「壁付けキッチン」とはⅠ型やL型のキッチンで、壁に面しているもののことです。反対語は「対面キッチン」、ダイニングやリビングに面しているものをイメージする方が多いといいますが、困ったことにこれらは絶対ではありません。
場合によっては壁付けキッチン=クローズドキッチンではないものを指すこともありますし、近年ではセミオープンキッチンと呼ばれるタイプも登場しています。
ここでは、まずクローズドキッチンという言葉を考えてから、近年の流行・セミオープンキッチンについても見ていきましょう。
クローズドキッチンという言葉を考える
言葉とはややこしいもので、使う人や場合によって、意味が異なる場合が多々あります。たとえば「クローズドキッチン」という言葉は、壁付けキッチンと同じ意味で使う場合もあれば、そうではない場合もあります。
クローズドキッチン本来の意味とメリット・デメリット
クローズドキッチンとは直訳すると「閉じられた台所」、本来は独立した一部屋になっているタイプのキッチンを指します。たとえば江戸時代、土間にあった台所はクローズドキッチンです。多くの場合、居住スペースとはふすまで仕切られ、独立した空間になっていたのです。
レストランの多くはクローズドキッチンで、シェフたちが働くキッチンは独立した空間になっており、働いている様子を客席からうかがうことはでません。また一般家庭でも、冒頭の写真のようなクローズドキッチンを見ることができました。
● 集中して料理に取り組むことができる
● 散らかっていても外からは見えない
● 匂いが外に漏れることがない
クローズドキッチンのメリットは大きいのですが、デメリットもあります。
● 調理をしている人との距離が遠い
完全に分かれた空間で料理をしている距離感は、実際にダイニングとの距離も離れていますから配膳に時間がかかるのもデメリットです。
● キッチンが面積を取りすぎる
独立した一部屋になっていますから面積を必要とします。
これらのデメリットが大きいことから、クローズドキッチンは使われなくなっていきました。
本来なら壁付けキッチンはオープンキッチンと呼ぶべき?
台所と居住スペースの間に壁がない「ダイニングキッチン」スタイルが登場したのは、戦後しばらくたってからです。キッチンレイアウトはI型、配置は壁付け、オープンかクローズドか?で考えるなら、キッチンが独立した部屋にはなっていないので、オープンキッチンといえます。
しかし現代の主流となっている分類方法では、このキッチンはクローズドキッチンです。壁付けキッチン=クローズドキッチン、対面キッチン=オープンキッチンとなっています。
現在でもオープンキッチンとクローズドキッチンを、居住空間との間に壁がない・あるにより区別する場合があるので注意が必要です。
壁付けキッチン(クローズドキッチン)のメリット・デメリット
ここではメリットとデメリットについて触れておきます。
メリットとはキッチンがコンパクトに収まることです。
デメリットは壁に向かっての料理になるのでコミュニケーションが取りづらいことです。
セミオープンキッチンとは?
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近年よく目にするようになった「セミオープンキッチン」は、ダイニングとの間にちょっとした壁が設けられているタイプです。オープンキッチンでは料理をしている手元が丸見えになってしまうということで、腰壁を設けることが多くなり、セミオープンと呼ばれるようになりました。
調理の匂いがリビングへ流れていかないように、対面キッチンの一部に壁が設けられているケースもセミオープンキッチンと呼ばれます。
セミオープンキッチンのデメリットとは?
クローズドキッチンとオープンキッチンの良いところをあわせたようなセミオープンキッチンですが、デメリットはやはり存在します。それはオープンキッチンのように周りを囲んで複数で作業することができません。たとえばオープンキッチンは料理教室には向いたレイアウトですが、セミオープンキッチンは向いていないということになります。
まとめ
「壁付けキッチン(クローズドキッチン)」も「対面キッチン(オープンキッチン)」も誰かがきっちりと定義した言葉ではありませんから、使う人によって指すものは異なります。
場合によっては「壁付けキッチン≠クローズドキッチン」というケースもあるのです。
またセミオープンタイプのキッチンについても「対面キッチン=オープンキッチン」しかないと思い込んでしまうと混乱します。
「壁付けキッチン=クローズドキッチン」という理解が一般的ではあります。
しかし必ずしもそればかりではないことは知っておきたいですね。