今現在住んでいるマンションをリノベーションしたいとき、建物の間取りを変えることも検討することになります。2つの部屋をひとつにして、より広々とした空間を生み出したり、キッチンとリビングとの動線を増やすことでより快適に家事をこなすことを目指したりと間取り変更の目的は様々でしょう。
でも、マンションの間取り変更ってどこまでできるの?そもそも何をもって間取り変更ていうの?具体的にはどんな例があるの?と、色々な疑問点が浮かぶでしょう。そこで、この記事ではマンション間取りの定義、できる間取り変更とできない間取り変更、さらに間取り変更する際の注意点を紹介していきます。マンションの間取り変更リノベーションは大規模な工事になることが多く、費用もかさみがちです。取り掛かる前にじっくりと検討することが重要でしょう。
マンションの間取り変更リノベーションとは?
間取り変更とは、既存の間取りを変更して、今住んでいるマンションを違う構造の部屋にするリノベーションのことを指します。複数の部屋を壁を取り払うことによってひとつの広い部屋にするのも間取り変更です。これとは逆に、ひとつの子供部屋の間に間仕切りをつけることで2つの部屋にすることも間取り変更です。つまり、間取り変更とは、マンションの部屋の構造を変えて、目的に沿った構造に構成しなおすことを言います。
間取り変更が できる部分・できない部分
間取り変更をする前に気を付けておきたいことがあります。それは、マンションの場合、どこでも自由に間取り変更ができない点です。マンションは集合住宅であるため、間取り変更ができる部分とそうでない部分があります。
・専有部分について
専有部分とは、マンションの住戸部分です。ここは、マンションを購入したオーナーの所有物ですので、間取り変更ができます。住戸部分の範囲内であれば、壁を取り払うことも可能でしょう。マンション全体の構造に与える影響がないからです。ただし、そうであってもマンションによっては構造上、壁を取り払うことができる範囲について、制限が設けられている場合もあります。事前に管理会社に相談しましょう。
また、住戸部分の範囲内であっても給排水の壁配管は共有部分です。そこは手を加えることができませんので注意してください。
・共用部分
共用部分は間取り変更ができません。共用部分とは、マンションにおける専有部分以外のことをいいます。具体的にいうと、廊下や、他の分譲部分とを仕切る壁、エレベーターや外部階段、ゴミ捨て場などです。これらはマンションの住民が皆で使うものですから、共用部分だとわかりやすい箇所でしょう。
しかし、当該住戸の住民だけが使用する設備であっても共用部分とされる箇所もありので注意が必要でしょう。例えば、玄関扉、バルコニー、マンションの外に通ずる窓などは共用部分です。バルコニーはその部屋に住んでる人以外は滅多に使いませんが、共用部分とみなされます。厳密に言うと、共用の占有使用部分と言われます。共用なんだけど、その部屋の所有者は独占して使っていいよという意味で理解しておきましょう。
特にバルコニーの拡張では、建ぺい率や容積率への配慮も必要です。共用の占有使用部分をリノベーションする場合には、管理会社にも事前に相談する義務があると心得ておきましょう。
マンションの間取り変更リノベーションで注意したい点
このように間取り変更リノベーションをマンションという集合住宅で行うには、ある程度の制限があり得ます。そこで、間取り変更を伴うリノベーションを行う際に、注意しておくべき点を以下で紹介していきます。
マンション管理規約をチェック
マンションにはそれぞれ管理規約があります。専有部分とは言え、マンションによっては間取り変更に制限を設けている場合もあります。
実際に間取り変更の工事をする場合には、工務店やリフォーム会社がマンション管理組合に届けたり、相談を行うのですが、事前に規約を確認して管理組合とのトラブルはなるべく避けたいものです。
例えば、リノベーションでキッチンのIH化をしたり、間取り変更に伴って床暖房を取り入れる場合には、管理組合に電気容量をあげるように申請する必要もあるでしょう。
マンションの構造をチェック
マンション管理規約に対応できても、マンションの構造によっては間取り変更リノベーションが困難な場合もあります。
マンションの基本的な構造はラーメン構造と壁式構造に二分されます。
ラーメン構造とは、柱と梁で出来た構造部を溶接で一体化させてくみ上げる構造です。タワーマンションや中高層マンションに多いようです。ちなみに「ラーメン」とはドイツ語で額縁を意味する「Rawhen」から名付けられています。柱と梁を溶接した形が額縁に似てるところからきています。
ラーメン構造は壁で支えているわけではありませんので間取り変更が比較的容易とされます。
これに対して、壁式構造とは、柱や梁を使わず、耐力壁で建物を支える構造です。柱や梁がない分、空間が広くとれるのですが、壁を容易に取り壊せません。建物を支えている柱を取り除くのと同じですから、壁式構造の場合には、間取り変更リノベーションができる範囲は狭くならざるを得ないと覚えておきましょう。
排水管・排気口ダクトの経路をチェック
間取り変更のリノベーションをする場合に、それに伴ってキッチンやトイレ・バスの位置を変更する例も多く見られます。これらの水回りを動かすときには、考慮しなければならないのが排水管の移動をどうするかでしょう。
また、キッチン・バスには換気扇がつきものですから、排気口ダクトの位置も考慮する必要が生じることもあります。排気口は天井の梁にぶつからないよう注意してください。
排水管に関しては、スムーズに流れるよう、排水管の傾斜を確保できるような位置にする必要もあるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。マンションの間取り変更リノベーションの工事に取り掛かる前に、気を付けなければならないポイントが多くあることがお分かりいただけたでしょうか。特に、住居の中であっても手を加えてはいけない共用部分があることには、意外と知られていないようです。
間取りリノベーションは大規模な工事になることがほとんどですから、入念に下調べしてから取り掛かってくださいね。