「台所は女の城」「男子厨房に入らず」
キッチンに関する言葉は色々ありますが、これらはもはや昔のお話。今やパートナーや子どもと一緒に料理を楽しむのは普通のことでしょう。積極的にキッチンに立ちたいという男性も増えてきましたから「新しくするなら、2人でも作業しやすいキッチンを」と考えている方も多いのでは。そのためには、ある程度の広さが欲しくなるのですが、日本の住宅事情では限りもあるのです。
今回は「I型」「II型」「L型」「U型」4つのキッチンレイアウトを元に、2人で立つキッチンならばどのレイアウトが向いているかを考えます。
キッチンに2人で立つならベストはL型
「L型」とは壁面にコンロ、ワークスペース、シンクがL字型に並べられたレイアウトのこと。Lの字の短い辺にはコンロが来るのが一般的です。
メリットは作業動線が交わらないこと
L型レイアウトがなぜ2人で立つのに最適かというと、たとえばコンロからシンクへ移動するのにキッチンに平行に移動する必要がないから。2人の動線が交わることが少ないので、作業しやすいと言われます。効率的な作業動線のために、冷蔵庫はキッチンのどちらかに隣接して配置しましょう。
デメリットはコーナーが使いにくいこと
L型レイアウトのデメリットはコーナー部分の奥行きが深くなることだと言われます。ワークスペースに当てられがちですが、奥にあるものに手が届きにくくなるでしょう。また奥行きの深さは収納の使いにくさにもつながります。解消するためにシステムキッチンを手がける各メーカーは、様々な工夫を凝らしていますから比較してみてください。
2人で立つならII型キッチンもおすすめ
「II型」とは壁面だけでなく、平行に配置された「島」にもキッチンをレイアウトしたもの。人気のアイランドキッチンがII型に当てはまるのですが、こちらも2人で立つのに適したキッチンレイアウトでしょう。
メリットは島を囲めること
アイランド部分は全方向から囲むことができるのが、II型レイアウトのメリットのひとつです。アイランド部分にシンクとワークスペースを配置すれば1人が洗い物をしながら、もう1人が食材を刻んだりという使い方ができますし、蛇口の付け方を工夫すれば両側からシンクを使えたりもできます。
デメリットはスペースを取ること
アイランド周りには通路が必要になりますし、アイランドと壁面で同時に作業するなら、通路幅は120cmは欲しいもの。2人で立つなどII型キッチンを活用するには、十分なスペースが必要になることがデメリットでしょう。
限られたスペースにII型キッチンを設置するには、アイランドをダイニングテーブル兼用にするなど、省スペースのために一工夫を加えてみてください。
またアイランドを囲むには手元隠しのボードが使えなくなりますから、リビングからキッチンが丸見えになってしまうのもデメリットと言えます。いつもきっちりと片づけておく必要があるでしょう。
U型キッチンに2人で立つには?
アイランドキッチンの一辺を壁に付けて設置したペニンシュラキッチンが、U型キッチンに当てはまります。顔を上げるだけでリビングの様子をうかがうことができる対面式ということで、人気の高いレイアウトのようです。
作業効率の良さがメリットですが
体をひねったり反転させるだけでコンロ、ワークスペース、シンクにアクセスできる作業効率の良さがU型レイアウトのメリットです。しかし2人で立つとなるとデメリットも目立つもの。壁付のペニンシュラ部分は周りを囲むこともできません。
ペニンシュラと壁面で同時に作業するなら、アイランドキッチン同様120cmの通路幅が欲しくなりますが、そんな余裕があるならU型レイアウトを選ぶ必要もないかもしれません。II型レイアウトにしてしまえば、2人で立ってもストレスの少ないキッチンになるでしょう。
I型キッチンに2人で立つには?
コンロ、ワークスペース、シンクが一並びになったレイアウトをl型と呼びます。省スペースに収まるので、根強い人気があるレイアウトのひとつです。
I型キッチンに2人で立つのは大変!
I型キッチンに2人で立つことを考えるなら、コンロ、ワークスペース、シンクを長く並べる必要もあります。すると長すぎるキッチンになってしまい、1人で料理をするときには移動が大変でしょう。
また料理はコンロからシンクへといった具合に、キッチン内での移動が連続するものです。2人でキッチンに立つと、互いの動線がしばしば重なるのがI型キッチン。体がぶつかってばかりで、ストレスが溜まってしまうかもしれません。
まとめ
効率的なキッチンの条件の一つに、シンク、コンロ、冷蔵庫の3つが三角形にレイアウトされているというものがあります。三角形なら移動距離が短いというメリットがあるからなのですが、2人で立つ場合に動線が交わらないというメリットもあるのです。この点からも、L型やll型のレイアウトが優れている理由がお分かりいただけるでしょう。
後はいかに限られたスペースでL型やII型のレイアウトを実現するかなのですが、II型ならアイランドをダイニングテーブル兼用にしたり、L型ならコーナーにシンクを持ってくるなど様々なテクニックもあります。まずは理想のキッチンをプランナーに伝えてみてください。