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塗料の種類と選び方

塗料の種類と選び方


塗料はとても便利で、私たちの生活に欠かせない材料です。

塗料は物の表面に、少しの分量で美観や保護、特殊な機能性を持たせることができます。

ピアノの表面に、黒くつややかな表情を持たせるのも塗料です。フローリングの表面に、汚れを寄せ付けない強力な塗膜を作るのも塗料の役割です。建具をキレイに仕上げるのも塗料の役割になります。

生活の中で、様々なところに使われている塗料ですが、塗料にどのような種類があるかはあまり知られていないかもしれません。今回は、塗料の基本的な知識と、家庭で使う塗料の選び方をご紹介します。
 

水性塗料と油性塗料の違い

水性塗料と油性塗料の違いは、塗膜になる成分を溶かす溶剤に違いがあります。成分を水で溶かす物を水性塗料と呼び、水以外の油や有機溶剤で溶かすものを油性塗料と呼びます。

いずれの溶剤も、塗料を水のように溶かし塗りやすくするのが目的です。塗った後、溶剤は揮発して塗膜を形成する役割をします。塗料の成分により、油に溶けるもの、有機溶剤に溶けるもの、水に溶けるものと様々です。塗料の性能を十分に発揮し、塗りやすくする溶剤が使われます。

以前は油性塗料が中心でしたが、現在は環境性や作業性、健康面への影響を考慮して水性塗料が多く出ています。

一般家庭では扱いやすい水性塗料がオススメです。


水性塗料の特徴

水性塗料は、塗料を水に溶かした、環境性と安全性に優れた塗料です。揮発する成分が水なので環境への悪影響が少なく、人体への安全性も高くなります。

水性塗料で揮発するのは水が主なので、室内のシックハウス症候群の軽減に役立つといわれています。室内に使われる塗料や、住宅の改修で使われる塗料の多くが水性塗料です。


油性塗料の特徴

油性塗料は、水性塗料と対比して使われる表現です。今では溶剤形塗料を含めた幅広い塗料を指します。

油性塗料は強い塗膜を必要とする部分によく選択される塗料です。様々な成分を溶かすことができ、強力な塗膜を形成するためには油性溶剤(有機溶剤)が不可欠だからです。

住まいの中で直接使われることは少なくなりましたが、管理された工場や現場、船舶や鉄骨などには今でも使われています。

有機溶剤で溶かす塗料の他に、乾性油で溶かす油絵の具も油性塗料の仲間です。

塗料の成分の違い

塗料の種類と選び方


塗料は塗膜になる成分と溶剤からできています。溶剤が揮発すると塗膜が形成されます。この塗膜になる成分の違いについてお伝えします。

塗膜になる成分は樹脂、顔料、添加剤の3種類です。これらを上手に組み合わせることで様々な役割や効果を持った塗料ができています。


塗膜の元になる樹脂

塗料を塗って固まると、塗料の膜(塗膜)ができます。塗膜の元になるのが樹脂です。アクリル塗料やウレタン塗料は、塗料の元になる樹脂の成分を示す名称です。

塗料に使われる樹脂は主に油類、天然樹脂、合成樹脂、その他に分かれます。樹脂の成分により、表面のつやや見た目、塗膜の強さや耐久性、傷つきにくさが異なります

樹脂の種類による耐久性は、一般的には「アクリル<ウレタン<シリコンアクリル<フッ素」の順番で高くなると言われています。


色の元になる顔料

塗膜に色を付けるのが顔料のが役割です。

素地の見えるクリアー塗装は顔料が入っていないタイプの塗料です。


様々な効果を付与する添加剤

添加剤は塗料の性能を向上させるための薬品です。樹脂や顔料の性質では補えない部分を補ってくれる役割があります。塗料の品質の安定、作業効率化、塗装後の塗膜の保護等の役割があります。

具体的にはつやを消し、落ち着いた雰囲気を出すためのつや消し剤。塗料の伸びをよくするために流動剤を加えたり、色あせを防ぐために変色防止剤を加えたりします。

・参考:塗料添加剤・樹脂添加剤,共栄社化学株式会社

使う場所にあった塗料の選び方

塗料の種類と選び方


塗料で多い悩みは、「どこに」「どの塗料を使えば良いか」という事ではありませんか?

塗料はたくさんの種類がありますが、適した塗料を使うと長持ちしてキレイに仕上がります。塗るものと選ぶ塗料について、押さえおきたいポイントを5つに分けて紹介します。


1.塗る素材・用途に遭わせた塗料を選ぶ

塗る素材や場所、用途に合う塗料を選ぶことが大切です。

市販されている塗料缶には用途や特徴などが記載されています。必ず確認して、素材や用途が一致する塗料を選びましょう。


2.塗料の耐久性を知っておく

塗料にも耐久性があります。塗料の種類によって耐久性には差があります。

市販されている塗料は、一般的に「アクリル<ウレタン<シリコンアクリル<フッ素」の順番で耐久性が高くなります。

耐久性は紫外線や湿気などの影響を受けるので、同じ塗料であれば、屋内の方が長く持ちます。


3.塗装する面積を大まかに把握する

塗装する面積はあらかじめ計算しておき、塗料は若干余裕をもった量を用意します。


4.塗装する時期に合わせる

塗装する際の気温に適した塗料を選びます。

特に低温に注意します。5度以下では、水性塗料は上手に塗膜を作ることができません。冬場の屋外でどうしても塗装しなければならいときは、溶剤系塗料を使います。


5.色やつやを選ぶ

最後に、好みの色やつやを選びます。色見本と実際の色・つやが若干異なる場合もあるので、心配ならば試し塗りをします。

「白」や「アイボリー」などの色名が同じでも、メーカーが異なると色が違ってきてしまいます。広い面を塗るときなど、塗料は同じメーカーの、同じ製品を揃えるようにしましょう。

まとめ

今回は塗料の種類と選び方についてお伝えしました。

塗料は水性塗料と油性塗料に分かれていて、一般家庭では扱いやすい水性塗料がオススメです。塗料を選ぶ際は、目的や使う場所にあった製品を選びましょう。異なるメーカーの塗料は、色が違うので、同じメーカーの塗料を選びましょう。


参考文献
塗料と塗装 基礎知識 改訂第4版,(一社)日本塗料工業会