複数の引き戸を左右どちらかに寄せて開閉する「引違い戸(ヒキチガイド)」は、玄関や部屋の出入り口、クローゼットに使われます。なかなかメリットが多い引違い戸なのですが、他の種類の扉と同じようにデメリットもあるもの。気に入らない引違い戸をにらんだり、間取り図を見ながら「どのようにリノベーションしようか?」と、頭を悩ませている方も多いことでしょう。
ここでは引違い戸のデメリットをあげながら解決する方法をお話します。加えて引違い戸のメリットも紹介していきましょう。
引違い戸のデメリットあれこれ
1.掃除・バリアフリーで難点
2.勢いよく閉まると危険
3.気密性・遮音性が今ひとつ
4.デザインが気に入らない
引違い戸のデメリットは、おおむね以上にまとめることができるでしょう。それぞれどのようにリノベーションすれば解決するか?以下でみていきましょう。
引違い戸のデメリット1 掃除・バリアフリー
扉の枚数と同じ数のレール(敷居)を持っているのが引違い戸。だからこそ片側に寄せるという使い方ができるのですが、このレールがデメリットです。ゴミが溜まったり、掃除機が引っ掛かったりで掃除がしにくいのです。またレールに子どもやお年寄りがつまづきやすく、バリアフリーの点でも問題になりがちです。
レールをなくす2つの方法
レールをなくす方法は「床の高さをあげる」「扉を上から吊る」のどちらかです。
床の高さをあげるには、床を底上げした後にフローリングなどの床材を敷き直します。完全にレールをなくすことはできませんが段差は改善されますし、床材を統一することで隣の空間との一体感が生まれます。リビングと隣接するバルコニーに統一感を持たせて、アウトドアリビング化する場合などに有効です。
また、天井に埋め込まれたレールから扉を吊るす「吊るし戸」にリノベーションするというのも良さそうです。完全にレールをなくすことができる方法ですが、難点はわずかながら下に隙間ができてしまうことで、気密性・遮音性が下がってしまうところでしょう。
引違い戸のデメリット2 勢いよく閉まると危険
レールの上をスムーズに滑りすぎて体や指を挟んでしまう。これは引違い戸のデメリットです。ドアのように風でバタンと閉まることはありません。しかし、例えば外部と室内を隔てているサッシは、ガラス入りで重さもあるので、注意が必要な引違い戸と言えるでしょう。
ストッパーを取り付ける
引違い戸の安全性を高めるために工夫をこらしたサッシが販売されていますが、オススメしたいのが「指はさみ防止用ストッパー」。引違い戸を閉めた場合にストッパーが回転し、枠との間にスキマをつくることで指はさみを防止してくれます。価格もそれほど高くなく、後付できるのもうれしいところです。
他にスポンジなどを取り付けるのも、室内の引違い戸での指はさみ防止にはよい方法です。ゴム板と両面テープでのDIYが可能です。
引違い戸のデメリット3 気密性・遮音性が今ひとつ
外部と室内を隔てるサッシ、室内の部屋の入口にある扉、これらの引違い戸に共通するデメリットは気密性・遮音性が今ひとつというところです。サッシは樹脂製の登場などで随分改善されてはいますが、室内用の引違い戸は相変わらずと言わざるを得ないでしょう。
ドアの構造を変える
引違い戸の気密性・遮音性が低いのは扉の構造によるものですから、扉ごと変更するしかなさそうです。サッシなら「スウェーデンハウス」などが採用している木製の回転サッシにするとか、室内の引違い戸ならドアにするとよいでしょう。
ただし、これらのリフォームは枠ごと手を加える必要がありますので、かなり大掛かりな工事を覚悟しなければなりません。
引違い戸のデメリット4 デザインが気に入らない
こんな不満が起こるのは、古いふすまを用いた引違い戸でしょう。和室の畳をフローリングに変更するのは一般的なリノベーションですが、引違い戸がふすまのままだと台なしになってしまうでしょう。
ドアをそのまま差し替える
後でご説明しますが、引違い戸はメリットの多い造りです。デザインが気に入らないなら仕組みはそのままに、ドアだけを差し替える方法がオススメです。ふすまをフラッシュ戸に交換するだけで雰囲気は大きく変わるでしょう。ただ、あまり重量があるドアとの交換は、使い勝手の点で考えものになるかもしれません。
引違い戸のメリット
・開閉に場所を取らない
・扉を外すことができる
引違い戸には様々なメリットがありますが、以上二つが中でも大きなものになります。特に「扉を外すことができる」のは大きなメリットですから、デザインが気に入らないという理由で、扉の構造から変えてしまうのは、少々もったいないかもしれません。また、デザインばかりを優先して天然木の重量のあるものに替えるのは取り外しが難しくなりますし、使いづらくなることもあるので、避けたほうがよいでしょう。
まとめ
引違い戸は昔から広く使われているだけあって、メリットが多い仕組みになっています。一方でやはりデメリットもあるのですが、引違い戸に限らず、何ごともメリット・デメリット両面があるもの。
メリット・デメリットの両方をよく考えた上でリノベーションの計画を練っていきたいものですね。