途を守って使ってください。注意書きと異なるシンナーを使うと、塗料の分離や沈殿、非硬化といった不具合が生じます。
次に、シンナーの種類ごとに特徴をご紹介します。
塗料用シンナー
ミネラルスピリット(脂肪族炭化水素)を主成分としたもので、油性系塗料や変油性合成樹脂塗料を薄めるのに使います。
一般向けの製品では「ペイントうすめ液」という名前で販売されています。
ラッカーシンナー
エステル、ケトン、アルコール、芳香族炭化水素(キシレン、トルエン等)を主成分として、ラッカー塗料を薄めるのに使います。塗料用シンナーより溶解力が強く、乾燥が早いです。、独特の臭気があります。
一般向けの製品では「ラッカーうすめ液」という名前で販売されています。一般向け製品には、トルエンなどが入っていないタイプもあります。
専用シンナー
多くの合成樹脂塗料には、それぞれに適した専用シンナーがあります。かならず、塗料にあった専用シンナーを使います。
水性塗料:水(水道水)
ほとんどの水性塗料は、水を塗装用シンナーとして使います。
塗装用シンナーの注意点
塗装用シンナーには有害な物質が数多く含まれています。取り扱いには注意が必要です。
作業場所の換気を怠らない
塗料や塗装用シンナーを使う場合は風通しの良い場所で使うようにします。室内や密閉空間で使う場合は必ず換気を行います。
作業中に気分がわるくなったりした場合には作業を中断します。作業に集中していると気づかないこともあるので、作業を区切り、適度な休憩を挟みます。
火気に注意する
塗料用シンナー(ペイントうすめ液)に使われている有機溶剤には引火性があります。
塗料用シンナーや、それを使う塗料は作業中だけでなく、乾燥中も火気厳禁です。塗料が完全に乾くまで火気厳禁にしなければなりません。
廃棄方法に注意する
塗装用シンナーを捨てる方法も注意が必要です。
少量であれば家庭で処理できます。新聞紙やぼろ布などに染みこませ日陰で湿り気を持たせながら乾燥させます。もしくは、塗料用凝固剤や凝集剤を使って可燃ゴミとして処理します。
家庭ゴミとして出す場合は、自治体によって処理できない場合もありますのであらかじめ確認しておきましょう。大量に処分する場合は、メーカーに相談するか、専門業者に処理を依頼します。
くれぐれも、排水口に流したりしないようにしてください。
まとめ
今回は、塗装用シンナーについてお伝えしました。
プロ、アマチュアを問わず、塗料を使うときに用意したい製品の一つです。シンナーを使って塗料を適切に薄めると、作業がしやすく、仕上がりが美しくなります。
適切に使うことで、塗装の仕上がりを良くしてくれるシンナー。適した物を選び、塗装を楽しみましょう。
参考文献
一般社団法人 日本塗料工業会,家庭用塗料入門,一般社団法人 日本塗料工業会
一般社団法人 日本塗料工業会,家庭用塗料入門Q&A集,一般社団法人 日本塗料工業会
一般社団法人 日本塗料工業会,塗料と塗装 基礎知識 改訂第4版,一般社団法人 日本塗料工業会
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