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検査済証がないことによる問題点とは?マンションの場合も解説

住宅に限らず、建物を新築するにあたっては建築基準法の規定を遵守していなければなりません。法律を遵守しているかどうかを確認するため、建物を新築する際には建築確認申請という手続きが求められます。また、建物完成後には申請内容を守って建てられているかどうか検査を受ける必要もあり、問題なければ検査済証が発行されるのです。しかし、築古の中古物件だと検査済証がないことも。

今回は、検査済証とはどのようなものなのかを紹介したうえで、検査済証がないことによる問題点について詳しく解説していきます。

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検査済証とは?どんな時に必要?

冒頭で触れたとおり、建物を新築するにあたっては建築基準法を遵守している必要があります。そのため、建物着工前の設計時点で法的に問題ないかをチェックする「建築確認申請」が義務付けられています。建築確認申請で問題ないと認められると発行されるのが「確認済証」です。

設計時点で法を遵守していたとしても、建設時に申請内容と異なる建物を建ててしまっては意味がありません。そこで、建物が竣工したときに「完了検査」を受けて、実際に建設された建物が法を遵守したものであることを確認してもらいます。完了検査で問題ないと認められると発行されるのが「検査済証」なのです。

なお、物件によっては建築確認・完了検査のほか、建築途中に「中間検査」を行う場合もあります。

実はたくさんある検査済証のない物件

建築確認申請と完了検査は法的に必要なものなので、どんな物件でも行われていて当然と思われるかもしれません。確かにほとんどの物件で建築確認申請は行われているため、その証拠である確認済証はたいていの物件で存在しています。

一方、築古の中古物件になると完了検査を受けていない場合も多く、検査済証が発行されていない物件は非常に多いと言われています。全国住宅産業協会によると、検査済証の取得率は平均34%。時代をさかのぼるほど取得率は低くなり、昭和60年時点では12%、それ以前だとわずか10%しかありません。残存する戸建て住宅のうち、検査済証がないものが実に2,144万棟にも上ると推測され、築古の中古戸建てにおいては検査済証がないケースのほうが一般的と言っていいでしょう。
参考:検査済証のない建築物の流通促進に関するセミナー(会報全住協7月号)

平成11年に確認検査業務が民間検査機関に解放されるなど建築基準法が大幅に改正されたこともあり、最近では大半の物件で完了検査を行い、検査済証が発行されています。

検査済証は紛失すると再発行できない

完了検査は受けているものの、検査済証を紛失してしまって用意できないというケースもあるでしょう。しかし、検査済証は原則再発行できないとされています。例外的に再交付を受けられる場合もありますが、基本的に再発行してもらうことは不可能と考えておくべきです。

検査済証を紛失してしまった場合には、建物が存在する自治体の窓口で発行できる「台帳記載事項証明書」が代替となります。台帳記載事項証明書は、建築基準法関連の事務処理にあたって自治体が作成した台帳の記載内容を一部証明書として交付するもので、建築確認申請や完了検査を受けた年月日・検査済証番号などが確認できます。

マンションで検査済証がないことはまれ

先ほど紹介したとおり、築古の中古戸建て物件では検査済証がない例が頻繁に見られます。対して中古マンションの場合はどうなのでしょうか。

結論から言うと、ある程度の規模を持つマンションであれば築古であっても検査済証のある物件がほとんどです。ただ、共同住宅でも規模の小さなアパートだと、築古で検査済証がないという例はよく見られます。通常は物件の詳細説明時に「検査済証がない」旨の説明を受けると思いますので、心配な場合は契約前に確認しておくといいでしょう。

検査済証がないことによる問題点

検査済証の役割などについて見てきましたが、検査済証がない物件では具体的にどのような問題が起こりうるのでしょうか。考えられる主な問題点は以下のとおりです。

ただし、先ほど取り上げた台帳記載事項証明書やホームインスペクションを活用すれば、検査済証がないことによる問題を解決できる場合もあるため、まずはプロに相談してみるといいでしょう。

確認申請が受けられない可能性がある

物件の種類やリノベーションの内容によっては、新たに建築確認申請が必要になる場合があります。たとえば外壁においては、こちらの記事で紹介しているようなリノベーションは確認申請が必要です。

参考:建築確認申請が必要な外壁リフォームとは?必要/不要なケースをそれぞれ紹介

増改築に伴って確認申請をする際、原則検査済証の提出が求められます。これは、新たに確認申請する建物が法律を遵守して建てられているかどうかを確認するためです。検査済証がない物件では確認申請が受けられず、リノベーションやリフォームできる内容を制限される可能性もあります。

なお、国土交通省のガイドラインに基づき「建築基準法適合調査」を受ければ、検査済証がなくても確認申請できるケースがあります。

参考:検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン

住宅ローンを借りられない可能性がある

金融機関によっては、検査済証のない物件の購入に対しては住宅ローンを融資しないということもあります。完了検査を受けていない住宅は違反建築物である可能性を否定できず、金融機関としてリスクを負えないという判断です。中には、検査済証がない物件でも融資をしている金融機関もありますので、事前に確認するといいでしょう。

将来売却しづらい可能性がある

上の理由から、検査済証のない物件はリスクがあると判断され、売却しづらい傾向にあります。もし将来的に売却を検討するのであれば、ホームインスペクションなどを行なって物件の安全性を事前に確認しておくのがおすすめです。

まとめ

築古の中古戸建て物件では検査済証がない場合も多く見受けられます。一方、中古マンションについては検査済証がないということはまれでしょう。もし検査済証がない物件の購入を検討している場合は、今回紹介したリスクをしっかり理解したうえで,台帳記載事項証明書など他の公的書類をチェックしてみるのがおすすめです。

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