床は、部屋の雰囲気を左右する大切な要素。フローリングとなると素材に目が行きがちですが、もう一つこだわりたいのがフローリングの張り方です。実は、張り方によっても床の印象は大きく変わってきます。張り方次第で、部屋を広く見せたりスッキリ見せたりといったことも可能なのです。
そこで今回は「フローリングの張り方事典」と題して、張り方を一挙にご紹介していきましょう。
どんな部屋でも合う真っ直ぐな張り方
最初にご紹介するのは、部屋の壁と平行になるよう真っ直ぐ張っていく張り方です。多くの家で採用されているベーシックなものであり、どんな部屋にでも合う張り方と言えるでしょう。
乱張り
長さの異なる床板をランダムに張っていく張り方を「乱張り」と言います。床板同士のつなぎ目がランダムになるのが特徴です。
床板に凸凹の接合部を加工することを「本実(ほんざね)加工」と言いますが、乱張りの場合、床板の四方に本実加工が施されています。こうすることで、つなぎ目がはっきりし、床板1枚1枚の個性を引き立てることができるのです。
1つの列を仕上げて、余った床材を次の列の最初に使うという形で施工していくので、床材が無駄になりません。比較的コストがかからず施工もしやすいため、多くの家で採用されています。
定尺張り(りゃんこ張り)
同じ長さに揃えた床板を、一定の間隔でずらして張っていく張り方を「定尺張り」もしくは「りゃんこ張り」と言います。乱張りと並んで、最もポピュラーな張り方の一つ。
1列おきにつなぎ目が揃うので、乱張りよりも整然とした印象です。部屋をスッキリとさせたい場合におすすめの張り方。
すだれ張り
同じ長さに揃えた床材を、つなぎ目が全て揃うように一定間隔で張っていく張り方が「すだれ張り」です。天井でよく用いられる張り方を床に応用した張り方。
定尺張り以上に整然とした印象を与えられるのが魅力ですが、長さ・つなぎ目をすべて揃えなければいけないため、高い技術力が必要とされます。
おしゃれに演出できる斜め張り
ここまでご紹介してきた張り方は、壁と平行方向に床材を真っ直ぐに張るものでした。それに対して、床材を斜め方向に張るのが「斜め張り」です。
部屋の四隅に対して、45°方向に床材を張り合わせていくのが一般的。床材を斜めにするだけで、フローリング全体に動きを生み出すことができます。真っ直ぐに張るよりも床を際立たせられるため、個性的な空間に仕上げたい場合におすすめの張り方です。
世界観を持たせたい時は寄木張り
床材を組み合わせて、幾何学的な模様を作り出す張り方を「寄木張り」と言います。フローリング自体のデザイン性を高め、世界観を持たせられるのが魅力です。寄木張りの中でも、次の2つの張り方がよく用いられます。
ヘリンボーン張り
ヨーロッパの宮殿や日本の古い洋館などで見られる、伝統的な寄木張りが「ヘリンボーン張り」です。ヘリンボーンとは、「ニシン(herring)の骨(bone)」という意味の言葉。同じ長さに揃えた床材をV字に張り合わせて仕上げます。
クラシカルな印象を与えるデザイン性の高さが魅力。また、部屋の長辺方向に配置することで、部屋全体の奥行きを感じさせることができます。
市松張り
寄木作りの中でも、同じ長さに揃えた床材で交互に正方形を配していく張り方を「市松張り」と言います。学校の教室によく用いられている張り方と言えば、イメージできる人も多いのではないでしょうか。
特徴的な張り方なので、空間を切り替えたい時やレトロな雰囲気を演出したい時におすすめです。
他にもある!こんな張り方はいかが?
ここまでご紹介したものの他にも、数多くのフローリングの張り方が存在しています。
例えば「朝鮮張り(韓国張り)」は、すだれ張りのように同じ長さの床材を一定間隔で配列し、つなぎ目に縦向きの床材を差し込むというもの。その名の通り、朝鮮の古民家や寺院で幅広く取り入れられていた張り方であり、短い木材で広い空間を美しく仕上げるための工夫が詰まっています。
また、「寄木張り」と一口に言っても、ヴェルサイユ宮殿の床に由来する「ヴェルサイユ張り」、ヘリンボーン張りを基本としつつ、床板の両端が直線状で揃うように配した「ハンガリー張り」などバリエーションが大量にあります。
一般的に名付けられている張り方以外にも、オリジナルの張り方を考えることも可能です。
まとめ
今回はフローリングの張り方についてご紹介してきましたが、オリジナルのものも含めれば、張り方は無限大だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。フローリングは、真っ直ぐに張るだけが答えではないのです。
こだわりの部屋を作りたいなら、ぜひ床の張り方にも目を向けたいところですね。