Column

どんぐりフローリングの魅力

家づくりでフローリングを選ぶときは、とても慎重になるものです。

フローリングは、壁紙や家具と違って簡単には交換できません。流行を追い、北欧スタイルやインダストリアルを取り入れるか、インテリアの方針によって、フローリングの選び方は大きく異なります。現代は、オークやバーチといったフローリングが流行していますが、本当にそれでよいのか、しっかり迷った上で、自分に合ったフローリングを選びたいところです。

どんぐりの木からできたフローリングは、山間に生えるシイの木を製材したものです。黄色味かかった色合いはクリに似ており、木目はナラに似た薄い木目をしています。

あまり聞かないどんぐりのフローリングですが、どのような魅力があるのでしょうか?

今回はどんぐりのフローリングの魅力についてお伝えします。

 

 

どんぐりの木でできたフローリングの特徴

どんぐりのフローリングは、シイ(椎)の木を製材して作られるフローリングです。

同じどんぐりの実を付ける木にオークやナラがありますが、それらとは区別して使われます。

キャンプや薪ストーブを持たれている方はご存じと思いますが、どんぐりである椎の木は、炭やチップを作るために伐採されます。それを大径木で立ち姿の良いものを選んでフローリングにしています。

どんぐりのフローリングは、黄色味かかった木肌でクリに似た色合いです。木目は薄く、ナラに似ています。

硬く重厚のため加工が難しのに加え、大径木が少ないので一般にはフローリングに使いません。ごく限られた良い立木を選び、フローリング向けに製材します。

 

 

どんぐりフローリングの費用を他の無垢材と比べる

どんぐりのフローリングの金額を、他の銘木と比べてみましょう。比べるのは1坪(タタミ2畳分)あたりの金額です。

どんぐりのフローリングの金額は、およそ30,000~40,000円です。ただ、流通量が少なく入手が難しいので、どんぐりのフローリングを買い求める場合は、特に良材を手に入れることが難しいフローリングです。

三大銘木であるブラックウォールナット、マホガニー、チーク、そして近年人気のあるオーク、サクラ、メープル、日本で古くから人気があるパイン、ヒノキと比較してみましょう。

フローリング材参考価格(筆者独自調査 2021.06)

 

 

どんぐりフローリングのメンテナンス

どんぐりフローリングのメンテナンスは、フローリングの仕上げ方法によって変わってきます。ここではよく使われる3種類の仕上げ方法を見てみましょう。

  • 木の内部に染みこむ「浸透性塗料」
  • 木の表面に膜を張る「コーティング系塗料」
  • 木のそのものを味わう「無塗装」

これ以外にも自然塗料や高性能塗料などがあります。使われる塗料によってメンテナンス方法が違いますので良く確認しておきましょう。

参考:HAGS 「無垢フローリングの日常の掃除・お無垢手入れ」

 

浸透性塗料

浸透性塗料は、木の内部に浸透して保護するタイプの塗料です。

普段のお手入れは乾いたフロアワイパーや雑巾でホコリ、汚れをしっかり取ることが大切です。皮脂汚れやしつこい汚れは専用洗剤で取ります。

取れない汚れはサンドペーパーで削り取る方法もあります。

1~2年に1度は床全体に同じ塗料や専用メンテナンス材を使ってメンテナンスを行います。

 

コーティング系塗料

コーティング系塗料は、木の表面に膜を作るタイプの塗料です。

普段のお手入れは、乾いたフロアワイパーや雑巾でのホコリ、汚れ取ります。掃除機を使ってもかまいません。コーティング膜が強固なので、しつこい汚れも比較的簡単に落ちます。

浸透系塗料と違い、サンドペーパーは使えません。表面がキズつきます。

1~2年に1度、仕上げに合った専用ワックスを塗るとメンテナンスが楽になります。

 

無塗装仕上げ

無塗装の場合、ホコリや汚れを乾拭きで取り、つやを出したい場合は、ぬか袋の使用がおすすめです。

 

自然塗料や高性能塗料など

フローリングによっては、ミツロウやカルバナロウなどの自然塗料や、ガラスフィニッシュなどの高性能塗料を使う場合もあります。

普段のお手入れは、乾いたフロアワイパーや雑巾でホコリ、汚れをしっかり取ることが大切です。皮脂汚れやしつこい汚れ、専用洗剤で取ります。

1~2年に1度行う定期メンテナンスは、それぞれの塗料に合った方法で行います。分からない場合、販売店に相談したり、塗料の取り扱い説明書を確認したりしましょう。

 

 

どんぐりの木について

どんぐりのフローリングに使われるシイの木は、日本全国に広く自生しています。街路樹や生け垣、公園などに植えられその姿をごく普通に目にしているでしょう。

子どもが拾ってくるどんぐりの半分ぐらいは、このシイの木の実です。

 

人との関わり

シイの木の実は、たくさん拾えるどんぐりのなかで、唯一あく抜きをせずに食べられる実です。

縄文時代には既に食料であったことが研究でも分かっています。少し前まで、子ども達のおやつ代わりになっていました。年配の方の中には、シイの実を拾って食べた方も多いと思います。

食べ方としては軽く煎って食べられます。虫食いの実も混じっているので、水洗いをして浮いているものは除きます。

 

一般的な利用方法

どんぐりの木であるシイは、一般的に薪や炭、チップなどの燃料にされます。他にも腐りやすい性質を利用して、椎茸栽培の原木としても使われます。

日本には有用な木がたくさん生えている中で、シイの木はあまり利用されていなかった歴史があります。

 

 

まとめ

今回は、どんぐりのフローリングについてお伝えしました。

どんぐりの木からできたフローリングは、山間に生えるシイの木を製材したものです。黄色味かかった色合いはクリに似ており、木目はナラに似た薄い木目をしています。

素朴な味わいのあるどんぐりの木。たくさんある材種から選ぶのは大変ですが、一つずつ比べて選んでみてはいかがでしょうか?

参考:誠文堂新光社 村山忠親「原色 木材大事典185種」

参考:株式会社マルホン カタログ「木材見本帳 第8号」