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狭い家をリフォーム・リノベーションするなら要注意!押さえておくべき建築規制とは?

自宅が狭くて使い勝手の悪さを感じている場合、リフォーム・リノベーションで快適性をアップしたいと考える人も多いのではないでしょうか。新たな家を購入したり、建て替えたりするよりも、手軽に理想の住まいを手に入れられる可能性のあるリフォーム・リノベーションですが、実施にあたっては建築規制に引っかかる内容になっていないか、確認する必要があります。

今回は、狭い家をリフォーム・リノベーションする際に押さえておくべき建築規制の内容を解説していきます。

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容積率と建ぺい率

家の広さについて検討するとき、最初に気をつけなければならないのが容積率と建ぺい率です。土地には、エリアごとに容積率と建ぺい率が設定されており、上限を超える広さの建物は原則建築できません。

容積率と建ぺい率の基本

容積率と建ぺい率は建築基準法によって定められるもので、それぞれ次のような割合を指します。

  • 容積率
    敷地面積に対して、その土地に建築できる家の延べ床面積の割合

  • 建ぺい率
    敷地面積に対して、その土地に建築できる家の建築面積の割合

敷地面積100平方メートル、1階の床面積が80平方メートル、2階の床面積が50平方メートルの家で考えると、容積率は(80+50)÷100×100=130%、建ぺい率は80÷100×100=80%となります。

容積率・建ぺい率は、都市計画によって定められる13種類の用途地域ごとに上限が定められています。第1種・第2種低層住居専用地域をはじめとした閑静な住宅街で設定される用途地域は上限が低く、商業地域をはじめとした中心部で設定される用途地域は上限が高く設定されるのが基本です。

狭い家をリフォーム・リノベーションするにあたって増改築を検討する場合、立地する地域の容積率・建ぺい率の上限を超えない計画にする必要があります。

「狭いから部屋の用途を変える」は要注意

容積率のベースとなる延べ床面積ですが、バルコニーやベランダなどは面積に含まれない決まりです。また、家の中にある車庫(ビルトインガレージ)や一定の基準を満たす地下室など、容積率計算にあたって延べ床面積の緩和規定が設けられている用途もあります。

リフォーム・リノベーションで建物自体の増築をしない場合でも、従来は延べ床面積に含まれていなかった部分や緩和規定の対象になっていた部分を居室に変更すると、容積率がオーバーしてしまう危険性があるため要注意です。

建築確認申請が求められるケースに要注意

新たに建物を建築・増改築する際には、その建物が建築基準法などの法律を遵守した設計になっているかチェックするため、建築確認申請が必要となります。建築確認申請は、自治体もしくは指定確認検査機関に対して行い、検査の結果問題がなければ「検査済証」が交付されます。

狭い木造住宅なら申請は不要

建物を新築・増改築する際には建築確認申請が必要となると紹介しましたが、建築基準法第6条において、以下に当てはまる建物は申請が不要とされています。(4号建築物)

要するに、狭い木造住宅であれば建築確認申請は不要だということ。一方、狭い家でも3階建てだったり、鉄骨造や鉄筋コンクリート造だったりすると、建築確認申請の対象となる可能性があるのです。

木造以外の大規模リノベーションは要注意

仮に、リフォーム・リノベーションを予定している家が4号建築物に該当したとしても、建築確認申請が必要となる場合もあります。

リフォーム・リノベーションで建築確認申請が必要となるのは、「大規模の修繕・模様替え」をするケースに限られます。大規模の修繕・模様替えとは、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根または階段)の1種以上について、1/2以上手を加えるリフォーム・リノベーションのことです。

よって、3階建て以上もしくは木造以外の狭い家で、大規模なリフォーム・リノベーションをする場合には建築確認申請が必要になる可能性があります。なお、4号建築物に当てはまる家でも増築をするケースでは、一部を除き建築確認申請が必要です。

既存不適格物件では改修内容に制限がある可能性も

建てられたときは、当時の法令基準を満たしていたものの、その後の建築基準法や都市計画法といった関連法令の改正により、現行の基準には当てはまらなくなる物件があります。こうした物件を「既存不適格物件」といい、リフォーム・リノベーションをする際に制約を受ける可能性があるため、注意が必要です。

先ほど紹介した大規模の修繕・模様替えや増築を行う場合、建築確認申請が求められます。建築確認申請においては、現行の法令に適合しているかチェックされます。既存不適格物件については、現行法に対して不適格な部分を改善しなければなりません。

そのため、想定よりも大規模なリフォーム・リノベーションが必要になったり、そもそも希望している内容が法的に実現できなかったりする可能性があるのです。

オープンキッチンと内装制限

LDKが狭いケースでは、オープンキッチンにして開放感を演出するのが効果的。しかし、ガスコンロなど裸火を使うキッチンについては、仕上げ材に準不燃以上の不燃材を使用するなど、一定の内装制限を受ける点に注意が必要です。

オープンキッチンであっても、キッチンとリビングダイニングの間に50センチ以上の垂れ壁を設ければ、それぞれ独立した空間と見なされ、内装制限はキッチンのみに適用されます。デザイン上、垂れ壁を設置しないのであれば、連続するリビングダイニングも含めて内装制限を受けます。

IHクッキングヒーターのキッチンであっても、管轄する消防署の指導によって内装制限を求められる可能性があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

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まとめ

狭い家を快適な空間とするにあたり、リフォーム・リノベーションは手軽でおすすめの方法です。ただし、建築基準法などの関連法令に定められた規定により、計画内容が制限される場合もあります。素人ではなかなか判断できない可能性があるため、リフォーム・リノベーションの検討時には、早めにリノベーション会社や建築会社などのプロに相談することが大切です。