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リフォーム・リノベーションで暮らしやすい二世帯住宅マンションを実現するには

二世帯住宅は介護や子育てを行う上で、メリットが大きい為、高齢化や晩婚化が進んでいる中では、魅力的な住まい方のひとつと言えそうです。

二世帯住宅というと戸建て住宅のイメージがあるかもしれませんが、現在の住宅状況では、マンション居住で二世帯生活を選択することも少なくないでしょう。二世帯で暮らしやすいようなマンションにするためにリフォームやリノベーションを考えている方もおられると思います。

今回は暮らしやすい二世帯マンションをリフォーム、リノベーションで実現する方法についてご紹介します。

マンションのリフォーム、リノベーション工。事前に確認しておくべきポイント

1.税金関係の確認

何かと物入りな住まいの工事ですが、まず、工事の前に確認したいのが、税金関係です。リフォーム・リノベーションを計画する段階で知識があれば、新しい暮らしで税金の負担を抑えられるかもしれません。

例えば、マンションの名義が親になっている状態で、子側が工事費用を払ってしまうと、贈与税がかかります。贈与税の課税率は非常に高いので、思わぬ痛手となりかねず、注意が必要です。名義を資金提供する側の名義に変更しておくことで問題を回避できます。相続時精算課税という制度があり、この制度を利用すると、親子間に限り2500万円までは無税で財産贈与が行えます。(参考:国税庁HP) 

2.補助金の確認

二世帯住居にリフォーム、リノベーションするにあたって、国や自治体から補助金を得られる制度を利用できることがあります。ただし、申請や工事内容が定められた条件を満たしていないと補助金がおりないことにもなりかねないので、制度の内容をしっかり把握する必要があります。

特に、バリアフリーや省エネに関する工事を想定しているならば、利用できる制度もいくつもあるので、一度調べてみるとよいでしょう。不安な場合には詳しい業者に相談するのも一つです。

参考:リノベーションに使える補助金・減税制度をチェック!損しない資金計画を

3.管理規約の確認

マンションには専有部分と共用部分の2つがあります。専有部分は基本的に所有者に管理が任されているので、比較的自由に工事を行うことができますが、共有部分は個々の住人が自由に改変することができません。

玄関ドアや窓のサッシ、ベランダ、隣接住居との間の壁など、共有部分かどうかの区別がつきにくいところもありますので、工事を予定している物件ではどのように定められているのか、確認しておきましょう。

また、専有部分であってもマンションの規約で工事ができない場合もあります。業者を呼んで行う工事については、立ち入り許可を管理組から得る必要がある場合もありますので、この点も工事前に管理組合に確認しておくことも重要です。

管理規約は建物ごとに内容が異なっているところもあるので、マンションでリフォーム、リノベーションを計画するなら、事前に管理組合に問い合わせて規約の内容を確認しておくことをオススメします。

4.入居後費用負担の確認

物件取得費用や工事費用については十分に検討していても、意外と見落としがちなのが入居後に発生する費用です。例えば、新しい暮らしが始まってみたら、思ったより光熱費がかかることが分かったということもあります。

こういった入居後の費用について、二世帯が生活していく中で、どちらが負担するか揉める可能性もあります。

ある程度は事前に費用を予想して負担割合を決めておくことができるでしょう。長く良好な関係で暮らしていくには、住居に関する費用について適宜見直しのタイミングを設けるよう決めておくなど、意見をすり合わせる仕組みを考えておくと安心でしょう。

二世帯住宅マンションのリフォーム、リノベーション工事で考慮すべきこと

次に、工事に入る段階で、施工をスムーズに進めるために考えておきたいポイントについて解説します。

マンションの給排水問題

 生活の中心となる水回りは、リフォーム、リノベーションで優先的に更新したい部分かもしれません。マンションの場合、工事内容に制限がかかることがあります。

キッチンやトイレの移設・増設を希望する場合、既存の配管が使えない位置なら新しい配管を増設することも必要になってきます。しかし、マンションでは勾配やパイプスペースとの位置関係、室内の給排水ルートといった制限のため、新規の配管を増設ができない場合があります。

水回り増設を考えるなら、まずどの位置に設置できるのか、設備や工事にどのくらいの費用が掛かるのか、確認する必要があるでしょう。

二世帯マンションの間取り

二世帯で暮らすためにマンションをリフォーム、リノベーションする上で、間取りに関して検討すべきポイントを見ていきましょう。

  1. キッチン
    まずは、日々の料理と食事です。キッチンは使う人に合わせて設計することが使いやすさの上で重要です。身長の違う人が共同で使ったり、何人もで同時に使うことがあったりすれば、サイズやレイアウトも合わせるように考えるべきでしょう。

    生活動線や一日の家族のスケジュールなども含めて、実際の使用風景を想像しながら計画を立てるのが良いでしょう。

  2. 浴室、トイレ
    次に浴室やトイレです。高齢者が生活するの場合には、居室からトイレへの距離について優先度高く検討したいところです。

    また、介護のしやすさも考慮するなら、車いすで移動できる広さや形状が確保でき、引き戸・折れ戸など使いやすい建具が設置できる間取りがおすすめです。

二世帯で快適に過ごすためにリフォーム、リノベーションを検討するべき場所

二世帯での暮らしに合わせてリフォーム、リノベーションする上で、忘れずに検討しておきたい工事箇所を見ていきましょう。


  • 介護のしやすさを考えるなら、玄関からベランダまで床面のバリアフリーについては検討しておきたいですね。また床材も、滑りにくいものや足腰に優しい弾力のあるものなどを選ぶこともできます。

  • キッチンのコンロや給湯器
    二世帯となると通常、光熱費も増加するので、IHクッキングヒーターや省エネ性能が高い給湯器を導入することも検討してみましょう。

    安全性についても新しい製品は改善されていることが多いので、初期費用が掛かっても導入するメリットが感じられるかもしれません。

  • 収納
    見落としがちな収納も考えておきたい部分です。特に、子育て世代は子どもの成長とともに荷物が増える傾向にあります。

    床面積が限られるマンションでも、小さい収納をまとめて大容量のファミリークローゼットにしたり、玄関スペースを広めにして土間やシューズクロークといった多目的に使える収納を作る間取りも考えられます。

    デッドスペースを効率的に使える収納を造作することもできます。他の工事と合わせて依頼すれば費用面でも有利になるでしょう。

まとめ

マンションで暮らしやすい二世帯居住を実現させるには、いくつかのポイントがありました。イメージで夢をふくらませつつも、情報収集や家族での打ち合わせを十分に行って、実際に住で暮らしている生活のシミュレーションをしっかりしておくことが重要です。

下準備をしっかりして、快適な住まいを目指しましょう。


ライター紹介


COLUMBOU(COLUMBOX)

長く住宅不動産業界にいた経歴と宅建士の資格を活かして、住まいやインテリアに関する情報も発信しています。またwebデザイナー兼ライターをやりながら、ハンドメイド作家としてアンティーク木箱や木工雑貨の製作も行っています。