多くの家庭で使われているフローリング。フローリングは木の床材全般を指します。タイルや石材はフローリングとは言えません。ビニルフロアーや樹脂タイルは、見た目が木質とそっくりでできているものもあります。
フローリング材は、大きくみると2種類に分けられます。無垢材でできた無垢フローリングと複数の材料を組み合わせた複層フローリングです。どちらも良し悪しがありますので、使う場所によって使い分けることが大切です。
フローリングの王道 無垢フローリング
時代を超えて、やはり人気があるのは無垢フローリングです。今は「良いものを求める」傾向が強く、見た目が美しい「上質」な無垢フローリングは特に人気があります。
無垢フローリングを選ぶ方の多くは、快適性と安心感を大切にしている方です。湿気を吸収・放出してくれるため夏のベタベタ感が少ない、意外と暖かい、子供がなめても安心、など。掃除のしにくさ、キズの付きやすさは「無垢の味わい」として受け入れられる傾向にあります。
見た目
無垢フローリングは艶消しマットな見た目が特徴です。木の湿気を吸収・放出する特性を最大限生かすため、表面のコーティングをしません。特性を生かすように保護塗装を行うことで、木の表面を生かしたマットな仕上がりになります。
足触り・質感
みなさんが無垢フローリングに求めるのは、ここちよい足触りや・質感ではありませんか?無垢材は足触りがよく、質感がよいと言われています。
木の湿気を吸収・放出する特性が足の裏の汗や水分を吸収してくれるので、サラサラとした足触りを感じることができます。
掃除のしやすさ
無垢フローリングのお掃除は少し気を使います。化学モップは変色の原因になるので使えませんし、ツヤツヤのワックスを掛けることも避けるのが一般的です。
金額
無垢フローリングの金額は、フローリング全般と比べるとお値段が少々高めなものが多いのが特徴です。特に「良いもの」となると一般のフローリングの倍の値段になることもざらです。(無垢フローリングの中にも、HAGS「無垢フロア オークUNI」などコストパフォーマンスが良いものもあります。)
種類が沢山ある 複合フローリング
一般的なフローリングと言われるのが複合フローリングです。表面の化粧材と合板で作られています。
複合フローリングを選ぶ方の多くは、綺麗さを保ちたいという方です。他にも色柄が豊富、掃除のしやすさ、傷の付きにくさで選んでいます。
複合フローリングの色柄は、多彩で種類も豊富にあります。最近、同じ製品でも、柄が無数にある製品もあり、同じ柄が繰り返さないように工夫しているものが多くあります。
表面が特殊コーティングされていて掃除のしやすさは、汚れの落ちやすさはピカイチです。キズに対しても強く、表面が強化されているものはキズが大変付きにくくなっています。
見た目
光沢を施したフローリングはとても美しい輝きがあります。一方で、光沢を抑えたマット塗装もあります。
色柄から複合フローリングと無垢フローリングを一目で見分けられる人はそう多くありません。複合フローリングも、表面に薄くスライスした無垢材を使っていることもあるので見分けがつきにくいのです。
足触り・質感
複合フローリングの床はツルツルした印象です。しかし、実際に歩いてみるとそれほど滑りすべりません。調査してみると、各メーカーで転倒防止用の塗装を塗ってある事がわかりました。
複合フローリングは、表面にワックスが施されているので汗を吸いません。夏場の暑いときや湿度が高いときはペタペタくっつくような足触りです。
掃除のしやすさ
複合フローリングは掃除がとてもしやすく、清潔感を保ちやすいのが人気の一因です。
フローリング表面に特殊塗装が施してあるので、汚れを寄せ付けません。最近はワックスをかけない製品も多くあります。ワックスが剥がれてしまうぐらいに汚れを寄せ付けないという製品もあるぐらいです。
金額
複合フローリングには、無垢フローリングに比べて全体的に安い製品が多くあります。
複合フローリングは製品の幅が広く安いものは大変リーズナブルです。一方、挽き板タイプ、特殊表層タイプ、高性能印刷など一部の製品は複合フローリングと言っても非常に高価な製品もあります。
フローリングの決まりごと
ここからは少し専門的なお話です。
同じように見えるフローリングも、最低限の基準を定めた性能規定があります。
あまりにも粗悪な製品が世の中に出回らないように。粗悪な製品が原因で怪我や病気を引き起こすことがないようにという考えです。住まいは毎日生活する所です。それだけ私たちの生活に支障が出ないようになっています。
体に悪い物質は最小限に F☆☆☆☆
シックハウス症候群という言葉があります。主に接着剤に含まれる有害成分が体に悪影響を及ぼす病気です。
フローリングも接着剤を使って作っています。その接着剤が人体に影響を及ぼさないように使用量が決められています。
強度と耐久性
住まいを建てて1年も経たずに壊れてしまっては何の意味もありません。
フローリングにも強度と耐久性の基準が決められています。少なくとも30年程度は保つように作られている製品がほとんどです。
しかし、紫外線と湿気には要注意です。この二つはフローリングの寿命を極端に縮めます。
見た目と色柄
見た目と色柄も、悪いものは取り除こうという考えでルールが設けられています。
特に無垢材を使っている場合は、節や亀裂、変色で利用に支障があるものは除くように決められています。
もしかしたら、将来そういう「欠点」を前面に出した製品が出てくるかもしれません。節や亀裂、変色も使う場所によっては「特徴」とみることもできるからです。
まとめ
今回は、無垢フローリングと複合フローリングについてお伝えしました。
多種多様なフローリング材も、大きくみると2種類に分けられます。無垢材でできた無垢フローリングと複数の材料を組み合わせた複合フローリングです。どちらも良し悪しがありますので、使う場所によって使い分けることが大切です。
家づくりのご参考になればと思います。
参考
・デニス・ジェフリーズ,フロアマテリアル,産調出版株式会社,2005.04
・和田 浩一 他,世界で一番やさしいインテリア,エクスナレッジ,2018.11
・日本複合・防音床材工業会,フローリングナビ