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検査済証の再発行ってできる?!できない?!

 

新築時や改築時に受け取る「検査済証」。普段の生活で使用する機会はほぼありませんが、将来、物件を売却したり増改築する際に必要になることも多い重要書類です。

とはいえ長い時間が経つと、うっかり紛失してしまったり、急ぎで必要なのにすぐに見つからなかったりして、「再発行したい!」と思うことがあるかもしれませんね。ここではそんな時のために『検査済証の再発行ができるのか』について解説していきます。

検査済証の再発行は可能?

「検査済証」とは、建築工事の完了後に特定行政庁や指定確認審査機関の完了検査に合格すると交付を受けられる証明書のことです。「建築物及びその敷地が建築基準関連規定に適合している」ことを証明する書類になるため、特に物件の売却時や増改築時に提出・提示を求められることがある重要な書類となっています。20〜30年程前には検査済証の取得率が3割強程度とさほど高いものではありませんでしたが、違法建築物が社会的に問題視されて以降、国や行政からの指導も厳しくなり、今ではほぼ全ての物件において取得される証明書になっています。

さて、気になるのが検査済証の再発行の可否についてですが、結論から言うと、検査済証の再発行は残念ながら「不可能」となります。「重要な書類なのに、再発行をしてくれないなんて不便だ」と感じることもあるかもしれませんが、再発行による複数部数の発行を認めないことで、偽装や偽造などを防き、元の書類の信憑性や価値が高まるようになっています。そのことを考えると、再発行が不可能であることも納得がいくのではないでしょうか。

再発行ができないと分かったからには、「検査済証はこの世に1つしかない」と改めて意識して、紛失したり破損したりしないように大切に保管しましょう。また、その上で提出・提示が必要になった際にはすぐに取り出せるような管理の方法を心掛けると良いですね。

万が一、紛失してしまった時は…

とても貴重な検査済証ですが、長年保管しているとうっかりどこにしまったのか分からなくなったり、誤った保管方法で気付けば書類が破損してしまっていたりすることもあるかもしれません。再発行ができないと聞くと不安に思われることもあるかもしれませんが、きちんとその場合の対策がありますので安心してください。

再発行の手順に進む前に、そもそも検査済証を受け取ったのかどうか、という点について確認をするようにしておきましょう。というのも、今ではほぼ全ての建物が取得している検査済証ですが、そうは言っても取得率については残念ながら100%に届いていません。本来、検査済証を取得していない場合の建物の使用は違法になるため、未取得である可能性は低いとは言え0(ゼロ)ではないという現実がありますので、新築時や物件の購入時などの際には必ず検査済証の書類を受け取ったかどうか確認しておくことは重要になります。

また前述の通り、過去の取得率については今ほど高くなかったことを考えると、中古物件などその建築物が建てられた時期が古ければ古いほど、そもそも検査済証がない可能性は高くなります。

なお、そのような場合は「検査済証を取得していない建築物」としての救済措置が用意されているため、そちらにて別途対応することになります。困った時は各市町村に相談しましょう。

以上を確認した上で、間違いなく検査済証を取得し書類を受け取っていたものの、その書類を紛失したという場合、各市町村の窓口にて「建築台帳記載事項証明書」を取得すればそれを検査済証の代わりに使用することができます。これは、市役所等で申請をし、数百円程度の発行手数料を支払うと受け取ることができる書類です。

もちろんこれは検査済証そのものではありませんが、その建物が「間違いなく検査済証が交付された建物である」ということを証明しているため、完了検査をクリアした建物であることを伝えるという意味で代用が可能になります。

検査済証がないとどうなる?!

 

物件を売却したり増改築したりする際に必要になる検査済証ですが、手元にない場合にはどうなるのでしょうか。

例えば物件の売却の場合、実は必ずしも売却できないというわけではありません。実際に検査済証のない中古物件の売買は、現在でも多数行われています。ですが、検査済証がないということは「その建築物が違法建築であるかもしれない」と買主に懸念される可能性が高まると言えるでしょう。そうすると契約の機会を逃したり、結果的に売却価格が下がってしまうようなリスクに繋がります。

つまり、検査済証については法的に必要であるというよりは、買主に安心して購入してもらう材料として有効なので「あることが望ましい」という意味で必要とされると言えます。とはいえ、契約に至らないリスクや売却価格が下がるリスクを考えると、少なくとも代用書類の準備はしておきたいものですね。

また、増改築の場合についてですが、建築申請が必要になるような増築や大掛かりな改築では、検査済証が無いままでは増改築を計画・工事をすること自体が「不可能」になります。現在は救済措置が整えられており、検査済証が無くても検査済証が発行されたことを確認できる書類があれば、その建物の合法性を証明できます。また、そもそも検査済証が発行されていない建物については、専門機関に依頼して調査を行い合法であることを証明できれば、増改築を進めることができるでしょう。検査済証が手元に無くてもあきらめずに専門家に相談してみましょう。

まとめ

「検査済証」はこの世に1つしかない重要な書類です。再発行ができないため、まずは紛失したり破損したりしない適切な保管を心掛けましょう。また、必要になった時にすぐに取り出せるような場所に保管しておくと、いざという時に慌てずに済みますね。それでも、万が一、紛失等によって手元にないという場合には、代用書類を取得できるケースもあるため、あきらめずに各市町村の窓口や専門家に相談すると良いでしょう。